米国初代女性大統領が見えた

混迷の米国大統領はブッシュ氏
 ワープロが普及した頃だろうか。展示会で新しいワープロをテストする時に使ったのが「日本の総理大臣は宮沢さんですが、アメリカの大統領はブッシュさんです」であった。これを変換出来るワープロは固有名詞として「ブッシュ」を辞書に持っている。こんなテストで見た目は新製品でも中身のソフトである辞書が旧来のものであるかどうかテスト出来た。
 混迷のアメリカ大統領選挙であったが、当日、CNNを見ていたら、CNNは開票開始からフロリダはブッシュ勝利の姿勢だった。大手がフロリダを未知としていたが、CNNは最初からフロリダはブッシュ勝利の報道姿勢だった。
 たまたま大学で講義の日だったので「今、新しい歴史が生まれてる。世間の予想を裏切ってブッシュ氏が大統領になりそうだが、それより大切な事は、ブッシュ氏が大統領に決まるってことは8年後にヒラリー・クリントンがアメリカ初の女性大統領になるって可能性を生む」と話した。学生の多くは無関心のようだったが「アメリカで女性の大統領ってすごい事じゃない」って一部の学生は感激していた。
 決してゼロの可能性では無い。共和党の大統領をくつがえすためには、民主党は4年かけて戦略、戦術を練る必要がある。この時に「再度ゴア」の目は無い。
クリントン氏が大統領になった頃はインターネットでホワイトハウスのページを見る事が出来るなんてパフォーマンスがあった。猫のスコットの鳴き声がインターネットで聞くことが出来ると話題になった頃だ。不謹慎な言い方をすれば、クリントン大統領の妻、ヒラリー婦人よりもゴア副大統領婦人のほうが美人であるってことが北海道に居ても解る、そんなインターネットの情報流通が着目された時代だった。
 ゴア氏の提唱した「情報スーパー・ハイウェイ」はインターネットを今の社会的インフラに持ち上げた。パソコン通信が色あせてインターネットに席巻されたのは、ゴア氏の功績である。学術情報ネットになっていたインターネットを社会基盤として捉えた感覚は卓越したものであった。
が、これがアメリカの国家戦略としての日本の情報インフラ整備である光ファイバー網への対抗措置であった。当時は光ファイバーは日本の独占であった。これをアメリカに大量導入して情報インフラの整備を計っても国益にかなわない。結局アメリカの国益のために既存のインターネットの学術から商用への拡大が「情報スーパーハイウエィ」だったのだ。
 がしかし、当時の郵政省は「手本」と思ったのかゴア氏のレポートを日本語に翻訳して関係各方面に「手本」として配っていた。その訳は恣意的で、僕が実際にインターネットを利用してホワイトハウスのサイトから入手した原文と比べると誤訳、それ も恣意的誤訳の産物であった。ま、これについては、別に項を設けて話そう。

民主党の8年後の弾は「ヒラリー」
 アメリカの民主党が政権にこだわるのなら、2004年の大統領選挙で奪還を目指す戦略を今から立てているはずである。それは「ヒラリー大統領戦略」であろう。再度「ゴアで」って目は100%無い。アメリカの国民性は不確かだが、ブームに左右される。そのブームが「知的(風な)な説得力」。結果として、日本でいう「建て前」が社会を制覇している。日本と違うのは「大いに本音で語り、結論は「建て前」にする」って風潮。多民族故の「納得」は建て前が優先する。おや、まてよ、日本の中でも東京って「多民族(多地方)」の集合体だよなぁ。結局、多民族社会と同じ構造を東京は得ているのかもしれない。
 政治の中心地が地方からの人々の集合する地にある日本は、ある意味で「民主的」なのかもしれない。文化民族が片寄った地域がその国の中心を形成する故に絶えない民族紛争が日本では発生しないから。これは、アメリカに代表される「巧く混じった多民族国家」の効果であろう。多くの国で民族紛争が絶えないのは「巧く混じっていないから」と言える。その意味では昨今の日本の国政の選挙結果が「都市の反逆」などと呼ばれる都市中心の政治に変わりつつあるのは良いのか悪いのか単純には論じることができない。
 アメリカに都市型と呼ばれる選挙があるかどうかは知らないが、ニューヨーク州選出の上院議員てのは都市型選挙の代表である。故に、世界の趨勢が「都市型投票結果」になりつつあるのだから、4年後は十分大統領選挙を戦える。

