いざ出発
道の駅から国道5号線に出て蘭越町に向かう。この地域は結構アップダウンがあり、十勝平野中心に、いわゆる「無限に続く直線道路」が普通のサイクリングが今年のパターンだったのだが、先の見えない曲がりくねったアップダウンのある道は新鮮でもある。
国道5号線と言えば札幌から道南に向かう幹線道路。有珠山の噴火も納まりつつあり、一番の幹線道路は国道230号線に譲るがそれでもトラックの走行は多い。だが、冬の除雪場所を兼ねた歩道が整備されており、サイクリングには便利な区間になっている。国道5号線のサイクリング不適区間は、やはり小樽市塩谷から余市町の間だろう。ここの複数のトンネルは危険度A級である。最近はバイパスのフルーツ街道を利用できるので安全にはなったが。
羊蹄山の裾野を流れる小さな河が削ったのか、30m程のアップダウンが続く道を進むと大きなT字路に出る。ここがJRの「昆布温泉」。この道を右に曲がって進むとニセコ地域の温泉が沢山ある。前に倶知安から岩内に抜ける時に通った五色温泉もこの先にある。
今日は蘭越町を目指して直進する。観光地として昆布温泉、五色温泉への入り口として蘭越町よりも、ここの「昆布温泉駅」のほうが有名だが、それも昔、国鉄が移動手段で大きなウエイトを占めていた時代の名残。ここで国鉄を降りて、歩いて各温泉地に行くのが普通だった時代。今は、温泉へ行く客がこの駅を利用することはほとんで無い。
蘭越(らんこし)町
おおむね昆布温泉の駅から7kmで蘭越町市街地に入る。地図を見ると国道を右折してすぐに役場がある。道路にも役場への標識が出ている。と、妙に時代掛かった木造の役場庁舎風の建物が左側に見えてくる。まっさかぁ、これが役場。しばしこの建物の周りを見てみるが、役場だ。がしかし、その奥に近代的な役場庁舎が見えてくる。するとこの建物は数年前まで使われていたのだろうか。
大きな公園に囲まれた役場に到着、お決まりの記念撮影。公園は良く整備されていて、複数の記念碑が建てられてる。開基100年(今年らしい)、平和宣言、その横に「忠魂碑」(ちょっと違和感がるが)。表の公園は休憩所を兼ねているのか、大きな藤棚の休憩所がある。
ここの給水所でしっかり顔を洗ってひと休み。観光地の展望台なんかで良く見かけた(最近は過去形になりつつあるが)直径80cm程の方位プレートが有って、モスクワの方向と距離、東京の方向と距離なんかがレリーフされている。
加えて、GPS計測した結果が東京測地系と世界座標の2種類併記、重力加速度の測定結果なんかも彫られている。この感覚って良いと思う。六分儀で測定の演習したり教材としての価値が高い。センスが良いと思う。
今日は足慣らし程度なのでJRの駅周辺の「駅前商店街」も観察させてもらう。
まず驚いたのが空き缶回収ボックス。これって、空き缶を1個入れて潰すと補助券が出る装置。このような装置を設置してリサイクルを進めようって運動があるが、ここ蘭越町では実際に機器が町民会館に設置されている。
もう一つ驚いたのはお酒の自動販売機。運転免許証を入れると生年月日を読みとって20歳以上だと販売する仕組み。このような仕組みが考えられてることは知っていたが実物を見たのは初めて。
なんで、こんな他の町で見ないような奇抜な、ある意味でオタクな、装置がここ蘭越町に設置されているのだろうか。もしかして、蘭越町の町民文化って「あたらしもの好き」。
ニセコへ戻る、商店街の出口あたりで「こうじ屋」を発見。公共事業の工事ではなくて「小林麹店」。麹の専門店。蘭越は大豆の生産はしていないと思うが、このあたりの自家製の味噌なんかの麹がこの店で扱われているのだろうか。周辺と言えば小樽を除く後志全域になる。まさか、「どぶろく」用では無いだろう。かつて「駅逓」が有った場所としての歴史の長さが、このような商店を生んだのだろうか。後志ではもう一つ「黒松内町」にも同じ様な歴史の足跡を感じる。
戻りは一気に道の駅を目指す。アップダウンは有るが20km弱、足の疲労もほとんど無いので一気に走る。途中、2m程の青大将が車にひかれていた。
また、登り坂で目の前の「おばさん」と言うか「おばあさん」の自転車を前方に発見したが、追い抜きまでやたら時間がかかった。良くみると「電動アシスト自転車」。これに登り坂で20km/hで走られると「生身の足」の当方としては「おばあさん」にも負けてしまう。追い越す時に「早いですねぇ。なかなか追いつかなかった」と声をかけたら「若いもんにゃ負けられないって」。うーん元気な年寄りってのはなんか心強くなる。