極寒の十勝平野.....中札内、芽室

コース概要
 前回、北海道の屋根を越え、北海道の東に位置する十勝平野へのデポ地点を確保した。ここからは十勝平野が広がる。峠越えも楽しみなのだが、これからは緩い峠越えしか無い。残されたものは旭川から北見に抜ける石北(せきほく)峠だろうか。もっとも、212市町村をどのように回るかによっては別な峠があるが、今年は十勝平野方面を回るだけで手いっぱいかもしれない。
 いよいよ十勝平野の入り口にたどり着いたわけだ。南は広尾(ひろお)町まで北は松山千春の出身地の足寄(あしょろ)町まで、東には釧路まで続く大きな十勝平野を攻めることになる。
 2年使ったクロスバイクのタイヤの側面が前回の車載の方法が悪くこすれてボロボロになっていたので先々週取り替えておいた。クロスバイクのスリックって値段は安いけれど耐久性無いなぁと思ったのだけれど、結構タイヤの路面に接する側も減っていた。ま、ロードレーサー程では無いが、クロスバイクのタイヤも2年もしくは2000kmってところか。
 今回の出発点は日勝(にっしょう)峠、前回の狩勝(かりかち)峠の麓になる清水町。ここは「第九の町」として有名で、町内に「フロイデ」なんて温泉施設もある。ここまで車で進み十勝平野を東に攻略することになる。

輪行(C&C(Combined Cycling))概要
 前回候補地として選んでおいたのは、清水公園、清水スポーツセンター、そして、丘の上の美蔓(すみません、読めません)展望台。お勧めは無人の美蔓展望台なのだけれど、無人の駐車場なので、車にイタズラされて傷でも付けられるといやだし、と色々考えて清水スポーツセンターのに駐車する予定で出発する。
 札幌からは国道274号線、いわゆる樹海ロードを進み、前回は狩勝峠に向かったのだけれど、今回は日高町から日勝峠を越えて清水町に入る。
このシーズンの特徴なのだろうか、国道274号線で1頭のエゾシカの死体を見た。前日の夜に起きた交通事故なのだろう。しかも日勝峠は霧で視界が効かない。所々工事中で迂回路があり、これを知らないとかなり危ない思いをする。
 結局、朝9時オープンのスポーツセンターは既にパークゴルフ大会かなんかで駐車場が混んでいたので、向かいにある清水公園に車を駐めた。ここまで距離200km程。時間にして3時間半程。
帰路では、霧の日勝峠の7号目あたりで、霧の中に道路作業員が居る。危ないじゃないかと思ったら、エゾシカ。霧で車が見えないのか道路にまで出てきている。この時期、道の近辺には若草がはえているのでエゾ鹿が出ている。これと衝突しないように注意が必要だろう。特に僕は軽自動車なので、エゾシカと当たると負けるかもしれない。それにしても、エゾシカは増えているのだなぁ。去年も自転車で走行中に目にしたし。

