不審船の撃退は最善の選択
予行演習としては及第点
3月23日、新潟沖で発見の不審船は24日0:45の海上自衛隊への海上警備発動から15時間。防空識別圏の外、北朝鮮方面に去って15時間に及ぶ初の自衛隊による海上警備が解除された。
今まで多くの「北朝鮮と思われる」不審船が存在したのに、今、何故、運輸省から防衛庁への「海上警備依頼」および防衛庁の「海上警備発動」かといぶかるマスコミが有るが、根本的問題を理解していない。
法律は立法されたら施行されるのが通常で、時の政治情勢で施行されないのが異常なのだと言うこと。自民党が立法した法律で社会党に配慮して施行されていない法律はこれ以外に多々あるのではとゲスカンしていしまう。
さて、本論は政治的背景(って、最近あるのか、総与党で)は、これからの統一地方選後に述べるとして、さしあたり今回の事件の国際的面を論じたい。
自衛隊はセルフ・ディフェンス・フォース(SDF)として国際的に通称してきた。そのセルフは日本国民のことである。がしかし、日本国民の総意で設置した組織では無く、ママコ扱いの歴史を甘受してきた。もちろん、そう仕向けたのは旧社会党を筆頭にした日本に「世界同時革命」が起こると信じたレーニン共産党主義の「サヨク」思想である。
自衛隊が自衛隊(SDF)たる法整備は行なわれている。しかし、臆病者の政府によって、その行使は手控えられていた。それが、「サヨク」の成果と言うか時代背景であった。がしかし、そもそも「憲法で認めない組織」に国家予算を使っている事実を踏まえ、やはりそれなら十分機能して職務を果たすべきと考えるのが通常の感覚ではないだろうか。そのための「遅きに期した」が、今回の海上警備発動と考えるばきである。
喧嘩は段取りを踏んで
最初のパンチはジャブ。最初からストレートを打つ必要は無い。今回の不審船を撃沈するのは現在の海上自衛隊のハードウェアを持ってすれば簡単なこと、でも、韓国の事例をひもとくと北朝鮮とおぼしき相手は、「死人に口無し」戦法で来るようなので、ここは「威嚇」以上に攻撃すると禍根を残すかも知れない。実際に臨検するよりは、まずは追い払うことで成果を出しておくのが得策であろう。現に20分に渡り停船していた時に何も手を出せなかったのだから。
今回の事件は不審船から「今日は、このくらいにしたらぁ」と笑われたのかもしれないが、実際には「今度来るときは只じゃ済まないぞ」と威嚇する効果が有った。その意味で急な成果(だ捕)を得なくても段階を踏んで行けば良いし、国際的にも徐々に認知されて行くだろう。まずは、軽くジャブの交換をしたってことで十分であろう。
不審船をだ捕出来ないのは現行法規の不備
ま、法規の不備は少し言いすぎかもしれないが、法の執行体制の不備は間違い無い。法律を作成したらそれを遵守するための組織・体制作りは行政の責務である。しかし、法律は作られたけど実施する体制は無いといった事では揉めに揉めて作った法律もまったく日の目を見ない。(最近「介護保険」がそのような道を辿るのではと心配している)
軍隊の部隊は個々の「動く国家」と呼ばれる。今回も「出来れば追い払って、穏便にしたい」と思っている首相官邸周辺の意図を知ってか知らずか、現場では網を流してスクリューに絡ませ停船させるために艦覧時に張る網(ここから先は出入りできない表示用。たぶん、あの馬力の船ではスクリューに絡んでも切られると思われるが)を繋いで不審船の前に流したと報道されている。「動く国家」が怖いのは、行間まで読んでは越権行為。下された命令に従い(この場合「不審船を止めよ」までだと思われる。「乗り込み正体を明らかにせよ」の命令は出ていなかったと思われる)職務を全うする一線を越えること。もし、これで停船していたら、次の行動のシナリオを実施することが出来たかどうか疑問も残る。
結局、海上に浮いた不審船を見守ってにらみ合いが数日続いたかもしれない。
今回日本は国際的外交の一員に加わった
いままでの日本は武力の行使がもたらす結果を考えておく必要が無かった。何故ならば外国に対し(国外に対し)武力の行使は憲法9条によって禁止されており(僕の解釈は少し違うが、これは別稿で)その事態は有り得ないと思っていれば良かったから。
しかし、自衛のためには武力を行使することは認められており、実際には日本の自衛隊が外国の船を武力をもって撃沈することが可能な法律が存在する。このことは、日本もあの第一次世界大戦のようなトリガーを引くことが有ると肝に命じなければならない。つまり、当然のことだが武力行使の結果責任が日本にも求められる事態が想定されると言うこと。
例えば、今回の不審船を撃沈、乗員は全員死亡が公海上(防空識別圏は公海上に日本が勝手に引いた線)で起こったら、北朝鮮(と思われる)は、当然自国の人民を守る国家として抗議を行うだろう。先の例のようにスクリューが破損して停船して睨み相が続けば軍事的威嚇も含めて武力行使の姿勢を北朝鮮は見せるであろう。
つまり、「そんな事態は考えていませんでした」って言い訳で済まない事を外務省は肝に命ずるべきで、自衛隊が防衛庁所轄で外交と一線を引いていた時代から自衛隊も外交の1手法(武力は外交カードの中の1枚だと僕は考えているのだが)であると考えるそして、防衛庁は外務省のカードであり、どう使うか考えるのは外務省の職務であることを前提とした体制の整備が必要になるだろう。
自衛隊は外交カードの1枚になった。それが今回の事件で明らかになったのに加えて、日米ガイドラインでも明かなように、敗戦(太平洋戦争ね)後日本の外交はアメリカごもっとも路線からそろそろ脱却しなければならない。先のペルー人質事件でそのような外交活動が求められてるかケース・スタディだったのですが、終わってみれば問題意識は蚊帳の外。
それでは納得できない。
日本の外交を担う外務省は自衛隊を認知し、それに伴う国際社会での日本の担う役割について情報を発信すべきである。アンタッチャブルとして自衛隊を外交から外して置いた時代では無くなったと言うことである。