北へ........美深町

コース概要
 なんとなく秋が来るのが遅い。気温が高いが日の長さは確実に短くなる。前に、もう、北海道のサイクリングの季節は終わったよなんて書いたけど、最近地球温暖化の影響なのか、妙に秋の訪れが遅い。しからば、出かけようかとなるのがサイクリストのサガ。最近はドライブ時間が長くなるので同じ方面では無くて多方面へ脚を伸ばし、退屈なドライブを避けたい。
 となると、去年のリストから考えると北へ向かうルートを今年は一度も訪れていない。名寄公園を起点に北に向かうルートは去年確保した。ここから先に向かってみよう。幸い、この北上ルートの先にある「幌延(ほろのべ)町」は前に押さえている。その間にあるのは3町村だけだ。今回は、名寄市から美深町へ国道40号線を探索する。
輪行概要
 早く札幌を出るに越した事はない。ルートは何時もの旭川経由では無くて、沼田経由。つまり、国道275号線をひたすら北上して、朱鞠内(しゅまりない)湖を巻いて名寄に出る。完全に旭川市をバイパスするルートで、これで時間距離が相当短縮される。がぁ当日は北海道で恒例の「ツールド北海道」の主催日で、車で走りながらラジオを聞いていると開催されるルートがまさに今走っているルート。
道端の看板には「8:30〜11:30 交通規制」と書いてある。
 ぎりぎりまで粘って、不本意ながら国道275号線を離れ「風連町」で国道40号線と合流する道を選ぶ。なんとかたどり着いた名寄公園で早速自転車を組み立てる。今日のメニューで目新しいのは先週なにげなく入ったDIY店で買ったCRC−556の潤滑油が198円だったこと。これをタップリとチェーンに散布して、名寄市を後にする。

いざ出発
 僕の性格かなぁ、スタートしてから5km走るまでは身体が出来ているかどうかのチェックに費やすのであまり地図を見ない。今日の体調が解るのは、おおむね5kmまで踏んだあたりだ。実は最悪の体調と言うかコンディションだった。ひさしぶりに先週走ったのだが、この疲れと言うかダルサが気分的に残っている。この道を「ツールド北海道」の選手が出発したって感じが無ければ、いつものように走り始めは「なんか、何のために自転車で走るのかなぁ?」みたいな精神で、とりあえずペダルを踏んでいただろう。
 漫然と北に向かっていたためか道々252号線に迷い込む。道路標識はこの先美深町となっているので間違いないだろう。名寄市を出たあたりで何回か天塩川を越える。名寄川と天塩川が合流しているのか、川を越えてもすぐ川って感じだ。
 きつい登りが始まる。脚が出来てくる前に現れる登りは本当辛い。事前に分かっていれば準備運動をしておくのだが、地図からアップダウンを読みとるのは難しく、意外と高度がある坂を登る。考えてみると国道40号線に比べて3桁の道々は平坦な昔の道路を距離的に短縮するために作られたものが多く、当然、2桁の国道よりもアップダウンがきつい。
結構ヘビーな峠を越えて下った所で国道40号線に合流するT字路の交差点。ここが知恵文(ちえぶん)。たしか、昔は「ちえぶみ」と読んだような記憶があるのだが、それは、後で調べてみよう。と考えて現在名寄市のホームページの掲示板で質問中。