アイ アム ヒラリーズ ハズバンド
何処まで本当か解らないが巷の噂では2000年沖縄サミットで、森首相は側近に挨拶は「ハウ ドゥ ユー ドゥ」(今時そんな挨拶するかぁ? ナイス ツゥ ミィ ツュ ユーだろうが)と言えとアドバイスされ間違って「フー アー ユー」とクリントン大統領に言ったらしい。これに「アイ アム ヒラリーズ ハズバンド」とジョークで応えたクリントウ氏に「ミー ツゥ」と応えたとか。ま、日本で信じられている定形の英語教科書挨拶を微妙に外した訳だ。
昔の英語の教科書には
「ハウ ドゥ ユー ドゥ」
「アイアム ファイン サンキュー アンド ユー」
「アイ アム ファイン トゥー」
とまぁ、書いて有るのだから。「少し」違うだけなのだが(笑い)。
 実はファーストレディならぬファストハズバンドにクリントン氏がなる公算はゼロでは無い。大統領不倫疑惑でもヒラリー婦人が離婚を選ばなかったのは、離婚により自分自身の政界へのデビューが消えるからと計算したからだろう。アメリカは意外と保守的社会で離婚歴が有って大統領に就任した人間は少ない。しかも短命である。レーガンが良い例だろう。そもそもレーガンが大統領になれたのは、保守的過ぎる保守派がかつて「禁酒法」を制定したように、保守に最大限振れた瞬間最大風速の結果なのだから。
 アメリカは多民族国家だが、こと選挙や政治になると白人社会である。多民族の多くの多民族は圧倒的に選挙権の行使を行わないのだから。
この「行き過ぎた保守」がヒラリー婦人(ま、婦人と言う表現は妥当では無いだろう。ヒラリー氏、かな)を大統領にする可能性は大である。

女性の敵は女性
 本当に8年後のアメリカ初の女性大統領を目指すのであれば、投票の半分を占める女性票を大切にすることだ。僕は婦人参政権を否定するものでは無い。まず、これを最初にことわっておく。
がしかし、税金と言う財源を元に運営される国家の政治に納税額に応じた意見の表明方法(票の格差)が有っても良いと思う。それこそ、それは国民が選べば良いのだ。会社の経営者も駅のホームレスも同じ1票を投じることが税金を財源とする国家企業体の運営に正しい方法とは僕は思わない。
 誤解をして欲しくないのだが、女性がホームレス票って意味では無く、馬鹿な男と同じ1票であることがしっくり来ないのだ。優秀な女性は無能な男性より国政への発言権が大きいほうが国家の為になる。がしかし、同様に優秀な男性の発言権が無能な女性の発言権と同じでも困る。つまり、男女では無く、人間として参政権には格差が有っても良いと言うのが僕の考え方である。そのためには、天から与えられた婦人参政権では無く、人間は平等なのだって観点からの婦人参政権であり、平等で有れば平等に担わなければならない責任も有るってことを自覚した女性が育って欲しいと思っている。
話しが逸れた。
 さて、ヒラリー氏だが、政治手腕は未知数だが大統領になるにはアメリカ特有の道徳感のユラギを利用するしか無い。先の禁酒法制定のような、レーガンが大統領になったような、アメリカの政治社会は独特の不可解なユラギがある。この波に乗った者は誰も妨げることが出来ない。それを、ヒラリー氏の大きな武器とするべきである。
 正直言ってブッシュ氏はみすぼらしい。トムクルーズやマイケルjフォックスのような小柄な男が受けた時代は過ぎ去った。やはりビック・ジョンやチャールトンヘストンがアメリカを代表する父親像であり、社会人なのだ。その意識をくすぐり大統領になったのがレーガンなのだから、これを利用しない手は無い。
 今、ヒラリー氏に贈るものは「おしん」のビデオである。必死に家庭を守り、一人の女性として自律もしていく、こんな潰れたヤオハンの初代社長の生き方は結末は別にしてプロセスとしてヒラリー氏をバックアップする。もちろんヒラリー氏にビデオを見ろと言うのでは無い。全米のネットワークに流し、自分と「おしん」をオーバーラップさせるイメージ戦略に取りかかることだ。
 レーガン氏は「強いアメリカ」をアピールして大統領になった。ヒラリー氏は「強いアメリカは、開拓時代から家庭を支えた強い女性によるものなのだ」とアピールすれば、ひょっとして8年後はヒラリー大統領が実現する。

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2000.12.27 Mint