いざ出発
駐車場はかねてからの幕別町役場周辺を利用した。ここに「スポーツ公園」があって、ここの駐車場はガラアキなので利用させてもらう。
幕別町ってのは難しくて、帯広市に隣接している地域が中心なのだが、ここ役場のある地域もそれなりに町の中心なのだ、明らかに市街地が2局化している。ここ役場周辺の駐車スペースに車を駐めて自転車を組み立ててスタートする。
国道38号線を南西に向かうのが今日のコースだ。幕別町の市街地を500m程進んで国道38号線に合流する。国道を進むとすぐに左折すると池田町に向かうT字交差点がある。ここから池田町に抜け、ふるさと銀河線を北見市に向かったのが去年。今回は直進して豊頃町を目指す。途中の道はおりからの強い追い風に加えて若干の下り坂のため平時速30kmで快適に進む。この道を戻ってくることを考えると、必ずしもありがたい事では無いのだけれど、この快適さに酔ってしまう。理屈ぬきにスイスイ国道38号線を進む。
豊頃(とよころ)町
豊頃町の中心は昔「茂岩」と呼ばれた地域にあるらしい。
国道38号線が大きく左に曲がり、その先に豊頃大橋が見えるのだが、ここを直進する。国道との分岐点に小さな公園があるのだが、残念ながら給水の設備は無い。トイレが有るのだから水道は引いて有る。だとしたら、作って置いても損は無いと思うが、そこまで気が回らないのだろうか。
市街地に入る前に「二宮親徳入植の地」なんて看板に出会う。ここにはなんか歴史が隠れているのかなぁ。
地図で「そろそろ役場だなぁ」って辺りに「こちらハルニレ公園」なんて道路標識が見える。ここもチェックだなぁと思いながら道路標識が指す左を横目でみながら役場を目指す。右手の丘の上に見える茶色の建物が役場だろうか。
おお、役場は丘の上にあるのだが、この丘から階段状に幅30m程の滝が流れている。小さな公園になってる所にはベンチも配置されている。役場に噴水が有るのはときどき見かけるが、こんな滝があるのはここ豊頃町だけではないだろうか。残念ながらこの公園で休む人は居ない。暑くなれば滝の下の池で子供を遊ばせる人達で賑わうのだろうか。
自転車をこの公園に置いて、滝に添って木で出来た階段を登って役場にたどりつく。役場の前の記念碑を見て納得。
ここ豊頃町は明治30年に入植が始まった。最初の入植団はあの小学校の校庭にある銅像(最近は無いかな)二宮尊徳の孫の二宮尊親の一団であった。さきの看板は、この豊頃町への最初の入植地の跡だったのだ。十勝川と旧利別川の合流地点を入植地に選んだのはうなずける。ただし、何度かの川の合流地点故の洪水に悩まされたのではないだろうか。地図を見るとここから下流に沼が多い。たぶん、二宮尊徳の孫として、地の利を考えると、合流点の上流が最善の選択だったのだろう。それにしても、もう10km程上流のほうが良かったのじゃないだろうか。ただ、若干起伏がある山地地形になるのだが。
役場前の滝の公園で小休止のあと、さきほどの道路標識に従って「ハルニレ公園」に向かう。隣接して十勝川を越えるもう一方の橋「茂岩橋」を越えて十勝川の対岸に渡る。風の強さはあいかわらずで、真横から吹き付けるので帽子が飛ばされそうになる。
ご多分に漏れず、河川敷きはパークゴルフ場に整備されている。ただし、誰も遊んでいない。さきの公園と言い、人口が少なすぎて整備しても利用者が居ないってことなんだろう。だとしたら、誰のための整備なんだろうか。こんな公園整備するよりおとしよりが快適に過ごせる環境が先じゃないだろうか。
橋を渡った所から川に添って1km程進むと小さなロッジがあって、ここが「ハルニレ公園」らしい。堤防を川に下ると3本のハルニレの木が見える。得に立派な木にも見えない。ただ、ハルニレ独特の銀杏の葉を縦にしたような形態は見て取れる。案内標識によると樹齢130年とか。丁度入植から100年くらいになるのだ。堤防の外側(最近聞いたのだが、堤防の川側は外側と呼ぶらしい)に有るのだから洪水のたびに濁流にさらされただろう。にも係わらず130年流されずに生きてきたってのはやはり「ハルニレ公園」として整備する価値が有るのかも知れない。逆に、この公園の価値は70年くらい経た後、これを見る人が『200年もこの木を守ってきた先人の偉大さ』を知る施設になるのかもしれない。
