秘書給与疑惑は手当が聖域化したから

「手当」って無条件支給が常識
 誰でもやってること、これを検察が「違法」として取りしまる。それは官僚と政治家のバランスの攻防戦だろう。それをマスコミはあっちに付いたりこっちに付いたり定見の無さの象徴が昨今の「議員秘書給与疑惑」なのだ。マスコミを巧みに利用する、巧みに利用されたがっている両者のなれ合いなのだ。そこの本質を見きわめなければ「また出た」みたいなコメントしか出来ないのだ。
 守秘義務ももう時効だろうから言うが役場の給与計算って結構委託計算センターに出される。不正の防止って意味もあるし度変わる税制に担当者の知識が追いつかないことも理由の一つだ。この仕事を委託計算センターでやっていたのは20年以上前なのだが。
当時の(今も同じと聞くが)市町村の職員給与台帳は完全に二重帳簿だった。報告する基本給関連を集計した台帳と実際に支給する台帳の二重帳簿。ところが人件費って項目で両者は同じ金額になるのだ。カラクリは単純だ。闇手当の支給である。固定的に支給される個々人の闇手当の合計を組長を筆頭に管理職の本来支給してない手当に合算してしまうのだ。国の調査は職員の給与であり特別職には及ばないのでこの手で闇給与を支給していた。
 自治体住民にばれないようにあくまで基本給は低く押さえられてる。がぁ、新入職員に「図書手当」なんてのが8000円も支給される。何故か管理職には無い。これって、闇手当で労働組合との談合だろうがぁ。一番の税金泥棒は市町村の労働組合なのだ。生活向上を唱って「自分さえ良ければ良い」って結果しか出してない。そもそも定期総会の出だしで「世界警察を唱うアメリカは。。。」なんて発言が労働組合に必要なのかってあたりを吟味もせずに続いていたのだ。
 とまぁ、自民党とか関係なく「大義を振り回して私欲を肥やす」ってのは日本的文化であったりする。

「秘書給与疑惑」の存在
 そもそも「歳費の補填」ってことで国会で議論したのだろう。政治に金がかかるから補填しようって考え方で、政治に金が掛からないように抜本的に改善しようとの各党の良識(かな?)は金の前に後ろに隠れて法案は成立してしまったのだ。
 金の問題では国会議員が国の会計の基準である「入りを知りて出を決める」の考え方すら忘れていることが解る。結局「次回も当選するためには」政治なんかやってる暇は無いけれどせめて「秘書」に地元回りをさせようって経費なのだ。それを恥を知るものだから「政策秘書」なんて名目でお手盛りをする。
 公務員の最大の欠点は制度の検証である。民間ならば「政策秘書」の効果を吟味し、効果が無ければすぐに廃止する、がしかし、国の制度に取り込まれるとスキャンダルでも無い限り未来永劫銀河系が滅びても制度は存在するのだ。で、「政策秘書」の「投資」は無駄だったのだ。立法府は相変わらず料亭でドンチャン。であれば誰かが「辞めろ」と言えば良いのだが公務員の世界に「辞めろ」って制度は無い。全て前例の積み重ねである。
「前例が無いから出来ない」なんてことをマスコミは攻撃するが、「前例が有るから継続している」って無理無駄をどれほどマスコミは取材してるのが。そもそも米穀通帳の廃止に何年掛かったのだ。
 で、手当制度があれば利用するのが当然って「自分だけがかわいい」政治家は群がる。申請の条件をクリアすれば貰える金なのだから申請しない奴は馬鹿だ。そんな感じで国民の税金を喰う。それも本質を暴露すれば自民党も労働組合も同じなのだ。
 税金制度(律令制度)が招いた宿命が税金にたかる蟻なのだ。だから前に書いたようにそこを辞めることが大切なのだ。
 公金(税金)を私物化出来る制度が出来ればみんな群がるのだ。だから、公金(税金)を無くせば良いのだ。そんな発想を持てる政治家は今は居ない。

税金は国が「努力して」集めるもの
 当然入ってくる金。それも「単年度会計」の制度から単年度で使ってしまわなければならない。こんな会計制度がメチャクチャなのだ。3月に入るとやたらセミナーが多い。それは地方の自治体で余りそうになた予算を札幌出張(2時間のセミナーに1泊2日で来るんだよなぁ)に使う。公務員の出張は民間から見たら笑ってしまうくらい「江戸時代」なのだ。北海道は堂垣内の時代に「交通事故非常宣言」ってのが出て、職員の出張は自家用車は駄目ってことになった。これを子踊りして喜んだのは労組だろう。近くても1泊2日の旅費が出る、それは江戸時代の歩いて行くくらいの距離感の無さ。XXXの現地で集合した道庁の職員が「一泊は義務ですからぁ」とかいって旅館を手配していた。「明日、空沼でも行きます」とか行っていたが(XXXが解るって!)
 公務員って職種は日本の近代化のなかで生まれたのだけれど、結局サラリーマンの一部であって決して特殊じゃないと思う。だから、地方自治体はそれぞれの姿勢を示し「サラリーマン」を募集したら良いのだ。現実には募集もいいかげん育成もいいかげん、ま、自治体ってロシアを批判する権利は無いぞってくらいイイカゲン。

国民に目を向けないのが政治
 「効果の無いものに国民の税金を使うな」これは律令制度が民主主義で運営されるための基本だ。「集めてしまえばこっちのもの」にならないように情報開示が求められるのだ。すべてこの尺度によって計らなければならない。小泉の姉が「政策秘書」らしいが、総理大臣でも国会議員と同じく政策秘書を個別に持つってのでは「政策秘書手当」は完全に目的を逸して「無条件支給手当」になっている証左だろう。
 前にも書いたが、とにかく三権分立に加えて四権目の「監査機構」を作るべきだ。税金の使われ方をチェックし国民に情報開示する。既存の組織をどういじったって身内が可愛いいのだから不完全になる。この機能が無かったために不要な外郭団体、公務員の天下り放題が蓄積してしまったのだ。
 天下りについては別途書く予定だが「同期が次官になったら他は皆辞める」って制度がおかしいのであって、そのための受け皿をせっせと外郭団体作りに向けていたのは物事の本質を見ないで「個別絆創膏張り」の結果である。何故そうなるかと言うと組織は他の組織を動かすよりも自らの中で道を曲げてでも自己保身を計るからだ。日本は「黒船が(外圧が)来ないと何も変わらない」と言われるのは、実は組織の自己保身機能が働いているからなのだ。
 とにかく広い意味で
効果の無いものに国民の税金を使うな
この一点である。

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2002.04.20 Mint