デジタル・デバイド(東京馬鹿の弊害)

情報過疎がもたらす弊害は大きい
 誰も中心にすえて考えていないが、情報過疎(IT過疎)ってのは、憲法で保証された国民の権利すらないがしろにしている。
まず、PHSがある。情報化社会においては環境が揃い自由に使えてこそ新しい使い方、新しいビジネスが考えられる。電子メールもPHSで初めて使い、パソコンを使うともっと便利な事が分かり、やがて着信自動通知が有ったら便利だとか解ってくる。
都市部では必要を感じない高校生は別にして、使いたければ機器は1円で入手出来るし、利用料金は高校生の小遣いで支払える2000円弱で利用できる。ま、PHSが「生まれて始めてのIT」って世代が今育っている。
 ところが、北海道ではPHSのサービスが来ていない(いやいや、通信事業が民間に解放された今、「来ていない」は適語では無いだろう。未来永劫「来ない」のだから)地域は意外と多く、推定だが半数の高校生はPHSを持つ事が出来ない。
 僕が非常勤講師として、情報処理演習でパソコンの様々な使い方を教えている某女子大では名門なのか北海道全域から学生が集まる。ここで無料アカウントを利用した電子メールとか、ホームページの利用方法とか教えると、地方出身の子は「ついに電子メールが使えるかぁ」と感動する。「ピッチ持ってないの」と聞くと札幌に出て初めて買ったけど、まさか1円とは思わずに1万円で買ったなんて言っている。
 わが家の娘が「機種変で欲しいのが2000円だったので、来月まで待つ」なんて会話は通じないのだ。
デジタル・デバイドは地方出身者に論外の支出を強いているのだ。なんでだ、これが東京に住んで全国全て東京と同じだと思っている東京人には解らない。


札幌だって北海道の事が解ってない
 道庁の(これって、北海道庁の高慢なんだわ、「北海道庁」と報告書に書くと「北海道」に改めよと指導される。単なる公務員の集まりを僕は「道庁」としか呼ばない)OBと話した時に聞いたのだが、現在の道庁の出先である支庁の職員の本庁(札幌の道庁)への出張は昔は部署によっては10回/年程度だったのが、最近は年数回。予算が絞られたので出張経費にしわ寄せが来ているとか。それに加えて官官接待問題があって、札幌に来てもほとんど情報収集出来ないまま戻らなくてはいけないので、ますます地方と本庁の関係が疎遠になるとか。
そんな組織がSM嬢よろしく「私を北海道とお呼び」なんて言っても誰も見向きもしない。完全に機能不全を起こしている。それをIT技術でクリア出来るなんて訳の解らない午前中は新聞読んで「情報収集」、午後は時計を見てひたすら退庁時間を待つ人間が言ってるのが「本庁」の実態である。だいたい、インパクすらまともに対応していない道庁に「ポータルサイト」なんて言葉が口を突いて出てくるのがおかしい。それを指摘できない道内のマスコミも情けない。
 何故か。それは、全員北海道に住みながら実は特定地域である「札幌病」に掛かってるから。「札幌病」は深刻で、ヒラメのように上しか見えない。北海道は見えなくて、北海道の外ばかり見える。地に足が付いてない(あ、ヒラメに足は無いが)。
これが東京馬鹿とつるんで発想が貧弱な「北海道の政策」なんかを作る。この端的な例が北海道新長期計画だろう。現場を知らない人間が作文するからあのようになる。大樹町の「航空宇宙基地構想」なんか、今生きているのがシンジランナイ。

地域もまた地域である
 それに輪をかけてと言うか、地域の「負け犬論理」も問題である。どうして、発想が最初から「負け犬」精神なんだろう。地域の結束でドンを選び、そのドンが取ってくる税金の恩恵に預かる。そんな構造が確立している。北海道の市町村で経済で見る限り「土建の町」と称して良い市町村がたくさんある。税金に喰わしてもらっている自立してない市町村である。しかも精神すら自律していない。もはや人間の尊厳とは何かと市町村の組長に問いたいくらいひどい。
 レーゾンデートル(存在事由)って言葉が有る。これを失ってなお存在することは出来ないのだって事を組織は意識して欲しい。その組織に、地方自治体も当然含まれる。「存続することが使命」みたいな自治体が多すぎる。もっと、レーゾンデートルを持つべきだ。いや、無いのなら存在出来ないのだ。

「自律して」道庁をブッツブソウ
 私は堀知事が嫌いだ、加えて1文字名字の「堀・森・桂」が嫌いだ。ただ、唯一堀知事の発言の中に「自立する北海道」てのがある。僕は拡大解釈で「自律する北海道」と読みたい。まさに、北海道は日本の発展の原動力であった時代が過去2回あった。最初は漁業を中心にした「ニシン景気」、次は戦後の「石炭景気」である。そして今、何も持たない北海道は日本全国から忘れ去れれようとしている。
 それは同然である。地方とは全国に大して担う役割をレーゾン・デートルしなくてはならないのだ。そのキーワードが「観光」なんだろうか? 実は北海道庁の役割は現場主義の支庁に支えられながら本庁は北海道広報営業マンでなければならない。何故なら、現在の税制では「東京から金を引き込む地方の構造」は避けて通れない。その構造で働くのが本庁の仕事だろう。
 でもね、それが出来ない道庁に頼ってばかりいられない。東京馬鹿に地方の状況を説明できていない「道庁」に見切りを付けて、自ら東京馬鹿にアプローチできなくては地域の再生は無い。
 実は、北海道で数々のITもどきの実証事件が行われているが、これって、道庁は通らない。地域が直接東京馬鹿を説得しながら進めた事業だ。その情報すら道庁は把握していないいない。
 まさに構造疲弊だと思う。市町村は組庁のツテでジャンジャン東京の部局にアプローチする。支庁に陳情して、本庁で審査されて、それではって重い腰をあげて東京に陳情なんて仕組みは死体になってる。ここの所を内部組織出身の堀知事は解っていない。
 道庁が関与するなら、それなりの運動を、と思うのだが、往々にして「道庁が関与」する制度を地元の市町村はバイパスしている。要は「頼りにならない」のだ。そんな道庁や支庁をバイパスしているのに、受け皿の用意は(つまり、無駄な人員配置)官僚的に行われてる。
 あのですね、はっきり言って、最大の北海道発展の障害は「北海道庁」なのですよ。
頼むわぁ地方から来るを待つじゃなくて、北海道を見て回れよぉ。自転車で回れとは言わないが(笑い)、目と手で感じて政策に生かして欲しい。道庁の公務員出身者が知事になると、この「現場主義」が「権威主義」になってしまうことは、ま、誰もが目にしているのだよ。


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2001.03.15 Mint