小泉純一郎は狼少年、公務員給与を下げろ
「痛み」を想定した施策を打つ
世の中は「デフレ・スパイラル」らしい。実はこのようなワードでマスコミに踊らされてはいけないのだが、この言葉が大手を振って目抜き通りを歩いてしまっている。
現実に「消費者物価」は下がってる。ついに物価すら右肩上がりでは無くなったのだ。で、これを受けて考えなければならないの1974年当時のオイルショックで諸物価が数倍の高騰をしたこと。その教訓を生かして年金には物価スライド制度が制定された。当時の新卒就職が激難の時代に居たからこそ、コンピュータの世界に足を踏み入れた僕が言うのもおかしいが、あのオイルショックは多くの人に「痛み」だったのだろう。当時は実感していなかったが。
オイルショックの時代に計算センターは初めて大卒採用に踏みきった。雇用がだぶついているのだから一気に今までの職人的プログラマーから全体を見通すシステムエンジニアを採用して脱皮しようとしたのだ。ま、僕が当時就職した会社も「職人芸」の計算センターだった。パソコンなんて無い時代。4台の大型計算機で委託業務をこなすだけで300人からの雇用があったのだ(信じられる?)。
夜に計算機が空くのを待って新しいシステムのテストを行うのだが、待っている間に僕みたい新人は缶ビールを買いに走らされる。ビールを飲んで出来上がったころコンピュータが空いたので使える。「素人は素面でも出来ない。俺達は酔っていても出来る」そんなかけ声で酒臭い息をはきながら朝まで仕事(かなぁ)するのが「常識」だった。
おっと、話しが逸れた。
結局、何が「痛み」なのか、小泉は明確にしない。これなのか、これなのかと突きつける全てが、どうも違うらしい。でも、そんな詮索を行ってる暇が無い事件が起こっている。
身内に「痛み」を説明して国民はついてくる
公務員の給与は人事院勧告で是正される。公務員の給与は、かつてオイルショックの時代に民間給与と倍以上の差が出たこともあった。その実態給与を反映させるための人事院勧告なのだが、歴代、少ないが右上がりの手法で良かった。が、消費者物価が下落してる今、そして民間給与が賞与の大幅ダウンで実質マイナスにある。制度の建て前から言えば、「減額」答申が出ても良い。がしかし、「据置」である。これって、理念を失っていないか。「痛み」はここには無いのか。
で、これを受けて「年金の物価スライド政策」も「据置」。おいおい、制度の主旨を厳格に適用する能力が行政に無いのか。と激怒してしまう。全て「心情的配慮」で包まれている。「改革」の一歩目は「主旨が時代背景に合わなくなったものを見直す」である。常に過去の延長線上で行われていた制度を見直し、変更する。これが「最初の一歩」だ。なにも革命的な事では無い。まず、自らの足元を見直すだけで、いままでの守旧な利権構造を正す事ができる。
がしかし、小泉純一郎の「改革」は、守旧派を避けて、やり易い所に向けられる。結果として「弱い者いじめ」であって、巨悪は温存される。巨悪とは何か。それは、現在の延長線上に居たい守旧派である。そこに向けて「痛み」の鉾で「聖域無き構造改革」を迫って欲しい、それが今の「小泉人気」なのだ。それが、虚像に終わりそうな昨今である。
国民に「改革」に付いてきて欲しいなら、痛みを目に見える形で示さなければならない。そして、それは行政府として身内に示して、自らの姿勢を明らかにすべきであろう。
公務員が最も「痛み」に近いはず
小泉改革が着々と守旧派に「聖域」のお墨付きを与えているのが、ここ半年の流れである。公務員だって自分達の給与が「聖域」になるのなら、小泉改革には賛成に回るだろう。自分が「聖域になれるなら」が小泉改革へ賛成を叫ぶ条件闘争になってる。それが、改革なのだろうか。それは「弱い者捜し」でしか無い。「聖域ワッペン」を得られなかった者がババを引くのだ。そのババのたらい回し。まさに、小泉改革はトランプゲームん「ババぬき」でしかないのだ。
国会議員から総理大臣になった小泉は立法府の一員から行政府のトップになった訳だ。がしかし、日本の三権分立の矛盾「立法府の代表が行政府を担う」の欠陥が如実に現れれるのだ。
小泉は「行政府のトップ」なのだ。だから、自らに痛みを課す権限は有るのだ。それを行使すべきだ。公務員制度の改革は小泉の独壇場なのだ。そこに手を染めないのなら狼少年だ。
小泉も結局「次回当選のみが行動規範の国会議員」いわゆる「陣笠議員」なのだ。その評価を返上したいのならば、政治家生命を掛けて小泉改革に取り組んでみろ。今のままなら、所詮「自分が可愛いぃ」自己中心の多くの国会議員と同じなのだ。
自分の土俵は棚にあげて、公共事業攻めは無能
平成14年度予算では、公共事業は説得力無いが「10%削減」のシーリング(予算要求基準)になってる。何が「公共事業」なのか説明の無いまま「旧来の、公共事業は」と表明している。説明責任欠如である。もっとも、役所の中の事なのでどうでも良いのだが。
その平成14年度予算に「痛み」があるだろうか。実は国の税金の執行と経済は微妙に違い「たぶん、経済はこのように推移するだろう」ってことで予算が整備される。その中に「失業が増える」ってことで「セイフティネット」って項目が有る。
おいおい、それは「公務員の失業特別対策」って言えよぉ。それを施策として行えよぉ。民間は死者累々、公務員はそれを「日本野鳥の会」のように傍観しながらカウントしてる、そんな話しが小泉改革の実態だのだ。
ガマの油売りは聡明だと思う。自らの身体に刃を向けている。それでこそ聴衆の賛同を得られるのだ。小泉は姑息に弱いところを捜しているのだ。決して、自らに刃を向けない。そんな奴に改革が出来ないのは自明だ。