犯罪を確信してる意味で「犯罪だと解っていて罪を犯す」を確信犯って用語の用法だと思っている人が多いっての新聞で知って驚いてしまった。
　本来の意味は「本人は信念に基づき正しいと思って行っている行為が社会的には罪を犯している様」である。僕は「キチガイに刃物」と同義語で「確信犯」を使っている。昔の連合赤軍の浅間山荘立てこもりなんかが「確信犯」であり、テルアビブ乱射事件なんかも「確信犯」だろう。
　人間には「社会的に罪である」って意識が行動を規制する面がある。だから確信犯の怖さは「キチガイに刃物」と同じ意味で怖いのだ。
　文化庁の調査で６０％もの人が誤解釈だと指摘されると「言葉は生き物なのだから議解釈が６０％を越えたら、誤解釈が正しい用法になるのだ」って発言をインタネのホームページで散見する。一見正しいように思われるが、この場合のように「真逆用法」の場合は、言葉を封印しろと叫ぶのが正論だと思う。誤解釈多数決論は言葉とは何かを知らないのだ。意志を伝える道具が真逆では使えない。正しい語源で使うか封印するしか無いのだ。
　実は「流れに棹さす」を僕は誤解釈していた。ま、他人に責任を転嫁するつもりは無いが、中学の教師が夏目漱石の草枕の「情けに棹させば流される」の説明を正しく出来ていななかったのではとトラウマ論にすりかえたくなる。しかし、この文章は「情け（って流れ）に棹させば（水底に棹をさして船を進める、上流へ向かうのか下流へ向かいのはは不明）流される。（ここで棹が流されると読むか、船が流されると読むかで解釈が違うが、どちらにしても流れに流されると解釈してしまった）」ってことで、流れに棹をさしても流れに流されるから無意味と理解した。もっとも、自分でも不明確だから「流れに棹さす」は封印して使ったことがない。言葉は生き物だから不明確になったら使わないってのも一つの選択肢だろう。

　ま、ごちゃごちゃ言ってくるだろうが気にしないってことで確信犯と少し違うかもしれないが、やんちゃ坊主の歯切れの良いレトリックに引っかかっても始まらない。相手は作家で言いたいことを言うよりもいかに読んでもらうかのプロなのだ。多少のレトリックは芸術の一部なのだ。
　自民党の首相選挙の応援演説、それも亀井静香氏の応援って場面が既にレトリックなのだ。「不審物仕掛けられて当然」は今までの行状を踏まえての修飾語なのだ。述語では無い。それを揚げ足取りで騒ぐマスコミもやれやれなのだが、マイクを向けられたり取材されてニコニコと応じて事実関係よりも修飾語をあげつらって糾弾するって姿勢のヒョーロンカがこれまたやれやれな奴と言わざるを得ない。お釈迦様の手のひらを飛び回る孫悟空なのだ、いや、手のひらでは無くて石原都知事の尻馬に乗っているのかもしれない。
　確信犯には何を言っても始まらない。己の確信してることを論破する気が無いのならヒョーロン控えるべきだろう。日本の北朝鮮との交渉が外務省の密室で行われていることは事実なのだ。そもそも外交は密室で行うって体質が外務省にある。これは水面下を密室に勝手にはき違えている外務省流に問題があるのだ。水面からは何も見えない状態では駄目で水上では国益優先、水面下で妥協の道を探るって方針が無ければ駄目なのだ。
　福田赳夫の「あひるの水掻き」（水上からでは見えないが、水面下で一生懸命動いている）ってのは日本的な「わび・さび」ならまだしも、外交・政策として透明性が無いのだ。指摘された田中均外務審議官が抗弁するならまだしも外務省が遺憾の意を表すなんてのは組織のミスを組織で隠す行為でしか無い、それを石原都知事のレトリックで白日の下に引き出されたら、外務省ってのも恥の上塗りなのだ。

　正直言ってここが一番解らない。両方とも青嵐会だったっけ？　ま、一方（亀井静香氏）は当時は端っこで目立たない存在だったが、その後、まさに「青嵐（雲）の志」を曲げてしまってグスグスな政治家になった亀井静香なのに、何故石原都知事は応援演説なんかに出かけたのだろうか。
　顔を売りたいからとしか考えられない。個人的趣味、イギリスのブレア首相の出たがり病と同根なのだろう。まさか亀井静香氏が総裁選挙で勝つと思っての応援でもないだろう。勝ったって小泉首相の衆議院解散の伝家の宝刀を抜かすだけで総理大臣の椅子は手に入らないのだ。
　石原都知事のことだから、コップの中の嵐を外に引っぱり出してコップの外で嵐を起こそうとしてるのだろうか。だとすると亀井総裁指名が有ればコップの外に事態は動くのだが、その準備を石原都知事がしたたかに進めている風も無い、単に「祭りだ！　祭りだ！」と２チャンネル風に騒いでいるだけだ。
　持論の「原水爆作ってる国へＯＤＡなんてとんでも無い」、「中国はchinaと書くのだからシナと呼んで何故悪い」、「北朝鮮はアラブにミサイル誘導装置を輸出している」あたりの確信犯発言も今後バンバン出てくるのだろうか。亀井静香氏の応援演説に名を借りて「石原慎太郎演説会」になるんだろうなぁ。利用されてる亀井氏もこれまた「首相の器では無い」って見せつけることになるのが解らないのだろうか。