ネットで「実名原理主義」が通用するか

オーマイニュースってニュースネット
 Ohmynewsについて概要を説明しておこう。
 2006年8月28日に創刊して4月11日にリニューアルしたニュース掲載のサービスなのだが、ここには市民記者制度により記事を集める仕組みもある。「も」と書くのは当初、その市民記者がメインだったのだが、コラムとか転載ニュースとかが入り混じり、市民記者の記事は全体の50%程になっている。
 オーマイニュースは韓国が発祥の地で本家では既存のマスコミの信頼度が低下していた社会背景もあり、ノムヒョン大統領誕生に貢献した(大きく関与した)と言われてる。
 この韓国版オーマイニュースが日本上陸を図りソフトバンクの出資の元オーマイインターナショナルとして設立されたのが2006年6月。2006年8月28日には正式オープンし営業を始めた。
 その初代編集長が鳥越俊太郎氏で2chと対比して「実名での責任ある参加」をスローガンに「2chはゴミタメ」等々対決姿勢を前面に運営を始めた。
 同様な機能は日本のインタネの中に多数あるが、それについては列挙に留めておく。
 市民メディア・インターネット新聞JANJAN
 こちらも「市民記者」からの投稿で運営されてるが、市民記者への原稿料の支払いは無い。こじんまりとした体制の割りにアクセス数はオーマイニュースを凌駕しており、特に今回の統一地方選では大きくアクセスを伸ばした。
J-CASTニュース ビジネス&メディアウォッチ
こちらには「市民記者」制度は無い。専属の記者が取材した記事を中心に、既存の週刊誌編集に似た対談記事、特集記事が組まれている。
この3ニュースネットを比べるとアクセス数は
J-CAST>JANJAN>オーマイニュース
となるが、JANJANは時々特集でメガヒットを飛ばすことがある。
 今回は「実名原理主義」とまで呼ばれる、かたくななオーマイニュースの実名主義の限界を見極めてみる。以下は投稿記事。

実社会では迷惑な実名による掲載
 オーマイニュースの実名主義(ま、実名原理主義と世間では揶揄されてるようですが)は笑える社会現象を引き起こしてる。
ま、私が脳天気なのか、気にはしていないが、実際に体験した事象から、やっぱり実名主義は壁があるぜ! って実態の紹介記事を書いておく。
1)サンスベリアの花が咲くことがあるんですねぇ。
記事をを読んだわが社の社員から声をかけられた。
これほど身近にオーマイニュースを読んでいるシトが居たとは。と驚きとともに、実名原理主義下では書けないテーマがあるなと実感した。
業界情報は今まで一切書いていないが、今後も書かないと決めた。何故なら、実名で検索したと社員は言っている。私の実名で何が書かれているのかをインターネットで検索し記事内容で仕事に支障があってはとの配慮が必要だろう。だから、業界情報は一切書けない。
そもそも、個人情報保護法から始まって企業のコンプライアンス遵守は企業存続の命題であり、企業内部はもとより、業界の矛盾を述べることすら、企業の構成員として企業の守秘義務のコンプライアンスに違反する。特に会社法の改正に伴って「不当競争防止法」にて「営業の秘密が定義され、社員に遵守が求められている。
内部告発はオーマイニュース程度の世間話では「情報漏洩」と取られるだろう。告発の意思があればしかるべく機関に持ち込むべきだ。だから業界情報を外部に流すと「情報漏洩」として企業倫理規定違反となる。それを求められても困る。このジャンルでは私は牡蠣、じゃなくて貝になる予定だ。

2)Wiiベスト電器で買えたんだぞ
これは笑える。現場でも爆笑した。
忘年会でとある社員がいまだにwiiを購入できない社員に向かって「あの時にベスト電器で10台売ってたのに、何やってるんだ」と話している。それも私の前で。「ベスト電器の10台を並んで買った人も居るんだぞ。注意力散漫じゃないのか」とかの社員はたたみかける。
「おいおい、そのリソース俺だろう」と言わずに聞いているとどうも、かの記事を書いたのが私だと気づいてないようだ。
私が、入手経緯を話すと「どこかで聞いた話と似てますねぇ」と言う。おいおい、お前のリソースは俺の記事なんだよと言っておきましたが。
実名で書いても気がつくシトも居れば、本人の目の前で講釈垂れるシトも居る。ま、実名主義は職業記者と違った我々市民記者(庶民記者)には制約の大きい制度でもある。

その後の笑えない事件の数々
その後、実名特定により同姓同名問題が起こっている。
実名(と、思われる)でコメントを書き込んだ市民記者の名前をネットで検索して、該当会社に「本人でしょうか」とメールで確認するシトが現れる。該当会社からは「本人に確認しましたが、そのような事実はありません」との返答が届く。
迷惑な話だ。会社の外部に開けられた公的な電子メールアカウントに届いたのだから、社内の記録簿に保管されるだろう。まったく関係の無い第三者が「(本人は否定してるが)そんな事やってるのかぁ」と人事評定される。

さらに、実名原理主義を考えると、我が家の子供が現在就職活動を行っているが、面接等で実名でネット検索し「あなたは、オーマイニュースにこのような記事を書いているが非常に社会を批判する性格ですか」なんて使われたらたまったものでは無い。その用法は違法では無いし、会社としては採用は企業の生命線に係わるから調べられるものは調べる。

旧システムでのサイエンスの記事に現役の研究生の投稿があったが、長続きしなかった。若者は今後大きく物の考え方や生活環境が変わる。永久に残るアーカイブを実名で残すリスクを考えると記事投稿を躊躇するだろう。

2chが匿名であることを反面教師として実名原理主義をオーマイニュースは採っているのだろうが、それは違う。
2chに欠けているのは「名なしさん」機能が前面に出ている。固定ハンドルネーム(いわゆるコテハン)がほとんど使われない。書き手が特定出来ないから双方向性が確立できずに放言の場となってしまう。
全てはシステム機能の問題で解決する。

パソコン通信の時代からネットは
1)非日常性から生まれるウイットに富んだユーモアや裏話。
2)馬鹿なことを書くと馬鹿にされる。
3)誰が書いたかでは無く、何を書き続けてきたがで評価される。
が暗黙の掟である。
これは、固定ハンドルネーム主義(システム)にて容易に実現され、先に述べたような市民記者のリスクを軽減する。

是非とも固定ハンドルネイム制を次期(今すぐでも良い)システム改修に生かしてもらいたい。

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2007.04.14 Mint