今度は真っ黒「鈴木宗男」
巧妙に仕組んだが穴だらけ
昨日の菅直人(民主党)の予算委員会での「鈴木宗男議員のいわゆる「口利き」が有ったのか。との田中外相への質問に「そのような名前が出たの野上事務次官から聞いてる」との答弁に当人の菅直人が驚いていた。その答弁の切れの良さにである。事実関係について言えば、前日の参議院での予算審議でも民主党の議員から質問され同様に答えていたのだから。
僕が入手した情報を時系列に整理すると、
1月19日および20日未明に外務省がNGO組織であるピース ウィンズ・ジャパンとジャパン・プラットフォームに対して会議への参加を見合わせて欲しい(参加拒否)を行った。
この団体のホームページ(http://www.peace-winds.org/01saisin/index.html)に21日付けで外務省の参加拒否が有った旨掲示された。それに先立つ20日の記者会見で「鈴木宗男」の名前が出たので直接取材された内容が同日の夜のニュースに流れた。
22日午前で終了の「アフガニスタン復興支援国際会議」にかろうじてオブザーバとして2団体が参加できた。
23日の参議院予算委員会で民主党の質問に田中外相は鈴木宗男議員の関与を肯定。翌24日の衆議院予算委員会での菅直人議員の同様な質問に同じく肯定。
同夜(24)、野上事務次官は「鈴木宗男議員の名前は言っていない」と釈明。がぜん、田中外相糾弾へと自民党(橋本派)は動き始める。
それぞれのキーマンに微妙な違い
まず、20日未明のNGOへの連絡だが、外務省の宮原信孝・中東2課長が2回電話してきてきた。この中で「鈴木宗男」の名前が出たことは、両団体のホームページから推測できる。
この20日の記者会見を受けての鈴木宗男議員へのインタービューで着物姿の鈴木宗男議員は「政府のやることに批判的なら、政府が主催する会議に出てくれなくて結構」とまるで筋違いな返答をしている。
野上事務次官の「鈴木宗男先生の名前は言っていない」は、田中外相が「鈴木宗男なのか!」と問いただしたらうなずいた、って場面でも字面だけは正しい。しかし、会話の内容として田中外相が「そう聞いた」と言うのも間違いでは無い。
加えて「参加拒否は外務省の責任で決めた」と、あたかも鈴木宗男の関与が無かったかのような会見は、逆に「口利きが有った」との証左になっている。技に溺れて勝負に負けるの例である。
何故、鈴木宗男は外務省に取り付くのか
かなり憶測を交えてだが、森前首相が田原総一郎氏の参加するサンデープロジャクトで北方領土2島づつ返還論をとうとうと述べた。これは田中元総理大臣の4島一括変換の方針を挫くもので小泉内閣で外務大臣に任命された田中真紀子外相にとっては晴天の霹靂。だれがこの知恵のない元首相に「ご注進」してるのかと言えば鈴木宗男。
考えてみると退陣決定にも関わらず、何故アフリカ訪問を森元首相が行ったか。その露払いに外務大臣(当時は河野外務大臣)でも無い鈴木宗男がアフリカに走ったのか。ここに「ODA権益」って税金に群がる議員達が見え隠れする。外交族としてODA予算を押さえる。その族議員達にとって外務省は子飼いの官僚で占められなくてはならないのだ。
アフリカODAには掘ればかなり生臭い話がある。その随所に特定の国会議員が見え隠れする。そして本人は気が付いてない程脳天気だが、これらの集団にとって田中真紀子外務大臣はゴルゴ13を雇ってでも排除したい存在なのだ。
官僚と一部の議員が組んで墓穴
民主党は予算委員会での証人喚問を求めた。国民の田中人気から変な話だが民主党は田中真紀子の応援団として証人喚問をすることになる。この場合の政界は単純で敵の敵は味方となる。民主党はまさに「ショウ・ザ・フラッグ」の場面を向かえる。大きな方針では小泉・田中人気を民主党が利用できる形態を模索しているのだ。小泉・田中を冠に、その冠をかぶるのが民主党政権ってシナリオが一番近い政権奪回のシナリオだ。
旧自民党を切り(ついでの党内の旧社会党も切り)新自民党との連合政権、これが5年以内の政権奪取の方法だろう。10年かければ別な方法もあるかもしれないが、はたして10年も今の自民党で日本は潰れないのか。
「政府のやることに不満なら政府の会議に出て貰わなくて結構」って鈴木宗男の暴言は、そのまま、口利きのお偉いさんが議員だってあぐらをかいているようなもの。「政府のやることに不満があるなら耳を傾けてみよう」ってのが行政の基本姿勢でなければならない。それにも増して「立法府の行政府への干渉」これは前に田中真紀子が「うるさいから質問辞めさせてくれ」って言った時に「行政府への干渉」と言ったのは当の鈴木宗男本人だったのだ。
残念ながら田中真紀子に「涙の記者会見」をやられてしまったからには完全に負けだな。