向かい風を受けながら1km程今来た道を戻り国道38号線に再び合流する。JRの豊頃駅があるあたりが、町名と同じ豊頃地区。役場が有るのは茂岩地区。ここから左に曲がるとJRの「とうふつ」駅がある。ここは十沸と書き、英語の10ドルの和名なので、記念入場券が有るはず。帰りに寄ってみよう。今は国道を真っ直ぐ浦幌町に向かう。
道の整備状況はおおむね2m程の歩道が有り、その舗装もデコボコが少なく快適に走れる。本当は50cm以上の路側帯が自転車には走り易いのだけれど、まぁまぁ国道としては安全に走れる。途中「吉野」で国道38号線は左に、直進すると国道336号線って交差点があるが、この手前2km位の所だろうか、まったく路側帯が無い所が1km程続く。
ここで、本日最大のミスを侵す。車道の舗装を再度張ったのか、路側には2、3cmのアスファルトの段差がある。これを避けながら走っていたのだが、ちょっと気を抜いた瞬間に左から右に触れてこのアスファルトの段差に乗り上げられず前輪が左に流れてしまった。とっさに体勢を立て直したのだけれど、足はトゥクリップで固定されている。右に倒れると車道に倒れることになり、後ろからトラックなんかが来ていればペシャンコ。身体を捻って体勢を整えたのだが、この時に右の膝をひねったようだ。
最初は気にならなかったのだが、スキーで無理な姿勢で転倒したようなもので、この後遺症が帰りの道で出る。しまいには、車の運転は出来るが車を降りて歩けない程になってしまった。やはり1年間のブランクは、このような所でのミスを誘発するのかもしれない。
浦幌(うらほろ)町
「吉野から左に90度曲がって、今度は横からの風に悩まされながら北東に向かう。本当に今日は風が強い。風の強い日は風の音ばかりでほとんど他の音が聞こえず、とくに後ろから来る車の音が聞き取れないので走りずらい。そんな感じでしばらく進むと左折「浦幌市街地」の看板に出会う。
浦幌の町は国道を完全にバイパス化しており、市街地は国道から西に開けている。豊頃と比べて商業地域の色彩が強い。なんせパチンコ屋が沢山ある。また、アマチュア無線の鉄塔がやたら目につく。これって、去年の士幌町と上士幌町の関係にも似ている。帯広からそこそこ遠い故に浦幌町に小さな商業地域が出来たのだろう。後志で言えば倶知安町、日高で言えば静内町がこのような分類に当てはまるだろうか。
次回の車のデポ地点を探しに、町を突き抜けさらに国道38号線に合流して先に進む。浦幌トンネルの前に空き地を見つけ、ここを次回のデポ地点として本日の行程折り返し。
再度、浦幌市街地をポタリングする。役場の前では記念撮影。「浦幌教育文化センター」なんてのが有る。本当に使われてるのかなぁ。設計が突飛過ぎて馴染んでないような感じを受ける。今時、成金趣味でもないだろう、ローマのパルチノン神殿ばりの柱は無いだろうにぃ。
そろそろ限界。汗で顔がザラザラになってる。水飲み場のある公園を探すのだけれど見つからない。「健康公園」なんて仰々しい施設があるのだけれど、ここしか無いのだろうか。手軽に利用できる公園が無くて、町で唯一大規模公園ってのはどうかと思う。これからは高齢者が増えるのだから、小さな公園での日向ぼっここそが必要になるのだから。
結局、汗まみれのまま今来た道を戻る。すさまじい向かい風だ。特に新吉野を右折してからは前に進めない程の向かい風になる。さっきとっさに捻った右足の膝が傷み出す。吹きさらしの場所ではあまりにも向かい風が強いので歩きになる。
必死でペダルを踏んでいたので、さきほどの「十沸」への曲がり角も大きく過ぎてしまう。ときどき見える測量標識には「H=20」の表示が。ここって標高20mなの? 十勝川の河口まで20km程もあるのだけれど。
やっと出発点の幕別町にたどり着くまで水のみ場は見あたらず。普通はどこかに学校があって、ここで給水して顔を洗えるのだけれど、まったく無し。この区間は給水不能を前提に考えたほうが良い。ちなみに、幕別町にも無くて、車で「明野ヶ丘公園」まで行って初めて顔を洗う事が出来た。
帰りの車の運転は支障が無かったが、車を降りてコンビニで買い物する時には右膝が捻れるような行動はいっさい出来ず、這うように店内を歩き回った。最初にしては少し距離が有ったかなぁ。
2001.06.02 本日の走行 86km