「かぐや」HVを公開しないNHKの不思議
直アクセスが出来たのだが
JAXAの月周回衛星「かぐや」に搭載されたNHKのハイビジョンカメラの映像が放送で使われる以外にネットで公開されない。本来科学探査のために広報活動の一環であるNHKのハイビジョンカメラは予定外の探査装置であった。しかし、ここに来て日本の宇宙探査の方向がはっきりしない状況で、月の映像は科学予算を付けるために国民のコンセンサスを得る貴重な映像だ。
(2008.05.15追記) 2008年5月になってNHKはフルハイビジョンでは無いが公開を始めた。公開はここで行われている
2010年には小惑星イトカワの探査を行った「はやぶさ」がサンプルリターンで小惑星のサンプルを持って(サンプルの収載は5分5分といわれているが)地球に帰ってくる。日本の宇宙探査の長期的展望が描けてない現状でJAXAは何を考えているのか。そしてNHKは何故、海外のネット掲載を承認し、日本国内で月周回衛星「かぐや」のハイビジョン映像を公開しないのか。不思議でしょうがない。
JAXAのホームページによると
フルハイビジョンの映像に関する著作権は宇宙航空研究開発機構(JAXA)と日本放送協会(NHK)の両者に帰属し、インターネット上でのフル解像度の公開は行わないことで合意されているためです。
とそっけない。
では何故、カナダで公開されてるのか。そして、プロキシでカナダ国内に限定されてるのか。このあたりの説明責任をJAXAもNHKも行っていない。
紅白歌合戦向けの演出だとしたら、NHKは科学とか文化をなめているとしか思えない。月周回衛星「かぐや」のハイビジョン映像は広く人類の財産なのであって、一企業のしかも視聴料を国民から負担してもらっている企業のやることでは無い。
ネット社会に逆らう放送業界
放送とネットの融合が叫ばれて久しいが、現実問題としてニコニコ動画やyou-tubeは放送の到達出来ないビデオ・オン・デマンドを実現してる。若者の中にはテレビを見る時間よりもニコニコ動画を見る時間が長くなっている。
著作権の問題はあるが、情報に触れる姿勢が大きくネットにシフトして来ているのが現実だ。月周回衛星「かぐや」のハイビジョン映像も実際のハイビジョン放送で視聴出来る層の何倍もネットに存在する。ハイビジョン放送が視聴出来るテレビの普及率はまだ多くない。その意味でNHKはネットでデータを公開するのが良いだろう。多くの視聴が可能だから。
それを「はじめから考えてませんでした」とは絶対何か裏があるのだろう。NHKがハイビジョン普及のためのキラーコンテンツにしたいのならば、国民の同意は得られないだろう。
不思議なのは、カナダのディスカバリーチャンネルには月周回衛星「かぐや」のハイビジョン画像がインターネット経由で公開させている事だ。単に非公開ならば著作権の行使だが、カナダで公開されている不思議さがまったく判らない。デジタルの常だが、カナダのサイトから入手したデータは数日を経ずに全世界のサーバーに転送される。NHKが完全に著作権を守りたいのならばカナダでの公開にも応じるべきでは無かったはず。そこに何があるのか、まったくNHKのやろうとしていることが判らない。
やはり紅白歌合戦説が正しいのか
小林幸子の舞台衣装もマンネリ化してるので、ここは月周回衛星「かぐや」のハイビジョンを紅白歌合戦の会場でハイビジョンで映す。そんな演出がサプライズで用意されてる説がネットに流れている。
もし本当ならNHKは世界の笑いものになるだろう。科学技術と娯楽はまったく違ったものだ。科学技術は人類の英知を高めるために共有されてさらに先に進んでいく。そのコンセンサスがあるから、貧しい国民層が居ても宇宙探査にロケットで衛星を打ち上げても理解が得られるのだ。
今回のセレーネ・プロジェクトの月周回衛星「かぐや」は世界の月探査のさきがけとして多くの観測機器を搭載した衛星だ。ハイビジョンは後だしの企画で月探査機器の中にカウントするかどうか議論のある所だ。実際にハイビジョンの映像よりも
地形カメラによって得られた画像は先のアメリカのクレメンタインの数倍の精度で月面を映している。
それに比べればハイビジョン映像の地球の出は日本が月探査衛星を月軌道に乗せたステータスには成るが、科学的価値はさほど高くない。アメリカが月面着陸で星条旗を立てたのと同様にイベントであり探査の本質とは関係が無い。
NHKは何故、ハイビジョン映像を公開しないのか。何か別な思惑が働いているとしか考えられない。
探査で入手されたものは私物化できない
考えてみると、今回のH2−Aロケットの打ち上げから管制まで総て国民の税金が投入されている訳で、その衛星にくくり付けられたハイビジョンカメラが撮影した映像がJAXAやNHKの著作物であるって考え方すらおかしい。
権利を主張するのは判るが、それは国民の理解は得られない。極端な話、人類共通の財産を私物化してる行為は責められることは有っても賞賛されるものでは無い。特にカナダでも公開については説明が必要だろう。
金の問題ならば論外だ。あのカメラを月に運んだのは税金なのだから。
紅白歌合戦で失笑ってことならまだしも、カナダのディスカバリーチャンネルとどんな取り決めがあったのか。月の謎に迫る月周回衛星「かぐや」だが、地球のNHKの謎も明らかにしてもらいたい。