親の七光って日本の言葉が的確に反映するブッシュ大統領。本人の能力は歴代アメリカ大統領として２番目くらいに低い。一番はドナルド・レーガンだと思うのであえて、２番目と言っておく。アメリカ人は大統領が好きだ、と言うか、大統領の元に国民は結束しようって事が無ければ多民族国家は存続出来ないから、大統領中心の国政を国民が支持しなければ国が成り立たないのだ。その意味を込めてアメリカ人は大統領を大切にする。フロリダでの投票結果が実はゴア氏の勝利だったのが解った現時点でも、決まってしまった大統領を変えようとはしない。扇の要みたいな機能を大統領が果たしていることを認めなければアメリカは国家として存続出来ないのだから大統領は支持され、行う政策も支持しなければ国家が成り立たないのだから、支持する。
　つまり、アメリカは「国家として一つになるための機能」が必要で、そのために大統領が存在し、大統領を頂点に国の仕組みを構築している。ま、はっきり言って１００年前の時代背景そのままにアメリカの民主主義の基本である選挙制度は維持され続けたのだ。
それが現代に合うかどうかを論じる前に、この制度で選ばれたブッシュ氏は制度の隙間（ニッチ）だったのだってのが僕の考え方だ。申し訳無いが大統領になる前の本人の記者会見を見ると解るが、知識が貧困である。物事への対応も「出た所勝負」であり、胸の内に「方針」すら無い。このあたりが小泉首相と同じなので息が合うのかもしれない。
そして、自分に考えの無い人間は取りまき、とくにイエスマンに言われたことをそのまま鵜呑みにする。それが今のアメリカの政治の中心である大統領の実態なのだ。

　戦争は外交の一環なのだから、目的を設定し、これを達成した所に戦争の終焉がある。その目標設定が今回の武力行使では明確では無い。ＣＮＮを見ていると「ＷＡＲ　ｉｎ　ＩＲＡＱ」が表題であり、日本の「イラク戦争」とは表現が微妙に違う。日本語のニュアンスに合わせるのならば「イラクの戦い」が日本語表現として打倒だろうか。「イラクでの戦争」もＣＮＮの表現に近いと思う。決して「イラク戦争」では無いと思うのだが、これは英語を日本語に翻訳する時に常に付きまとう問題点。
　もう一つニュアンスが伝わらないのが「ｄｉｅ」と「ｋｉｌｌ」の訳し方。アメリカのマスコミでは使い分けている。フセインは死亡していない。の死亡は「ｋｉｌｌ」で書かれ、アメリカ兵の死亡は「ｄｉｅ」で書かれてる。これがＮＨＫあたりの外電紹介では死亡って用語に統一されてるのだ。
　さて、戦争の目的はイコール戦争終焉のシナリオなのだが、現在時点でこれが明確になっていない。バグダッド陥落で無いことは明確だ、アメリカは侵略するのでは無く「イラクの自由作戦」を展開しているのだから。だとすると「イラクの自由」が目的の戦争であり、それが実現したら戦争は終焉するのだろう。で、「イラクの自由」ってなんだ？
結局、親米政権樹立が「アメリカから見たイラクの自由」なのだろう。だから、バグダッド陥落もフセイン抹消も戦争の終焉に結びつかないのだ。親米政権が樹立されるまでこの戦争は終わらないのだ。これって、３０年前にベトナムで経験したように、実現不可能なのだ。当時ケネディ大統領暗殺にまでつながったと言われてるキューバ進攻のトンキン湾（だったっけ？）事件と同じように、他国を親米化するなんて幻想は捨てたほうが良いのだ。日本で進駐軍が成功したことが一般論では無いのはキューバ、ベトナムで実証済みだろう。
　イラクに親米派政権を樹立するってのが目的なら、この戦争は長期化どころか永遠に終わらないのだ。

　どれくらいの期間を短期と呼ぶか決めておきたいが、世界経済への影響を考慮すると２ヶ月だろう。各国の石油の備蓄が一時的な高騰や品不足を調整出来る期間だ。これを越えると急激に石油不足への不安が高じて世界経済は混乱する。「正義のための戦争」が自国民を経済面で傷付け始めるのが２ヶ月目あたりだろう。日付で言えば５月２０日前後である。
　どこまで脳天気なのかと思うのがアメリカ軍はイラクで解放軍として認知され、多くのイラク兵が投降して来るって初期のシナリオ。これって、誰が考えたのだぁ。今のイラクの反体制グループの考え方は、フセインは打倒しなければならないが、アメリカが入ってくるのは反対だ、ってことだろう。
そのバランスがフセイン打倒とアメリカ進攻のどちらかを選ぶかって究極の選択になった時に、アメリカ進攻にはＮｏなのだろう。フセインのほうがまだ自分達で何とかできると考えられてるのだ。それに対してアメリカはフセインよりも自分達のほうがイラクの国民に望まれているって幻想を抱いているのだ。それは全部、無能なブレインがブッシュに吹き込んだ幻想なのだ。
今のままでは長期化、泥沼化は必須である。ブレアが手を引けるかどうかが重要だが、所詮、馬鹿なブレインがアメリカは世界に支持されてないと自ら気が付くまで、この「イラクでの戦争」は終わらないだろう。
まったく、馬鹿なんだからぁ。