中札内(なかさつない)村
 スタートは迷ったけれど清水町の清水公園。スポーツ・センターを考えていたのだけれど、ゲートボールの競技会があるようで、あまり駐車場のスペースが空いていない。別に気にしないのだけれど、いちおう向かいの清水公園に車を止める。ここって、木の下に駐めるとまずいのは鳥が糞を落としていくとこと。後で洗車しなければならない事になった。木の下の駐車は注意が必要。
それにしても天候が悪い。車の中で聞いたラジオでは全道的に濃霧注意報が出ている。十勝も例外でなく注意報が出ているが、前回の経験では昼になればかなり晴れると思われる。なんせ、峠の日高側は晴天だったのだから。
 さて、出発。
 十勝平野に土地間のある人なら、清水町を出発して次は何故芽室(めむろ)町じゃないのかと不信に思うかもしれない。実は平坦な十勝平野なので、何の計画も立てずに走りはじめた。最初は国道38号線を御影(みかげ)に向かい、ここから同じく国道38号線を進み芽室に向かう予定だった。
 国道38号線を右折してJRの御影駅に向かうと、ここも清水町市街地よりは小規模だが結構な町並みがある。何故か歩道も整備されて小さな商店街群になっている。ここから線路沿いに芽室に向かおうとしたのだが、地図を見ると道々55号線が中札内村に向かって延びている。ここを進めば、中札内には道の駅もあるし、これからの十勝平野攻略には新たなデポ地点になるかもしれない。そう考えると、芽室町は帰りのルートとして、とりあえず、道々55号線を進むことにする。
 若干のアプダウンを繰り返しながら道々55号線を進むが十勝平野の特性、道が大きな川に平行して区画整理されている。道々といいながら各地で90度方向転換しながら進んでいく。交差点ではその度に地図を引っ張りだす。どうやら美生(あ、これも読めない)から道々62号線に乗り換えたほうが距離が短いようだ。
そのまま進むと国道236号線に出てしまうので途中から再度道々55号線に合流するルートを決めた。単調だが自然豊かな道を進む。途中で幼稚園の自然学習なのだろうか、道ばたで観察をしている集団(たって、子供を含めて10名程)とすれ違う。「こんにちは」、「あ、こんにちは」こんな会話が出来るところに自転車の醍醐味があるのかもしれない。時々「何処から来たの」なんて聞かれることがあるが、「札幌から」なんて答えると「げぇ!」なんて思われる。「あ、車であそこまで来て、そこからサイクリング」と答えるとはじめて安心してくれる。
 美生の交差点で道々55号線に別れを告げて道々62号線を目指す。ここまで1時間半、帯広川に遭遇したら小休止することにしよう。道々62号線に合流し、右折してさらに進む。ここは「豊頃糠内芽室線」と呼ぶらしい。地図で見ると芽室市街へ一直線って感じになっている。
 帯広川との合流地点で小休止。この川の先は帯広市になる。帯広市に入ると再度道々55号線を目指して右折する。おっと、ついに出会った犬の放し飼い。視力0.7(最近落ちてます視力)の目に「友達が来て嬉しいワン」って犬が見える。苦手なんだよなぁ、畜生関係。実は今日は昔使ったホイッスルを持ってきている。これを吹いて脅かそうと思うのだけれど、向こうは「友好関係構築組」。どうしたものかなぁ。
 通過する車に紛れてとも思うのだけれど、なんせこの道の車は10分に1台程度。結局「犬は時速30kmでは走れない」の信念のもと少し前から一気に加速して通り抜ける。たしかに、50m程追ってきたが、すぐに離れた。もうもう、放し飼いは辞めてもらいたい。
 まだまだ、中札内村には到着しない。道々55号線に再度合流し、帯広市を抜ける。中島橋を越えてはじめて中札内村に入る。ここの河川敷きはスポーツ公園になっていて、車のデポ地点として使えそうだ。
ようやく中札内村。道の駅「なかさつない」で大休止。それにしても、道の駅としては2流かな。なんか地方文化の香りがしないのですよね。元気があればここから僕の好きなダム巡りとして中札内ダムがあるのだけれど、これって13kmの盲腸線、行って帰ってで1時間はつらいのでパス。そのかわり市街地をブラブラする。
 おっと、場違いな文化センター、名称も「文化創造センター」。この「創造」の文字に補助金に縛られて作られた苦肉のネーミングを感じるなぁ。駐車場では山菜採りの講習会。「文化創造」よりも「文化伝承」が大切と思うのだけれど。
 ここまでで自転車の距離計は60kmを越えている。早速役場を探して記念写真。間違って農協の建物を役場と勘違いしてしまった。ここ十勝平野では、ありがちなんだよねぇ、役場より大きい農協。
 それにしても寒い。さっき「文化創造センター(笑い)」の気温計は7.3度を示していた。そもそもサイクリングする気温かぁ。

