ふるさと銀河線...陸別町

コース概要
 先週池田町を出発して本別町、足寄町を「ふるさと銀河線」に添って進んだ。足寄町は日本で一番広い町で全国の市町村中最大の1400km2を誇る。広いってことは隣の町までの距離が長い。もっとも役場は足寄町の中心にあるわけでなく、かなり南にある。だから、本別と足寄の役場間の距離は17km程しか無い。
ふるさと銀河線に添って進むと足寄町の北方に陸別(りくべつ)町がある。学生時代から北海道の各地をバイクや出張で訪ねたが、ここ陸別だけは機会が無かった。足寄町から35km、置戸(おけと)町から30km。ここ陸別町は「近隣市町村役場から一番遠い町」と言えるのではないだろうか。その先はオホーツク圏内になる。「ふるさと銀河線」のゴール北見市まであと一歩の所まで駒を進めておくことにする。
輪行(c&c(Combined Cycling))概要
 日勝峠を越えて十勝平野に下ったあとは清水町から国道241号線をひたすら進む。地図を見ると鹿追町を大きく回って士幌町、上士幌町を経由して足寄町にでる。なんとかショートカットしたくて鹿追町の役場の前から右折して道々54号線「東瓜幕芽室線」に合流する。が、ここまでの道はジャリ道である。 ここから国道274号線を進み上士幌町で国道241号線に抜ける。実は、上士幌町では国道273号線のほうが道幅が広いので間違ってこっちに進んでしまいあわててUターン。
道の駅「足寄湖」
ここで書くのはサイクリング紀行に反するのだが、足寄に抜ける途中に道の駅がある。
ここはチーズ工場に併設されてる。特産品のチーズはたしかに美味しい。が、価格的には高い。お勧めは「発酵バター」これも600円で高いが楽しめる期間はチーズより長い。ちなみに、フランスパンに塗って食べたが、無塩のバターなのでパンそのものの塩分の違いが舌に感じられる。ここから先、先週自転車でと思ったのだが、来なくて正解。足寄町から7km程の道だがアップダウンは7%なんて場所が所々にある。先週のコンディションでここに無理して来ていたら、池田町に戻るのは2時間くらいあとになっていただろう。
今日のDEPO地点は北緯43度17分32秒 東経143度33分58秒