美深(びふか)町
 国道40号線を進むと美深町到着。国道の両わきに広がる商店街が主な施設。ただし、この街は国道と平行したJRがあるので、国道とJRの駅の間にいわゆる「駅前商店街」がある。
 美深町の役場の前で記念写真、その奥に「誰が使うんだろうなぁ」ってスポーツ施設がある。汗をかいた顔を洗いたいので野球場のまわりを探したのだけれど、トイレですら、鍵がかかっている。もちろん水のみ場は無い。なんかなぁって感じ。
 JRの駅で小休止。ここがあるから「駅前商店街」な訳で、岩内町のような駅の無い「駅前商店街」をかろうじて免れている。もちろん、ここが駅前でなくなる時は、旭川から稚内までの鉄路の無くなる時なのだが。
 記念にキップを買おうと思ったら「特急記念」は5200円、入場券は売り切れとのこと、まさか、5200円払う気も無いので、「なんだかなぁ。駅の機能が解ってるのか!」と少し不機嫌になる(このあたり、サイクリストでは無くて「鉄ちゃん」になっている(笑い))。
 駅前の観光案内を見ると車で登れる1129mの「函岳」が町内にあるとのこと。「ここからは日本海とオホーツクが眺望される」との案内文章。ついに、そこまで来たんだと看板を見ながら感慨にひたる。北海道の地形を見ると解るが、日本海とオホーツク海はそれぞれ西と東をに位置する。この両方を望める地が稚内の手前のここにあるとは。
 今日はここから戻りかなとも思っただけれど、地図を見ると少し先に道の駅「びふか」がある。距離的に10km程。もう少し北上を続けることにする。なんとなく追い風のようで、緩やかなアップダウンのアップの先に道の駅が見えてくる。おっと、ずいぶん立派なと言うか、規模の大きな施設じゃないか。ここは道の駅と言うよりも、美深森林公園なのだ。
 うーーん。この贅沢は何なんだと最初に思った。道の駅なんか刺身のツマ。道の駅を右に曲がって公園に入ると温泉、オートキャンプ場、パークゴルフを中心にした公園と、その広さは1km四方を越えている。平凡な表現をすれば、東京ドーム10個分くらいか(あ、東京ドームに入った事は無いのだが)。
 特にサッカーも出来る天然芝の競技場は、どう考えても「天塩川遊水路」として窪地に作られたもの。なんだかなぁ、といつもの感想なんだけど、このオートリゾートも含めて、この「美深森林公園」を作ったお金は税金でしょ。コンセンサス得られないぞ、この贅沢。東京近郊で子育てしているお母さんに、この全面芝で出来た丘、そこで好きにスノーボードが出来る人工芝シート。こんな所で子供を遊ばせたらと思うと、東京近郊は子供を育てる場で無いと思うか、「私たちも納税者なんだから、同じものを作れ」と言うか。たぶん、後者だな。
 施設の中に「チョウザメ博物館」がある。無料らしい。ここで記帳して、資料費100円を払ってパンフレットを入手する。時々テレビで紹介される美深のチョウザメのキャビアなのだけれど、補助金で出来たんですねぇ。泳いでいるイトウなんかは農水省の補助金を美深町に持っていくる玉なんだ、と思うと、なんか見る目が違ってくる。
 そもそも美深町と言えばかつて国鉄の時代に日本一の赤字線ってことで有名になり、時の長谷部町長が駅の入場券を売り歩くために東京に出かけたりってパフォーマンスの街。それほど街が過疎なのかと言うと、こんな過疎は北海道の何処にでもある。がしかし、美深町は町長の広報が功をそうして「日本一の過疎」。そして、税金が大量に流れ込む。これって、あり?
 チョウザメのキャビアを取った後に腹を縫合しておくと、2、3年でまたキャビアが取れるとか。ウーン、農水省の予算も2、3年すればまた名前考えれば取れるってこと? それが「企画」?
 キャンプ場のトイレ一つとっても「多目的トイレ」と個別の補助金。要は、各種補助金をレゴブロックのように集めて、この「美深森林公園」がある。目新しい「多目的トイレ」のネーミングは新しい補助金を得るための看板。能書きはいらないって。洗面所を併設したトイレなのだが、洗面所の蛇口が捻っている間だだけ水が出るものサイクリング中に洗面器持って歩けってことなのか、顔を洗う事ができない。これが「多目的?」
 町民一人当たりの投入される税金は東京当たりの都市部の10倍はあるだろう。でないと、こんな大きな公園(芝生の整備に年間数千万円)を維持できない。
 ほんとう、日本一の赤字線と言いながら全国に(国会に)アピールして、いまの施設があるんだ。集めた金を引き戻す技に脱帽。それが過疎の街の有るべき姿と勘違いしている多くの組長に驚愕、自分の街が良ければ良いって民度に慟哭。
 実は、長谷部町長は憶えていないだろうが、昔意見交換みたいな出会いが有った。この時に「国鉄の代理でキップ売っているように見せて、したたかに美深町の営業してるんでしょう」って言ったら、ニヤリと笑い「いちおう、町長ですからねぇ」と言っていた。結局、これだったのかな。
 不機嫌なままトイレを借用したくて、再度戻りの道で美深駅に寄る。おっと、スタンプテーリングのアイデアを再発見する。内容は「美のスタンプテーリング」(てな、まともなキャッチコピーは無いのだが。「美深・美唄・美幌・美瑛」、北海道で「美」が町名にある4市町で共同でなにかやろうって企画。ま、このほうがこれから楽しみだなぁ。美唄は産炭地衰退から脱してない、美瑛は富良野の褌利用中、美幌は先に書いたが最強の歓楽街を形成した。ところで、美深は? 実は全国に売り込むプロモーターのノウハウが有る。
 ここの公園まで来て良かった、次回への拠点も確保できたし、街の考えていることも解った。ひょっとして、北の3町村には来てみなければ解らない何かが有るのかもしれない。
2000.09.16 本日の走行 68km

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