二人の元総理の対応に見る「日本的な対応」
中曽根康宏氏パッシングが世論だろうなぁ
元総理大臣の二人てのは宮澤喜一元総理大臣と中曽根康弘元総理大臣なのだ。衆議院総選挙に向けて自民党の「比例区立候補定年73歳」って内規に抵触して、比例区で自民党公認を行わないって方針を伝えるために小泉総理大臣が各々の事務所を訪ね伝えた。
これに対して両氏の対応は180度違ったてのが今日(2003年10月23日)の報道。あくまで国会議員を続けたい中曽根康弘氏と「総理自ら足を運ばれたのだから」と引退を決めた宮澤喜一氏。本当に180度違う対応だったのだ。
「日本人的な」ってスケールで言えば宮澤喜一氏は「いさぎよい」、中曽根康宏氏は「何をグダグダ言う」となるのだろう。今後の展開が解らない時点で書いているので的を外すかもしれないが、中曽根康宏氏の示す「小選挙区から比例区に移ってくれ、その代償として生涯比例区1位を保証する」って証文の存在は重要だ。
どちらかと言うと宮澤喜一氏と比べて中曽根康宏氏は「アメリカ的な」契約社会を実践してきた。だから契約に拘る。方や宮澤喜一氏は「日本的な」阿吽の呼吸に準じるのだ。
それの是非を僕は提起しょうとは思わない。尊重されるべき個人の自己責任の範疇であり個性なのだ。個性を叩き潰すなんて僕の論調に合わないのだから。
中曽根康宏氏の言い分は正当で誰も批判出来ない
僕は別に中曽根康人氏がどうこう言うつもりは無い。先の太平洋戦争の時に満州の統治を管理していた若き官僚なんて話はどうでも良い。ただ、「アメリカ的な」契約社会が身についた中曽根康宏氏にとって、時代が180度変わろうが契約の履行を求めるのは当然の自身の権利なのだって考え方を日本人は理解すべきだろう。世界は契約で成り立っているって国際感覚が意外と「日本的な」では無視されてきた。契約書の最後の「契約書に明記されてない事項は双方誠意を持って話し合う」なんて「日本的な」の最たるもので世界では通用しないのだ。
契約の精神ってのを中曽根康宏氏は主張した。今の総理大臣である小泉純一郎氏は明確な反論が出来てない。自民党総裁の意見に従わない人物をコントロール出来ないのだ。別に独裁政権ができてないと言うのでなくて、自民党総裁が自民党をコントロール出来てない、それを国民がどのように考えれば良いのかって問題提起なのだ。キーフレーズを叫ぶばかりで、説得力が小泉純一郎総理大臣に無いのだ。話し合うってのが苦手なのか特に菅直人氏にかみつかれると絶叫調で説得力なんか微塵に砕け散るのだ。
正直言って中曽根康宏氏の話には説得力が有る。ただ、皮相的なマスコミの扱いでは中曽根康宏氏の真意が伝わらないだろう。まして、引退となれば人の噂も75日なのだ。
小泉純一郎首相の言う「その程度の公約なんかどうでも良いのだ」って党首討論での返答は、菅直人氏がどうでも良い重箱のすみばかり突ついているから出た言葉なのだ。しかし、今回の「生涯比例区一位」は双方で交わした証文がある明文化された契約なのだ。契約不履行は損害賠償につながる責任追及をされる事態なのだって解って対処してもらいたい。中曽根康宏氏は証文を根拠に民事裁判に訴えることも出来るのだ。で、何年かかろうが中曽根康宏氏の「一生比例一位」は身分保証されるだろう。つまり自民党の敗訴。それが法治国家なのだから。
「中曽根康宏反逆で30人は当選者が減る」って意見はもっともだ。ただ、小泉首相のマニフエストは「自民党をブッツブス」なのだ。ある意味で、マニフエストの軸はぶれてない。中曽根康宏氏の主張は正論であるが自民党を利する結果にはならないのだ。ここにも田中真紀子氏と同じように「政権再編」のトリガーが潜んでいる気がする。
自民党を壊す戦いに中曽根康宏氏も参戦か
てな見方が良いと思う。「自民党的な」が通用しないのは中曽根康宏氏も承知の事実だ。中曽根康宏氏が言いたいのはマニフエストと同じ約束、契約を自民党は守れるのかってことだ。終身比例区一位ってのを御破算にするってことは、自民党は契約を履行せず、マニフエストでも「そんなマニフエストは守らなくてもいい」って姿勢なのだってことを証明しているのだ。
それを中曽根康宏氏は私憤で言っているのでは無くて契約主導の政治が無ければ国民は信用しないってことを言っているのだ(腰が引けてるが)。
正直言って老害はある。ただ、ケースバイケースだと思う。老害は姿勢の問題であって年齢の問題では無い。引退を死亡で迎える人生も有りだろう。
そもそも15歳のギャルと20歳のギャルには差があるかもしれないが、60歳と65歳でどこが違うんだ。年齢で線引き出来る説得力が自民党に有るのかと言えば年寄り追い出し、数少ない自民党の議席を若手に振るって自民党のリストラでしか無い。「コップの中の嵐」なのだ。
自民党は数々の公約をしてきた。それは法案にあらわれている。ただ、今回の件に付いていい言えば「そんな、公約守らなくてっもなんでも無い」って小泉純一郎首相の姿勢を再度明確にしたってことだろう。いくら自民党がマニフエストを整備しても国民は旧来の「公約」と同じに受け止めるしか無いだろう。