プロ野球選手会はストライキを打つべき

時代錯誤かプロ野球オーナー会
 まずはプロ野球選手会の公式ホームページ。
 今時、こんな感覚の経営者が居るのかと唖然としてしまう発言が飛び出す正力オーナーの会見。日本共産党も唖然とする労使関係。時代は女工哀史の「ああ、野麦峠」にまで逆戻りしたのだろうか。あきれてノスタルジーすら感じる。
 日本のプロ野球が興行であることは前に書いた。プロとは一流と置き換えるか職業野球と置き換えるか、結局は後者の職業野球だろう。で、その経営は企業丸抱えの広告媒体。正力オーナーの発言は「看板が経営者にもの申すなんて、分をわきまえろ」ってことなのだろう。
 Jリーグの川縁チェアマンが「日本には体育しか無い。スポーツを根付かせたい」と発言した。これは、まさに日本にスポーツを根付かせるJリーグ100年構想の基本にある。日本のプロ野球はJリーグに代表される地域密着の「スポーツ」に何も学ばなかった。
 今、地域密着の姿勢を示しているのは横浜ベイスターズと広島カープ、それに北海道日本ハムファイターズくらいなものだろう。読売巨人軍に至っては憲法9条で保持しないとうたっている軍隊なのか。日本には戦後巨人軍と言う名の軍隊が自衛隊よりも先に復活していたのだ。
 巨人の一人勝ちが日本の野球を職業野球のまま、プロレスと同様の興行にしてしまった。興行だから選手は道具でしか無く、球団は興行主の持ち物でしか無い。それが、オーナーとして「正当な」発言を引き出しているのだろう。

新庄(shinjo)は運の強い奴だなぁと感心する
 オールスターでの本盗を見て、と言うか第1打席の予告ホームラン紛いのバントを見て、つくずく新庄選手ってのは強運に恵まれてるのだと思った。もし、野茂の故郷の近鉄にでも戻ったら、あんな行動は取れないだろう。しかも、もしかして最後のオールスターにMVPを獲得して名前を残したのだから。
 1リーグ制にでもなれば、オールスターは今までのセパの対戦では存続しない。その意味で、最後のオールスターMVPと言えるだろう。その日本ハムは1リーグ移行は有るかも知れないが、存続の瀬戸際からは蚊帳の外状態にある。日本ハム本社のオーナーの趣味で始まった日本ハムが自主自立の経営を目指して北海道にフランチャイズを移し、その初年度に新庄選手がメジャーリーグから戻ってきた。
 その意味で地域密着の経営戦略の実現に向けて1リーグ制になろうが2リーグ制のままだろうか地道な努力を重ねている最中の球団だ。

選手会はストライキによって主張すべきだ
 聞く耳持たずのオーナー会に対して選手会はどのような交渉を展開するつもりだろうか。現在まで流れてくる情報は「1年間の合併延期」が主たる意見だ。その他に選手の給与の高騰に対する策が少し見える程度だ。
労働者としての待遇改善の主張に留まるのがなんとも情けない。
日本プロ野球100年構想みたいな、高度に政治的な展開が何故出来ない。雇用改善程度の要求では国民の支持は得られない。何にも増して日本のプロ野球の構成主体である自覚が感じられない。体育会系のノリでは無く知力を発揮する場面で何度か球団と対峙したが、結局球団に押し切られてきた過去の経緯を踏まえて、まっこうから攻撃を計る必要がある。
 そのキーマンにヤクルトの古田選手会長が腹をくくるかどうかが、ここ数ヶ月の正念場だろう。そして、フアンを味方に付けなければ交渉は進められない。「また、来年も12球団でやりたいですねぇ」みたいなコメントをオールスター後に出しているようじゃ、古田選手会長にその力量が有ると思えない。
 交渉のテーブルに座るようにストライキを打ったら良い。ストライキが出来るってことは選手側も烏合の衆では無くリーダが居る集団としての交渉力を持てる証になる。今のままでは古田選手会長におんぶにだっこ状態を脱し得ない。また、古田選手会長に変わる新しいリーダが出てくるかも知れない。
 今出来ることは、内部固めと外部交渉力を一気に手に入れるストライキ実施しか無いだろう。それも、オリンピック期間は試合数が少なくなるのだから、この時期に実行すべきだ。あと1ヶ月しか無い。

最後はJリーグ方式だろう
 プロ野球が興行から脱しスポーツ化するには、何かと比較されるJリーグの仕組みの導入が必要だろう。それは現在のオーナ会が持つ既得権を剥奪するものだから抵抗はすさまじいだろう。しかし、企業の広告媒体であるプロ野球の興行をこの先続けても多様化したスポーツに対向出来る訳が無い。観客動員数、広告収入等が激減し、テレビの放映権料ですら、この視聴率では下がっていく。常勝巨人軍によるプロ野球支配の時代も終わりを迎えている。オロナミンCの広告も新庄(shinjo)選手に取られただろうがぁ。
 スポーツ文化が浸透しない日本にあって、興行文化ばかり優先したが、結局、すそ野の広いスポーツしか興行的にも長続きしない。たまたま、プロ野球興行は甲子園に代表される高校野球にすそ野を頼ってきた。それに加えて外国人選手枠、これがプロ野球を支えてきた。これにテレビに代表されるマスコミの全国への情報配信によって一極集中の構造で存続し続けた。しかし、もう限界である。それは、弱小球団の経営が立ち行かない現象として表れて来たが、根っ子は興行としてのプロ野球の限界に辿り着いたってことだろう。
 プロ野球興行は道具である選手を優遇して来た。高い年俸、遠征での身の回りの手配、広告出演料の全額選手へ、それらの方針によって選手を甘やかし「日本のプロ野球はどうあるべきか」なんて考えを起こさせないようにコントロールしてきた。年俸の代理人交渉なんて選手に知恵を付ける行為も厳しく制限してる。
 いま、一番考えなくてはいけないのは当事者である選手個々人なのだが、はたして、リーダが表れるか否か。それによってプロ野球の未来が決まっていくだろう。
 一言予言しておくと、星野仙一元監督、田淵幸一元コーチ、江本孟紀元参議院議員あたりが、大石庫之助役として選手会を支える動きが出てくると思う。

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2004.07.12 Mint