幸福駅
 中札内から国道236号線を北上する。帯広市内に向かう。途中、中札内村から帯広市にかわってすぐの所に旧幸福駅がある。旧と言うのは既に鉄路が無くなって久しい。しかも25年も経ていまさら「幸福駅」もなかろうと思いながらも、その跡地を見てみたいと思っていた。
 もう何年前になるだろうか。就職して次の年の夏だったろうか。バイクを購入して北海道の旅をはじめたのは。1978年だから22年前か。当時、帯広と言えば「幸福駅」だった。芹洋子の「幸福行きを2枚ください...」が爆発的ヒットしていた。今回、その幸福駅を22年ぶりに訪れる機会になった。偶然なのだが、十勝平野から東は独身時代最後のバイク旅のルートと符合する。去年の道南は、独身を続けていれば回っただろうが、ま、昔の事なんだが(笑い)
 国道236号線に看板が出ている。昔と同じ(てたって、本当に同じじゃないだろうが)「幸福駅」の看板が。右に曲がってすぐに交通公園としての幸福駅がある。昔のままだ。生憎の気温の低さにもかかわらずみやげ店は開いていた。しかも先客が居て、キーホルダーやなんかで4000円近く購入していた。僕はとりあえず土産に「当日スタンプ入りキーホルダー」を買う。中に挟まれている切符を見ると当時のまま160円表記がある。これが400円。ま、20年前に比べると幸福の値段も多少は上がっているのだろう。
 旧駅舎の中は数こそ減ったが定期券なんかがピンで留めてある。小さな駅のホームで22年前に旅行者に撮ってもらった写真と同じ看板に再開する。ああ、この「幸福駅」は何は無くても20年以上の歳月忘れ去られることもなく続いてきたのだ。帯広市の文化人きどりの人々は駅前ばかり再開発して、貴重な文化遺産とも言える幸福駅をないがしろにしている。こうやって来てみなければ何も解らない。帯広市の「全国区」はこの幸福駅なのだと今一度思い起こしてもらいたい。

芽室(めむろ)町
 ここから帯広市を目指すのだが、なんとなく気乗りがしない。それは帯広市に行ったところで、新たな十勝平野攻略のデポ地点が見つかる訳でも無く、また、周辺の市町村は近いので一気に回れるだろう。だとしたら、ここからわき道を使って芽室町に戻ることにする。
 地図を見ると、帯広市川西町から斜めに道を辿れば芽室町に出るらしい。引き続き低温で、身体に力が入らない。唯一風が追い風なことがありがたい。川西から左折して芽室の農業試験場に向かう。この施設は、まぁ、なんと言ったらいいのか、農水省の施設で十勝の農業にどれくらい役だっているか「計り知れない」(たぶん、役だってないから計れないのだろう)のだが、土建屋さんにはありがたいのだろう。
 さっきの道々62号線の合流して、にじます公園あたりにもデポできるなと観察しながら芽室市街に入る。芽室は国道38号線を避けて、少し南に市街地が広がる。次回のデポ地点として芽室公園を視察しておきたいのだが、合格。ここもデポ地点に使える。
 大きな建物がスポーツセンターだったりするのだが、役場そのものは借金してやっと建てたって感じ。看板にも郵貯かなにかの補助で建てたと書いてある。
役場がその町で最大の産業、しかも庁舎も町一番巨大な建物って所が多いが(特に帯広市役所なんか(笑い))こうしてコツコツやってるのも信頼感が持てる。
 あとは、20km先の車のデポ地点に向かう帰り路。途中から小雨が降りだしたので御影から山路に入る。国道を走るよりも短いはずだ。
 が、しかし、路に迷った(笑い)。
このあたりは碁盤の目のように道が出来ているのだが、これは農地を分けたためで人は全然居ない。そのためか道に地図も無ければ信号すら無い。遠くに国道38号線が見えているうちは良かったのだがやがてそれも見えなくなる。
「そのうち274号線にぶつかるさ」と安易に考えコンパスも見ないで走ってしまい、合流したT字路で悩んでしまった。地図を見てもここが何処なのか解らない。解らないまま進むと「道々55号線」の看板が。
 まさか、迷って戻ってしまった訳も無いだろう。地図では道々55号線は「清水大樹線」で清水町の御影から始まっているのだが。
左側に日勝峠らしき影が見える。思い切ってUターンしてしばらく走ると国道274号まで2.5kmの看板にであう。やれやれ、なんとか国道274号線で出会った。ここのT字路を右折して坂を下ると清水公園。結局給水は500mlのペットボトル1本のみで自転車に付けた水筒は手付かず。先ほどの日勝峠入り口のサインボードでは気温5度。普通ならサイクリングしないよなぁ、こんな低温の中で。

2000.05.20 本日の走行 121km

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