地方の外交を担えるのか東京の官僚

地方自治と国政の違い
 前作にも書いたが小さな政府ってのは中央の話。国政を全国区で語る場面は外交と防衛のみに留めるって発想は的を射ている。がしかし、利権集団の自民党とそれと結託した官僚は自身の利権を保持しながら小さな政府を目指す。つまり、エリートから超エリートに人員を縮小するだけで所詮、中央支配は堅持するって官僚と政治の野合がまかり通っている。
 この国は政策は行政によってなされ立法によってなされていない世界でも類を見ない民主主義制度で運営されている。法律を制定して物事を動かすのでは無く、既存の政令を拡大解釈して運営するって姿勢だ。一番大きな事例は憲法九条の運営だろう。解釈(これって、国会答弁用に官僚が知恵を絞るのだが)が過去の答弁と矛盾無く調整されて官僚から手渡される。
 憲法によらず自衛権は独立国に有る権利なのだって考えは解る。ただ、それをアメリカのお墨付きに求めて独立国と呼べるのか。本来、国家の固有の権利であれば固有の武力を整備してこそ自衛権なのだ。だから、今の自衛隊を容認するが、では、仮想敵国って話しになると、小さな政府を目指す小泉純一郎首相も明確な答えを持っていない。現時点で北朝鮮を仮想敵国とする政策は無い。なぜ断言するかと言えば、仮想敵国に設定した時点で負けが見えているからだ。
 つまり、北朝鮮との戦争状態はテロとの戦いになる。しかし今の縦割り行政では自衛隊と警察庁の連携が機能する法整備がされてない。そのあたりは政治家の「センセィ」はまるで関心が無い。戦時(そもそも、この定義が憲法九条から政治的に前提にすることがありえないって矛盾があるが)にも自衛隊の戦車が赤信号で止まらないと道路交通法違反になる。キップもらって戦場に向かうことになる。
 で、自衛隊だけで守るには兵力が不足している。北朝鮮が攻める側3倍の法則で来るなら解るが、テポドンのような戦略的ミサイル、加えてテロ的な原発攻撃を行ったら日本の自衛隊の専守防衛も跡形も無く吹き飛ぶのだ。だから、今の予算と今の軍備では北朝鮮を仮想敵国として専守防衛に徹すると負ける。

戦争すら自治問題になる
 「北海道の11日戦争」って本がある。15年ほど前に出ただろうか。これには逆上した当時のソ連が日本を侵略する戦争を仕掛けるのだが、北海道の最北端である稚内市に艦砲射撃とともに上陸してくる想定になっている。そのとき地元の稚内市は戦闘の最前線は上陸阻止の稚内市ではなくて向背のサロベツ原野にしてくれと自衛隊に申し入れるって場面がある。
たしかに市街戦を展開されて焼け野原になるよりは一時的にでもソ連領になっても財産を守るって自治体の政策は選択肢としてあるだろう。つまり、日本は4周を海に囲まれている状況から敵前上陸に遭遇する市町村は多い。その中でソ連上陸を北海道に設定した作者のアイデアは解るが、別に北海道だけが外国の侵略の脅威にさらされている訳ではない。
 現に島根県の領土が韓国によって不法に武力占拠されているし、沖縄に至っては常に領海問題で諸外国の侵略にさらされている。
 しかしこのような領土問題に対して時の政府(行政のトップ)はシカトだ。地方自治における隣国との問題は本来日本国の課題であるが、地方に投げたまま時の政府は何もしてこなかった。
 なんで国交に自治体が苦慮しなければならないのか。国策が東京だけで語られている証左だと思う。地方にある国際問題に対して地方の問題って感覚がまかりとおっているのだろう、だから、鈴木宗男氏のような行動がニッチに生まれる。
 北方領土は日本の固有の領土だって感覚が東京の政府(の官僚には)無い。だから「やっかいな問題だが解決に鋭意努力する」なんて政治家のセリフになる。小さな政府の実現には役割分担の明確化と担う責務の明確化が必須だ。だが、口先だけの改革では無視された問題は取り残されて国の範疇から捨てられる。それが、今の北朝鮮拉致家族が受けている阻害感であり、北海道の地方自治で言えば北方領土問題である。

地方を支援する制度になってない
 先の「超エリート」との付き合いも結構あるが、ま、正直言って庶民感覚と全然違う世界で生きている感想を持った人は多い。その個別の行状を書き連ねるのは控えるが基本的に視野閉塞な感じを受けた。現場主義で無いので情報が片寄っているのだ。北海道庁に出向しても、たまたま北海道に流されて君臨するネタを与えられたので暴れるって感じだ。そもそも、北海道庁に出向してくる中央官庁の職員って何のためなんだ? それを受入してる北海道庁って何を目指しての行為なんだ?
 そもそも、組長(高橋はるみ知事です)が中央官庁の役人出身なのだから、北海道庁に何が出来るか。実質組長(高橋はるみ知事です)が何を出来たのか。正直言って解らない。結局、北海道を行政の人間が立法に打って出て食い物にしてるって構造が今の北海道知事だろう。もっと強く言わせてもらえば中央の官僚の草狩り場になったってことだ。「北海道は柔いでぇ」なんて感覚で中央官僚が遊びに来る避暑地化してはどうもならん。
 地方の問題は地方で自由に解決できる制度に整備されなくてはならないが、外交と防衛は中央が担う制度だ。現在の北朝鮮拉致事件すら解決出来ない小泉純一郎政権に小さな政府の担うべき課題は見えているのか。
単に構成人員が少なければ良いって発想に思えて成らない。
小さな政府は大局的な観点から絞り込むものだ。責務を放棄して人員削減しても納税者の理解は得られない(のだが、今回の衆議院選挙って、これでいいの?)

小さな政府は大きな視点で描かれる
 ま、民主党の前原代表の国会での質問は新鮮だったが、基本的に外交を外した不満はある。でも、改革が自民党の専売特許では無いことは踏まえた質問だった。これは短期的に表面化しないが、深読みすれば、自民党総裁を任期満了になった後の小泉純一郎首相の座る席は民主党ってアピールになっていたと思う。
 もっとも小泉政権の外交は先の北朝鮮拉致問題から始まってまったく政策になってないので攻める側にも歯がゆい部分があるのだが、それにも増して説明責任を果たしていない政府の問題から国民に「分かりずらい」テーマでもある。
結局、改革では同類ってアピールが民主党の精いっぱいのメッセージなのだろう。イラクのサマワに派遣された自衛隊の活動実績についてもツッコミが欲しかったのだが、ま、初回は初回なりの付き合いってことかな。
 サマワ問題は別に起こすが、基本的に郵政民営化で国家公務員を減らすのが小さな政府を目指す道では無い。
 職場放棄で減ったてのではどうもならない。基本的に公務員の身分を剥奪して「公務員が減った、小さな政府だ」ってのでは国民に何が公務員の担う責務かって議論をスキップしている。
 そもそも、国民が望んでいるのは「納税に見合った行政」であって、効率化こそが今の行政の最大の課題なのだ。同じく立法府の国会に対しても「議員年金」って試金石があるのだが、これは国民に対して無視かよぉ。
 何もしない政府を「小さな政府」と呼んで超エリートだけ君臨する。そんな行革っを見抜く責務が議院内閣制の総理大臣に求められるのだろう。今の小泉純一郎政権は官僚のリモコンでしか無い。小さな政府は新たな超エリート作成のシナリオなのだ。

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2005.09.26 Mint