米百俵の精神は何処に行った小泉

とても将来を見据えているとは思えない
 世界が劇的に動き、日本の経済もマイカルの倒産で政治に期待することなく自然な動きで崩壊が進んでいる。政治がリーダシップを発揮する事もなく放り投げられた経済は、自然淘汰の世界に入っていく。小泉の「改革」ってのは経済が崩壊し、焼け跡闇市になった時に「新秩序に向けて、これをやったのは私です」って事なのか。
多くの民間企業で成果が出た仕事は「私がやった」、失敗した企画には「だから、私は反対したのだ」って声が出るのと同じことを小泉内閣はやっているのか。マーフイーの法則に「失敗した事業には「始まる前から失敗すると言っていた」と言い出す人間が現れる」ってのがある。まさに、何もせずに日本経済が崩壊した状況を「俺がやった」と言いたいのだろうか、小泉純一郎は。
 大きな課題は「日本をアメリカのような「資本本位経済」にするのか、それとも「企業は国民の公器」とするか」だ。その姿勢の表明が無いから、日立、富士通、NECは人員削減って企業存続の手段を行使しようとしている。これらは新雇用を生むべきIT産業の範疇に入る企業だ。もはや、小泉経済策は論理矛盾を生じているのだ。このような、報道に接して「セイフティネット」なんて事が、そして「雇用促進」なんてことが絵空事なのは経済界(個人投資家を含む)ではあたりまえになっているのだ、だから株価は下がり続けたのだ。
 「国民の支持」を背景にしたいのならば、支持層がオバン層なのだと認識しなくてはならない。国民ってのは、半分が男で半分が女。そして、ポスターを買う世代はオバン世代のみなのだ。後は、流行に流せれてるだけ、それを国民の支持と読み違える小泉も情けない。

言い訳ばかりで何も具現化していない
 今は珍しいが、あなたがノミに喰われたと思ってほしい。掻いてはいけないと思うけど痒くてついつい掻いてしまう。皮膚は赤く腫れ上がる。そんな状況を打開するには全身薬を塗るしか無い。でも、3日もすると腫れは引く。
 公益法人の解体なんてのは100年も前から行われていたのだ、サッポロビールって会社は官営工場の払い下げで出現したのだ。そんなものが「小泉政権」の目玉だとは思わない。当たり前の時代に遅れた組織を見直すってのは「当然の行為」なのだから。
基本的に「何もしない」ってことが罪なのだって事が解っていないのが小泉純一郎だと思う。そもそも息子の行動を見ても、上り詰めた最終ポジションが首相なのだろう。首相になって何をしたいって意識は一切無い。首相に成るのが目的であり、そのために数々の努力をしてきたが、ゴールを抜けたとたんにマラソンは終わったのだ。
 人生を賭けて総理大臣にアプローチした。で、それを得た。満足、満足、ただそれだけだろう。国会議員の典型なのだ、「何をするか」では無くて「いかに議員を続けるか」が哲学になってしまっている。「自分が」議員であることに固執して政策だとか、経済だとか「とうでも良いこと」になっているのだ。そんな奴に立法府を預けていたのがここ50年の歴史だ。
 「ゴールテープを切った人間に、まだ、走れと言うのか」そんな気持ちが小泉の言動の端々に感じられる。だから何も実現しないのだ。「小泉純一郎総理」で有り続けることが唯一無比の強靭な政策なのだ。ただそれだけなのだ。