陸別(りくべつ)町
 足寄の町を抜け「ふるさと銀河線」の愛冠駅に車を駐める。ここの「愛の泉」で水筒に水を補給する。ついでに家から持ってきたペットボトルにも給水して、これはさっき道の駅「足寄湖」で買った発酵バターの冷却のため。
先週と違って駅の前に自転車が2台駐まっている。後ろのドロよけには「本別高校」のシールがある。今日は第1土曜日なので学校がある土曜日なんだ。
そう言えばさっき1両編成の列車が通り過ぎていった。学校のある日のダイヤ編成は先週の土曜日と違うのかもしれない。
 今日の目標は生まれて初めてと言ったら大げさだが陸別町訪問。そして、訓子府・置戸の分岐点である小利別駅まで進むこと。自転車を組み立てていざ出発。
今日の通過駅は、西一線(にしいっせん)、上利別(かみとしべつ)、ささもり、大誉地(おまち)、薫別(くんべつ)、陸別、分線(ぶんせん)、川上、小利別となる。道路は242号線「陸別国道」を進むことになる。
 若干の追い風を受けて北上をはじめる。鉄路が敷かれている地域の特性として道のアップダウンは少ない。平均時速25km程で進む。
 大誉地(およち)に入る頃「トブシの滝」に出会う。ここは地図には出ていない。ここから奥に新たな滝があるらしい。看板に「清流」とあるが、どうなんだろう。道を進む時に橋を渡るときに看板が有るのだけれど、「河の水を飲用しないでください」って内容。エヒノコックスなんだろうか、沢の水を飲めない地域らしい。残念なことだ。
河の向かい側になった「ふるさと銀河線」に添ってさらに北上する。
陸別の町で「ふるさと銀河線」の駅でひと休み。ここはオーロラ観測で有名な津田さんが務める天文台がある町だ。おおむね天文台ってのは山の上にあるので、帰りの調子を見て訪問しようと思う。陸別の「ふるさと銀河線」の駅も立派な駅だ。足寄の銀河ホールもそうなんだけど、国鉄からの転換債でトンカチ工事をやって腹いっぱいになって、ますます鉄路そのものは赤字経営ってことだな。どうして、こんな事をやるのだろう。駅舎は別予算ってことなんだろうか。だとしたら、アンバランスな駅舎と赤字路線を見て考えて欲しい。本当に地域に必要な物に金を使う。要求すれば手にはいる予算獲得で死に体の鉄路の横に近代的な駅舎が出来てもしゃーないやろう。「道の駅」はまだしも、鉄路の無い駅は駅じゃない。鉄道記念館でしか無い(以外と、ここを狙った諦観の駅なのかもしれないが)
300km近いドライブの末のサイクリングなので、行けるところまで進む。役場訪問は復路にするとして、更に先の分線を目指す。豪華な場違いの駅舎のおかげで、駅毎に駐車スペースが有るので(言ってる事とやってる事が違うのは十分承知)一駅毎にC&Cの車の駐車場が確保できる。分線は残念ながら小さすぎて無理。さらに、川上駅に向かう。緩いアップダウンを経て川上駅は駐車スペースがある。次の駅が小利別。目標の駅まで走ることにする。追い風に乗って走って帰りが苦しくなるのを考えてそろそろUターンと考えながら結局目的地まで走ってしまった。
 が、小利別まで足を伸ばして正解。誰も使わない大きな駅前広場確保(言ってる事とやってる事が違うって!。給水が蛇口を捻っている間だけ水が出る方式なので顔が洗えない。なんてケチくさい水のみ場なんだ。駅のシンボルとしてトヨタが贈った誰も見ないデジタル温度計は27.5度を示している。とにかく暑い。水を浴びたい気分なのだが給水がこれではねぇ。
 ここから訓子府(くんねっぷ)町へも置戸(おけと)町へも抜けることが出来る。昔は交通の要だったのだろうが商店は全て閉店、自動販売機すら無い。ゴーストタウン、そんな言葉が思いついた。駅のトイレを借りて今来た道を陸別に戻る。
 予想通り向かい風が強い。しかし、50km程しか走っていないので足は元気だ。来るときと同じように向かい風の中を時速25km近い速度で進む。気温が高いので向かい風がむしろ心地よい。陸別の町で恒例の役場訪問。なななんと、銀河線に勝とも劣らない豪華絢爛役場庁舎。ま、いいけど、この役場庁舎が建築コンテストで評価されて表彰されたってプレートが張って有る。
表彰した建設大臣は「五十嵐公三」。あ、ソーユー事ね。力いっぱい白ける。時代は村山政権、野党から与党になった社会党が、結局、言ってる事とやってる事が違う(あ、俺か!)時代の産物をプレートにして誇っている町なんだ。旭川の市長出身者が建設大臣の時代だもんなぁ。一瞬の「ゆらぎ政権」の建設大臣の表彰状って、21世紀に向けて「格好悪い事」なんだけどなぁ。
 急に天文台訪問の気力が萎える。入場料300円は魅力なのだが「どうでもいいやぁ」って気になる。役場の「農村観光活性化事業うんぬん」と天文台を書いていることにも白けた。
天文台は贅沢な道楽施設では無い。そうなっている地域は民度が低い。たぶん、ピラミッドやマヤ文明に代表される太古の文明は現在の機械工業万能主義とは違った、何と言ったら良いのか「時空研究至上主義」の文化だったのだろう。最後の氷河期が終わった1万5000年前から数回の文明が人類に有っただろう。キリスト教を物差しにした現在の文明は2000年程である。すると単純わり算で7回くらい違った文明が過去人類に存在したのだろう。それは、価値観も違い成果物も違う、互いに理解出来ないエイリアン文化に「時が」してしまったのだろう。その中で、天文だけは前文化(もしくは、前々?)から引き継がれてると思う。ま、そんなロマンを持った「天文台」が「農村活性化うんぬん」とは。範疇は科学技術なんだがなぁ。
 とまぁ、車のデポ地点に向けて再度走りはじめる。陸別を出てすぐ、南に向かっているので左側に自動販売機を発見。最近は栄養補給かどうか知らないがC.Cレモンのペットボトルを買う事が多い。が、自動販売機には無い。販売機の値段を見ると110円が多い、ペットボトルも140円。おっと、掟破りの安売り店なのかなぁ。C.Cレモンが欲しくて自動販売機を離れて店舗内で買う事にする。簡易スーパーみたいな店で、おぉぉぉ、レジの娘がかわゆい。
 前に、厚田村だったっけ、カメラのフイルムを買うために化粧品店の看板を頼りに店に入ったのだが、目眩しそうなくらい美人に出会ってしまった。ここの店も目眩感じた。仕事で岩内町に行く事が昔あったのだけれど、駅前(って、岩内には駅は無い、申し訳程度に「道の駅」がある。昔の国鉄の駅の場所を皆「駅前」と今でも呼んでいる)商店街で食堂で昼飯を食べてから役場に行くのだけれど、この食堂に時々目眩タイプが居る。役場で聞いたら「あ、ミス岩内ね」とのこと。
なんで、ミス岩内がラーメン運んでくるんだぁぁと絶叫しそうになった(絶叫したかな?)
とまぁ、悲しい話、この店が陸別町の印象を大きく替えた(そんな個人的な紀行文がここなのだが)。店でC.Cレモンを買っているあいだにも汗は滝のよう。2ヶ月前は気温7度の世界をサイクリングしていたのが嘘のようだ。さっきの小利別での気温は更に上がって30度に近づいているだろう。しかも道路の照り返しがある。「走っていないと暑くてかなわない」そんな感じだ。
 本日の走行は60km程度、足にまだ力が残っていて強い向かい風を心地よく受けて時速25km程で進む。本当に上半身裸になりたい気分だ。車DEPO地点まで一気に走る。
 「愛の泉」で水をすくって顔を洗って、これではおさまらない。ペット・ボトルに水を受けて頭からかぶる。2、3回やったらなんとか落ちついた。車の中の発酵バターも新しい冷たい水のペットボトルで囲む。
朝方の自転車2台はまだ止まっている。倶楽部活動でもしているのだろうか。
「陸別」って名前にふさわしい内陸の陸の孤島って感じだった。「ふるさと銀河線」が無ければ、ここに止まっている自転車の高校生たちはどうするんだろう。本別に下宿? そんな事が無いように高齢者の自家用車を町で借り上げて高校生の通学の運転手を務める。そんな地方ならではの仕組みが「東京中心の社会」では顧みられないのだろうなぁ。明日は、選挙、国の行方が変わるのだろうか。
 この自転車の持ち主の高校生に会ってみたい気もしたが、そろそろ札幌に向かって300km車で走らなければ。そうそう「Mint/http://www2b.biglobe.ne.jp/~mint/」ってシールを作って旅先で貼って回るって手があるな、なんて考えた。
2000.07.01 本日の走行 87km

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