衆議院の年内解散総選挙は有るのか
小泉再選にむけた小泉首相の切るカード
小泉首相の関心は総裁再選のみに集約されているようだ。経済政策も外交もあまり関心が無いので「丸投げ」の状況は続いている。その再選に向けて使えるものは何でも見境無く使うってのが今の小泉首相では無いかと勘ぐる。
1)衆議院解散カード
選挙が近いとすれば誰が総裁ならい自民党は勝てるのか。その一点で別に選挙がどうなろうと関係ないのだ。「選挙が有るとすれば誰が総理だと良いのか」。ただそれだけをカードとして使っている。
2)内閣改造カード
小泉首相は2年間更迭以外では大臣を変えたりはしなかった。その意味で大臣のポストが派閥の推薦により順番に回ってくることが無かった。でそろそろ大臣の時期って中堅の議員は「小泉支持によりポストが巡ってくるかも」って心を動かされる。この心理も小泉再選に向けてのカードなのだ。
3)抵抗勢力挑発カード
小泉人気は判官贔屓の人気である。改革を目指すが抵抗勢力の攻撃にあって、これと戦うことにより人気を得てきたのだ。決して改革の実績を認めて今の人気があるのでは無い。やってることは前森首相と50歩100歩でも、抵抗勢力との戦いの錦の御旗が小泉人気の根元である。だから、抵抗勢力が目立つように挑発する。抵抗勢力はまんまと乗せられて小泉人気を煽るサクラにされてるのだ。このカードが一番積極的に切ってるカードかもしれない。
4)強制解散総選挙カード
自民党総裁選挙で落選しても総理大臣ではある。新しい総理大臣を国会で指名する手続きが必要になる。開催された国会冒頭で「衆議院の解散宣言」を小泉首相は出来る。なんとも矛盾したやりかただが、自民党総裁選挙に敗北したら衆議院を解散するってまったくムチャクチャな「コップの中の嵐の流出」ってカードも切れるのだ。
5)民主・自由合流カード
野党が台頭してくると自民党は次の選挙で危ないぞ、なんとしても小泉人気で選挙を戦わないと本当に政権交代が有るかもしれない。と、実は小泉首相にとって民主・自由合流は首相再選へのカードなのだ。
大胆予想をしておこう
上記の例はあまりにも子供っぽいと思われるかもしれないが、実は自民党総裁選挙って「コップの中の嵐」では大変重要な事ばかりなのだ。もちろん、国民の代表としての国会議員の使命なんて観点からは全然かけ離れた所で「コップの中の嵐」は動いているのだ。だから、子供っぽく見えるのかもしれない。
上記に加えて「マニュフェスト」も小泉カードの1枚になろう。「政策を戦わす総裁選挙」って旗を掲げることが出来る。政策本位となれは小泉と政策の何処が違うのかを明示しなければならない。ところが、改革を方針(ま、方針だけで戦略も戦術も無いのが小泉首相の問題なのだが)として上げているので他の候補の小泉首相と違うマニュフェストは「改革しない」になってしまい打ち出すことが出来ないのだ。いまさら、改革しないって公約で立候補出来る厚顔無恥な国会議員は居ないだろう。これで麻生氏は封印されてしまっているのだ。
さて、タイトルに話を戻すと、大胆に年内の解散総選挙は無いと予言しておこう。これだけのカードを持った人間は今自民党の中に居ない。形式的な対立候補は出るだろうが小泉圧勝での再選に落ち着くだろう。
全てのカードは総裁再選にむけて切られたカードなのだが、実際に総裁再選されてしまうと、つまりコップの中の嵐が収まると、このカードは実は両刃の剣だったのだ。自民の中では切り札だったカードも実際の国会の場では何枚かは自分にむけられる逆切り札にもなる。
一番手強いのが民主・自由合流だろう。11月の総選挙に向けて相手のアバタをエクボと思い合流してきたが、ずるずると総選挙の無いまま推移すると熱も冷めてしまう。相手のアバタがアバタに見えてくる。出来れば野党合流に社民党も加わってくれててば解散総選挙を先延ばしして憲法論議で野党の団結を揺さぶることすら出来るのだ。
小泉圧勝再選の後にくるのは、内閣改造も小規模しかも竹中交代は無し、解散総選挙は無し、つまり、何もしない小泉首相に戻るのだ。
小泉純一郎危うしの場合
あまり想定出来ないが一つだけ「自民党的な」手がある。自民党総裁選挙は公職選挙法の適用を受けない。法律的な制限は小学校の学級委員選挙と大差ないのだ。紙爆弾(もちろん札束)が飛び交えば結果は分からない。この「自民党的な」手法では小泉首相は戦うすべが無いのだ。この紙爆弾戦法に強い人間が札で札を洗うような作戦で絨毯爆撃をしたら、以外と結果は「自民党的な」ところに落ち着くかもしれない。
逆に、今の小泉首相に勝つにはこの手法以外ないだろう。もちろん自腹を切らなくても良い。公共事業を全面には出せないがエゲツナイ戦法としては票に結びつかない外郭団体を切って紙爆弾を捻出して予算として配るからと一筆入れれば良い。その紙爆弾で次回の選挙も安泰だろうから総裁に支持してくれとバーター取引をする。
「自民党を我々の(金庫として)、取り戻すんだ」と気炎を上げれば付いてくる「自民党的な」議員は沢山居るだろう。そこまで行かないにしても、これがコップの中の嵐に一石を投じる。で、小泉首相の再選は苦戦する。ただ、敗退することは無いと思うが。
今度はその勢いをかって内閣改造を迫られ、小泉首相はどうにもならなくて解散総選挙に打って出る。ま、こんなシナリオもあるかもしれない。(ま、これは前回書いたな)
もっと大胆な予測
小泉首相が地金が出て何もしないでダラダラしていると衆議院の任期ギレが迫る。ここで衆参同時選挙しか選択肢が無くなる。公明党は烈火のごとく小泉批判を行う。そこで「ならば結構、公明党とは連立解消しましょう。保守新党は自民党の中に取り込みましょう。いやなら保守新党から出ていけば良い」と衆参同時選挙に踏み切る。
ただし、小泉首相は解散カードを切ると同時に新党旗揚げを行う。「自民党を引きずって改革を行っても50年かかる、その時には私は生きていない。だから、改革の速度を加速するために、連立改革内閣を組織する。そのために改革で私に付いてくる新党をもって総選挙に挑む」
これが小泉首相が言っていた「自民党をブッツブシテでも」の公約と一致し新党は全員当選(ほとんどが元自民党なのだから)、選挙後に民主・新党連合政権が発足する。結局、小泉首相の出来ることは2大政党政治では無くて一人勝ち政党政治であったと、後年の歴史書ににに書かれる。
そんなシナリオも有るな。
既に「細川政権」って前例もあることだし。