そもそも、個人プレーだけじゃないか
 何が出来たのだ、小泉。
と僕は言いたい。絶叫調の内容の無い演説。「小泉に委せてくれ」と空手形。やってることはV6やモー娘が総理大臣やっても同じだろうなと思われるような稚拙な施策。そもそも、テレビに出てくるのは立ち話シーン。これすら改善出来ていない。首相官邸が新しくなるのだから、首相官邸からテレビ中継して、直接国民に語りかける事をやったらどうだ。党首討論で質問されて絶叫調ではぐらかすのでは無くて、質問される前に国民に説明したらどうなのか。
 こんな簡単な事も小泉は「改革」できていない。「首相公選」は何処に行った、郵政民営化なんて公社化で線路引かれているのにまだ譫言を言ってる。一部の報道では小泉は国会での野党の攻撃にいたく傷つくらしい。責められると自信喪失になるらしい。だから、野党と顔を会わせたくない、できれば自分に賛成する人間に囲まれていたい。そんな、内弁慶らしい。
 週刊誌のネタを信じるわけでは無いが、今まで半年間の小泉の言動はたしかに変人である。良く言えば繊細な、悪く言えば芯の無い、世渡りだけで当選を重ねてきた小心ものが総理大臣になってしまった。だから、何も決められない。今までは誰かが決めた事に賛成か反対を唱えていれば良かった、これからは自分が最初に決めなければならない、でも、決めるための判断材料となる情報が無い、知識が無い。己の弱さをさらけ出したく無いので大声で絶叫調に演説する。これ、全て小泉がいかに小心ものかの証左だろう。
 小泉流のパフォーマンスも一皮むけば、弱い犬ほど良く吠えるってことだ。
 その吠え声にビビル鳩山も情けない。「時間が無いので次に行きます」と言いながらメルマガでは「質問をはぐらかされた」なんて、情けないぞ。党から言われた質問を全て消化する党首でどうする。個性を出せ、はぐらかされたら同じ質問を100回しろ。

米百俵の精神は「かけ声倒れ」なのは皆が解った
 何年先を見て舵取りしてるのだろうか。目先の課題にのみナタを振るい、目に入らない事には何も手を打たない。近視眼的施策ばかりでは将来の日本が見えて来ない。
米百俵の精神は「人材育成、将来への投資」である。この施策が小泉施策の何処にあるのだ。まったく無い。「構造改革無くして景気回復無し」それはそれで良い。しかし、将来の日本を担う人材育成にどれほど手を染めているのだ。米百俵を自ら喰ってしまってるではないか。そして、将来にツケを回している。いやいや、最悪なのだ。方針が具体化しないので、米百俵は倉庫で腐り始めているのだ。
 現在の金融機関の不良債権処理は経済が富の蓄積では無く、価値の流通に有ることを考え、滞留の目詰まりの解消が必要なのだと頭を働かせろ。だとしたら、滞留の中には地方自治体の地方債も勘定に入れるべきだ。この滞留も解消しなければならない。利息が入ってくる間は不良債権では無い。これって、「難波金融伝の萬田金融」と同じだ。トイチの利子が入ってくるうちは元金の返済は求めないって、ただ、それだけだ。金融機関はトイチでは無いので、利息だけでは金が回らない。
 そもそも、地方自治体や国の借金分が流動資産として回れば不景気なんて解決するのだ。根本的に間違っているのは「不景気は金が回らない状況」って認識が無いこと。何処かで金が滞留するから流通しなくなって不景気になる。借金を返すのでは無く利息を払って継続していると、この元本が滞留する。金融機関は戻ってくる利息分しか新たな流通に回せなくなる。
日本は世界になだたる貯蓄国家だが、金は貯まっているだけでは経済に何も影響をおよぼさない。貯蓄は全て不良債権として誰かが借りた金に化けているのだ。戻る保証も無いのに銀行の通帳を見ながら個人財産の高をほくそえんでいても意味は無い。預けた金は全て借りられている。その僅かな利息だけが経済になってる。しかも返ってくる保証は無いのだ。
 インフレ無き、増税無き財政再建は不可能だろう。唯一、それを可能にするのは国際進出だ。弱い国を叩いて自国を生長させるのだ。それが、欧米各国が15世紀から行ってきた経済政策なのだ。そのような国家に日本がなるのか、そんな国家の将来像の提示が小泉からはまるで無い。
 繰り返すが「米百俵の精神」とは、未来を信じさせる説得力あっての事なのだ。この国の経済の状況を理解すれば、リーダが担う責務は見えてくると思うが、息子とキャッチボールやってるようでは解ってないのだろうなぁ。

PS:11日のアメリカ同時テロを受けて、内閣が「憲法の範囲で最大限の支援をする」と声明を出したが、内部から「憲法の範囲で出来るのは、精神的支援ってことだ」なんて声がある。「皆さん祈りましょう」って程度なのだ、それが官僚が書いた作文「憲法の範囲で最大限の支援」なのだ。しかも、パキスタン・インドへの経済協力凍結を解除とか。原爆作って実験してる国でもアメリカに尻尾振れば日本は経済援助するってことかぁ。これも官僚の作文。そんなものに振り回されるのは、自ら情報を得ながら勉強してこなかった証左だ。もはや「GIジョー・小泉」と言って良いほどアメリカだけが外交って頭になっている。

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2001.09.15 Mint