外交>自衛隊のサマーワ駐留延長は説得力無い

派兵か派遣か駐留か、日本語は難しい
 「派兵」と書いておきたいのだが、今回は「駐留」の言葉を使おうと思う。いままで自衛隊がイラクで行ってきたことに自らの武力行使が無かったので「派兵」は現実にそぐわないだろう。しかし、派遣ではテンポラリーセンターの派遣社員じゃないのだから言葉の誤魔化しがあると思う。だから「駐留」が現時点で無難な表現だろうか。
 同じ事象をこれだけ多様な言語で表現できる日本語はやはり世界に類を見ない鎖国により生まれた同一地域での同一民族により受け継がれた言語の特性だろうか。
「大型間接税」、「付加価値税」、「消費税」と同じ事象を言葉を変えて表現してきた事実がそれを物語っているだろう。
 今回の自衛隊のイラク、サマーワ駐留は人道支援の旗印の下に今年の春から駐留を続けてきた。その主な任務は給水と病院や学校の復興支援活動で、現時点までこの任務達成のための武力行使は行われていない。

復興支援には支援の終了がある
 復興支援と呼ぶからには復興したら支援は終了する。たとえば国連軍(実態は米軍だが)の治安維持活動の終了はイラク政府が民意で選ばれた議会によって運営された時。その時にイラク政府が引き続き国連軍の駐留を求めればその段階で新たな判断を行えば良い。つまり、目的達成(終了条件)を事前に定め活動を開始するのが常識だ。
 さて、自衛隊はどのような目的達成(終了条件)を定めていたのか。実は何も終了条件を定めず派兵し駐留しているのだ。唯一自衛隊の派遣期限を2004年12月14日と定めているだけだ。
 人道支援が目的であれば、現地の住民の自立を支援するのが目的であり、給水事業や建物の復興事業なんかは、本来現地の住民に引き継ぐことを前提にスケジュールを立て実施されなければならない。つまり、自衛隊が技術支援して現地住民が自ら行えるようになれば自衛隊の支援は終了する。
 現地住民に任せず、何時までも自衛隊が行っているのでは復興支援では無い。また、現地住民がオペレーション出来る準備を怠っているのも復興支援では無い。

サマーワに居ることが目的化
 自衛隊の駐留を延長する事由に何か説得力あるものがあるのか。それがあるのなら積極的に説明する責任が小泉純一郎内閣にある。説明責任(アカウンタビリティ)も果たさず国民に情報を提供せずに「数の論理」で駐留を延長するのが今までの「自民党的な」手法だ。その手法をまだ続けるのなら、ますます自民党は国民から乖離して行く。
 国民年金問題は社会保険庁の年金財源無駄使いに端を発して社会保険庁解体にまで話が進んでいる。同じように、国民の税金に対する無駄使いとして自衛隊の駐留延長 も上げられる。絶対延長が必要なら説得力ある論理の展開をしてもらいたい。
 新潟県中越地震によって10万人弱の人が避難所生活を強いられている現在。自衛隊を800名以上外国に駐留させる余裕があるのか。仮に800名のマンパワーが新潟中越地震の被害地に投入できたら、どれほを被災地は助かるか。
 しかも危険手当として一人一日30000円の海外派遣手当(これだけでイラク駐留に毎日2400万円が消えて行く)も必要ない。
 税金を効率的に使うのが行政の使命ではないのか。

一度撤収して再度国会議論を尽くす
 だらだらと自衛隊をイラクに駐留させて、その目的は国際的に「日本も軍隊を派兵してますよって」ポーズ。で、国内向けには「人道支援、戦争しに行くのでは無い」って説明。まったくダブルスタンダードだ。その点を上手に突ける民主党の論客が居ない。
 先に書いたように沢山の台風による被害や新潟中越地震により、人道支援が必要な事態が国内に多発している。国民の生命・財産を守るのが律令国家の国民と行政の暗黙の契約だろう。それを二兎を追っているのが今の自衛隊のイラク駐留と災害地域への自衛隊派遣だろう。前者は行政のトップである小泉純一郎首相の見栄だけで行われ、後者は少ない人員を余儀なくされてる。
 外ズラばかり良くて顔が国民のほうを向いていない行政のトップ、小泉純一郎首相。この人であと2年間我慢しなければならないのだろうか。
 復興支援は目的を達した、次なる支援について調整しようってのが正しい方向ではないだろうか。
 自衛隊は復興支援の成果を上げられないから何時までも居残りなのか?
 現場の自衛隊員の指揮にもかかわる。復興支援達成! ってことで凱旋してくる場を用意出来ない現在の小泉純一郎首相は自己中心の冷たい変人ってことだろう。これって、前前回の首相指名選挙の時に田中真紀子氏が「奇人、変人、軍人が立候補した」って言ったことが本質を突いていたってことだろう。

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2004.11.03 Mint