麻生太郎クーデターか福田康夫クーデターか

小泉純一郎首相の時代は戦国時代
 振り返って見ると小泉純一郎首相の時代の5年間は戦国時代だったのだ。少数の支持しか持たない小泉純一郎首相は民主主義の基本である数の論理で負かされないように振舞った。党内は国民の支持って力で支配し、野党へは「はぐらかし戦術」でスキを見せないようにした。
 また、身内のスキャンダルも起こさないように細心の注意を払った。その意味で敵味方双方にスキを見せない戦術は効を奏した。
 相手にスキが無いとなると従順に付いていくか「次回」まで休戦ってことになる。その意味で戦国時代の「小泉純一郎天下時代」は一見平穏に過ぎていった。ま、民主党の偽電子メール事件なんて敵失も沢山あったし。
 安倍晋三政権はこの「小泉純一郎天下時代」のパワーバランスを継承していなかった。自分中心に背景に重鎮を置くでも無く、お友達内閣と称せられるように専門に秀でた国務大臣を布陣するでも無く、しかも、閣議で総理が入場しても立って挨拶しない規律の無さも放置する。
 つまりスキだらけの体制で「小泉純一郎天下時代」を継承したのだ。
 実は「小泉天下時代」の少数による統治は様々な工夫がなされていたのだ。その力は国民の支持であった。発足当時の小泉政権は憲法に違反するにも関わらず首相公選制まで口にしていた。で、実際には公選された首相のように振舞った。これも民主主義の最後の砦である数の論理の発動を抑える巧妙な戦略だったのだ。
だから、「人生いろいろ、会社もいろいろ、仕事もいろいろ」と国会で答弁しても懲罰論議すら起きなかったのだ。

巧妙に仕組まれた麻生太郎クーデター説
 「麻生太郎クーデターかと思っていたら、実は福田康夫クーデターだった」とは小泉純一郎前首相腹心の飯島勲秘書官が退職届けを出して永田町を去った時にはいた言葉といわれている。
 麻生氏は安倍退陣を3日か2日か前に聞いていたと話してる。退陣表明が12日だから10日か11日となる。10日は安倍首相が朝6時に政府専用機で帰国し国会で所信表明演説を行った日だ。じつは、シドニーで「職を賭して」と話した時から辞任は決まっていたのだ。その情報をいち早くキャッチした麻生太郎氏は日曜日に「俺の番が来た」と祝杯を挙げて騒いだって話が流れている。
 法案を通す代わりに辞任する。これは、過去日米安保条約改定時に岸信介首相が行った方法だ。もちろん、岸信介氏は安倍晋三氏の祖父にあたる。安倍晋三首相は秘密に小沢一郎民主党代表と会ってこの密約を取り付けるつもりだったのだろう。その密約の暗号が「職を賭しても」だったのだが、民主党は内容を察知し会おうとしなかった。いや、実は内閣府が安倍晋三首相の意思に逆らって会談を成立させないように仕組んだのだろう。
 実は情勢を図りかねていた森氏に11日に中川秀直前幹事長が安倍晋三首相に会って辞任の情報を入手した。この情報は森氏に伝わる。ここからシナリオが組み立てられていく。
 反麻生太郎連合の旗揚げと態度を決めかねている層への麻生太郎ネガティブキャンペーンだ。まず、福田康夫擁立に向けて説得する。
 小泉チルドレンを福田支持に説得するのは武部・中川の両氏らしい。その懐柔策の会議の席で「もう付いて行けません!」と席を立ち武部と怒鳴りあいになったのは、かのタイゾーこと杉村太蔵氏だ。

しょせんコップの中の嵐でしか無い
 マスコミが騒ぐ。街頭演説には自民党党員でも無く、投票権を持たない民衆が集まる。国を挙げてのお祭り騒ぎ。でも、所詮、自民党が自党の総裁を選ぶだけのことなのだ。だから、実弾も飛び交うだろうし憶測によるネガティブキャンペーンも有りだし、多数派工作にはあの手この手が使われるだろう。
 特別な事案が無い限り福田康夫氏で決まりだろう。どうせ短命なのだから。
首相候補になてから福田康夫氏に一点変化が現れている。あの人を小ばかにした薄ら笑いが無いことだ。選挙対策と言うより首相の品格を意識しているのだろう。それに対して麻生太郎氏はあいかわらず。覚悟が感じられない。もっとも、福田立つの後の麻生派の決起集会はお通夜状態だったらしい(三宅先生が「そこまで言って委員会」で暴露)。まさに、幕が開いた時は終わりだった状態なのだ。
 誰が首相になっても、旧来の自民党体質に戻るだけ。
ここは、解散総選挙で政権交代か政界再編製を行わないと、小泉純一郎戦国時代はsy終焉しない。
 総理の椅子にあと一歩だった麻生太郎氏は、福田康夫氏が立たない方策を見つけることが出来ずに総理の椅子を逃した。そもそも、参議院惨敗の後でいち早く安倍晋三総理の続投を取り付けたのは、福田康夫氏が出てくるのを牽制したものだが、あまりの変化球に福田氏陣営が気がついてしまった。それを、総理の辞任を数日前から知っていて絶対優位を構築出来なかったのは、やはり、故田中角栄氏が田原総一郎氏に語ったと言う「総理は狙ってなれるものじゃない。時代がならせてくれるものなんだ」が思い出される。

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2007.09.17 Mint