政策ターゲットを変える戦術か民主党は
会期延長なら次の一手
福田康夫首相は臨時国会の会期を年を越えて1月15日あたりまで延長する方向で対応する。。参議院が60日間で議決しなければ衆議院に戻し2/3の賛成で法案を成立させることが出来る。この臨時国会を1月15日まで延長することにより、新支援特措法は成立の目途が立つ。つまり、国会延長が法案成立の最後のカードであった。
福田康夫首相はこの後に予想される参議院での問責決議案の扱いを考慮することになる。
しかし、情勢は刻々と変化する。民主党の中に「別にぃ」の意見が広まっているらしい。新支援措置法に反対する理由が「国連決議が無い状態での自衛隊の海外派遣は憲法違反」ってのは元来の民主党の考え方では無く、自由党から入ってきた小沢一郎代表の意見であるって認識が広まっているのだ。つまり、民主党としては自民党がなりふり構わず新支援特措法を成立させても「別にぃ」と消極的賛成が大勢を占めてきたのだ。
となると、問責決議案を参議院で可決して選挙の危ない橋を渡るよりは、延長された臨時国会で徹底的に自民党の政策の矛盾を突くと共に予算関連法案の矛盾を突いていく戦術に変更する公算が高い。
ここに自民党に新たなハードルが隠れている。法案は衆議院の2/3条項があるが、予算関連法案にこれを使うと時間的に暫定予算状況に追い込まれる。参議院での承認が無ければ執行が大幅に遅れることになる。事実上執行不能状態が長く続くことになる。例えば、道路特定財源の暫定税率の延長なのが予算関連法案になる。これを参議院で引き延ばし新年度は暫定予算に持ち込むことが出来るのだ。
埋蔵金を掘り当てるか民主党
民主党の先の参議院でのマニフェストにはブラックボックスの部分があった。それは
1)基礎年金は全額税金で
2)農家への1兆円の所得保障
3)育児手当の支給
これらを合わせると15兆3000億円の財源が必要だが、その財源の明示は行われなかった。自民党は「財源が無いのに出来る訳が無い」と攻撃した。
実は僕も『公務員の大リストラを行ってひねり出すつもりなのか』と邪推したが、当の民主党もまったく目途の無い「姿勢」を表明しただけだった気もする。
所が事態は刻々と変わる。特別会計をオープンにしてその中にある「埋蔵金」を引き出そうって考え方だ。
自民党も熱心だが民主党にとっても喉から手が出る財源なのだ。
この埋蔵金を持ったまま逃げようと官僚は早急な独立行政法人化を進めたのではないかと思われるフシがある。例えば国立大学の土地だが、全体の1/3を北海道大学が、残りの2/3の1/3を東京大学が保有してると言われている。実は土地としての価値はあまり無いが農林業の研究で使う演習林がかなりの面積を占める。これが砂防ダムや土砂災害防止の防災施設の工事のために買い上げられる。一番おいしいのは工事用道路のような部分だろう。工事が終われば実質演習林に再生される。
このような国民の金で買ったものを持ち逃げってのが特別会計にかなり有るのではないかと民主党は踏んでいる。
予算関連法案のほうが国民にも判りやすい。また、先の3月末までに照合を終えるって見栄を切った社会保険庁だが、ここに来て、国による振り込め詐欺だったことが情報開示されつつある。
ダラダラと引き延ばすよりは攻勢に打って出たほうが良いとの判断が民主党内で広まり、新支援特措法成立の可否などは「別にぃ」となってしまった。
埋蔵金が欲しいのは民主党なのだ。政策実施にはまず実弾である財源の担保が必要なのだから。
問責決議案を出すかどうかで決まる
残念ながら手の内は相手に判ってしまう。参議院で可決可能な問責決議案を出さないとなれば民主党も衆議院選挙が怖いってことだ。自民党は確実に議席を減らすだろうが、公明党と組めば政権を手放す事態にはならないだろう。
民主党は立候補者の決定が遅れている。北海道一区で横路孝弘氏が高齢にも関わらず立候補するとタイゾーに負ける可能性もある。そんなお家の事情から福田康夫首相に『民主党も選挙が怖いのか』と逆効果になるかもしれない。
でも、政権担当能力ってのは壊していればノウハウが付くものでは無い。国民への約束をいかに果たすかが政治家の使命だ。そのためには民主党は実績を積み重ね、ノウハウを蓄積する必要がある。
国会をダラダラ続けるよりは新支援特措法には20日を目途に決着を付け、自民党が予備日に考えている期間を自民党追及と参議院の調査権の発動をバンバン行い、点数を稼ぐほうが民主党らしいと思うのは勘違いだろうか。
いや、やはり埋蔵金を掘り当てなくては民主党のマニフェストは実現しないのだから、地道に行くしか無い。