事例に事欠かない「誘発地震」
地学については高校生の頃に熱心に勉強した。当時の教師の「マントルは個体でも液体でも無い、流体って言葉が相応しい物質だ」との話が理解できずに自分で図書館で色々調べて、当時は一般化していなかったプレートテクトニクス理論に目から鱗が落ちる思いがした。日本では目にしない欧米の大西洋を中心に描いた地図は南米とアフリカがジグゾーパズルのように合致する。それを見て直感的に古代の大地がマントル対流によって地殻(大陸)が流れているって理論に出会った時は衝撃を受けた。
やがて、この理論から派生したSFである小松左京氏の「日本沈没」が小説、そして映画化されて広く情報が行き渡るようになった。
そもそも小学校から中学校にかけて天文部だったので自らの地球に興味が向かったのは当然だったのかもしれない。
人類が地下に何かをすると反応があると解ったのはここ50年くらいの話。それに気がついたのは例の松代の群発地震の頃だった。原因が不明で群発地震が起きて、しかも、同じく原因不明で収束する。それじゃじゃ原因究明に掘ってみて水を注入したら群発地震が再会した。原因は解らないが因果関係はある所まではたどり着いた。
科学の合理性はその是非は別にして合理的に因果関係を説明する手段として存在する。だから、個々人や個々の団体の利害関係を越えた真実に迫るのが科学者の使命だ。しかし、時が経つと誰も解明に乗り出さなかったのが松代の群発地震だった。
このあたりの真実はこの
http://shima3.fc2web.com/sekou9701damzisin.htmホームページに詳しいので再掲するのは避けるが、新潟中越地震もいわゆる「直下型地震(震源深度13km)」だが、付近ではガス田の開発のために水を使って岩盤層を砕きガスの流出を促進する作業が行われていた。また、長岡市では将来のCO2の捨て場所として深度地殻にCO2を注入し閉じこめる実験も行っていた。
つまり、一生懸命地殻を刺激する行為を人間が行っていたのだ。それが、地震の原因とは言わないが、地殻の刺激によってもたらされる作用を十分に検討したのだろうか。いや、今の人類は検討できるほどの知見を持たないのかもしれない。
トリガーになった紫坪埔ダム
断定はしないし、責任をそこに被せるつもりも無い。純科学的に調査して欲しいのだ。紫坪埔ダムは日本のODAによって完成した四川省最大のダム。数年前に竣工し貯水を始めた。
実は先のリンクで解るようにダムが貯水を始めると周辺で地震が起きることは経験的に解っている。まったく地震が無かった地域でダム建設により地震が観測される例はこの50年の間に知見できている。
その多くが深度10km以内の非常に浅い地殻に集中している。実は阪神淡路大震災も四国連絡架橋の工事の橋梁工事で橋脚を立てるために地殻に穴をあけてしまい、地下に水(この場合は海水)を招き入れたのが原因(トリガー)では無いかとの説がある。
本来、地殻のストレスは有ったにしても、それを活発化した行為が人間側にあるのなら、その予防策は考えなければならない。つまり、本来ある地殻の歪みエネルギーを緩やかに発散させる技術の開発だ。急激なダム建設と貯水により地殻への水浸透を誘発する危険性を学問として解析するべきだろう。
先の中国四川省での巨大地震は徐々に地殻の歪みを解消する方法は無かったのか。一部では三峡ダム原因説まで出ているが、震源地との距離を考えると主役では無いが脇役の可能性はあると思う。つまり、四川省の紫坪埔ダムから地下に伸びた潤滑油が三峡ダムによる地殻への潤滑油と連動したのかもしれない。
当の紫坪埔ダムは地震の影響でダムにひびが入り緊急放水を行っている。緊急放水にてダム湖の水位が下がるとさらなる誘発地震を招きかねない。
人間が地殻をいじると何が起きるか。ぜんぜん解らない現状で無謀に何をやっても良い感覚はちとまずいだろう。
先の紫坪埔ダムも急速に仕上げるべく対応したようだ。急に地域の自然バランスを欠くような湖を作ると、その影響は地上に留まらず地殻への作用もあるってことだろう。とにかく、深度10kmより浅いいわゆる直下型地震には人間の作用が見え隠れする。
ちなみにダムによる誘発地震はダム完成後10年ほど続き、ダムの水位を上下する時にも起こる。最近は水深100mを越える巨大な水圧を地下に向けるダムが地殻への影響が大きいことが解っている。