北国の青い空.........上川町&北見峠

コース概要
 車の運転に終始するコースでは無くて、「割と近場」を考えてみると、3年前に当麻町をスタート地点にして、愛別町を訪問してから国道39号線を先に進んでいないことが解る。この道は実は十勝平野から「ふるさと銀河線」を利用して北見市に抜けてから北見市に向けて何度か車では通っているコースなのだ。自転車で辿った道では無く、ここから石北峠を越えて北見市に向かっていたのだ。
 そろそろ訪問したいなとインターネットの日照アメダスを見ると札幌では曇空だが上川地方は晴れているらしい。もっとも、午前5時では日が登ってすぐなので観測値はあやしいのだけれど。とにかくこれを信用してごぶさたしていた愛別町方面に向かう。
 一番の未達の原因は車のデポ地点を見つけておかなかったこと。そのため、今回は最悪の場合かなり手前になるが道の駅「当麻」に車をデポして愛別から先の上川町を訪問することになる。
 ここ上川町から東に北見峠を越えてオホーツク地帯に抜けられる。そのために越えなくてはいけない峠が北見峠である。ここは同じく3年前に道立少年自然の家常呂のコンテンツ作成の仕事のために正月の4日に吹雪の中で越えた峠だ。オホーツクに抜けるには石北峠よりも利用価値がある峠だ。上川町までは国道39号線。ここから北見峠を目指して国道273号線を足を伸ばせるだけ伸ばしておこう。
 そのための「北見峠ベースキャンプ作り」を兼ねたコース設定になる。
輪行概要
 今回のコースのポイントは「車のデポ地点の確保」である。愛別町までは自転車で訪問しているのにも係わらず車のデポ地点を設定できていないので、最悪「道の駅、当麻」になるかもしれない。ここをデポ地点にすると愛別町までの12km、往復で24kmが不本意なコースになる。
 札幌から国道275号線を雨竜町まで進み、道々47、57号線を利用して旭川へ。ここから旭川バイパス道路を利用して国道39号線に出て当麻を目指す。
 車のアマチュア無線の「ナビトラ」からはJA8SXの電波が聞こえてくる。彼に会ったのは4年前の常呂少年自然の家取材の帰り道だった。
当麻町から愛別町の間で車のデポ地点を探さなくてはいけない。それも愛別町に近い場所で。愛別町市街地に入る直前の右側に石狩川の河川敷を利用した「親水公園」を発見。ここはパークゴルフ場をメインにした公園らしい。もう、ここしか無いと決めてたので、管理事務所の前にドンと車を駐めて自転車を組み立てる。管理人が居るが特に文句は言われない。言われたら「ここは公共スペースですよね。土地利用許可が必要ならそれを出す相手を教えて下さい」と言うつもり。土地の私有が認められてる日本だが、一方では共有地も多い。河川敷ってのはこのさいたるもの。だが、時々「俺の許可を得ないで使うな」みたいな変人が居る。幸い、ここでは何も言われなかった。

出発(デポ地点、愛別町親水公園)
 河川敷から国道39号線に登る。ここから上川町を目指す。ここのルートは歩道が整備されているのでサイクリングコースとして快適な走行を楽しめる。時々道の左右が変わるが幅3m程の歩道は舗装状態も良くサイクリングロードとして十分使える。ちなみに、追い風を利用して30km/hで走行してもデコボコが気にならない程舗装状態は良い。ほとんどアップダウンが無い道を東に進む。車で何度か通り過ぎているのだが、やはり自転車で走ると別物である。
 時々向いからのオートバイのライダーがピースサインを送ってくるが、こちらはチャリダー、ライダーとは違うポリシーなんだよと挨拶を返さない。北海道観光の有名どころに多いのだけれどライダーがチャリダー(サイクリスト)にサインを送ってくる。正直言ってあまり返答しない。それは「旅のポリシー」があまりにも違うから。こちらはA地点からB地点への移動のプロセスを楽しむ(苦しむ)のが旅だと思っている。ライダーはプロセス抜き。移動先が目的で移動自体は楽しみに入らない。だから、孤独をいやすためにチャリダーにサインを送る。こちらは送られて迷惑な事が多い。とくに登り坂なんかで返答するのだって億劫なことがある。
 昔ライダーだったので、その安易な気持ちは反省を込めて十分経験している。なんせ、ライダーは実は寂しいのだ。一人で走っていると(特に北海道では1時間以上ライダーに合わないこともある)、寂しくて寂しくて僕は気が付いたら大声で歌を唄っていたことがあった。だから、その気持ちは解るのだけれど、今はチャリダーのポリシーで走っているのだ。
国道273号線と国道38号線の分岐点に到着。ここまで全て歩道を走ってたどり着く。なんとも贅沢なサイクリング・ロードである。記憶ではこの先に上川町の役場があるはずで、しばらく国道38号線を先に進む。
 おっと、今までサイクリストのために有ったような歩道が無くなる。道も狭くなって明らかに市街地を抜けた様相だ。自転車を駐めて地図を広げてみる。ななんと、記憶違い。上川の役場は先の国道273号線への分岐の手前だったのだ。
 Uターンして先の分岐点に戻る。まずは北見峠を目指し、帰路、上川町役場を訪れることにする。戻りながら分岐点を左折して北見峠に向かい登り始める。3年前の冬に車で越えた峠だが当時の記憶を辿っても記憶と一致する部分は無い。なんせ、吹雪の峠越えで風景なんか見る余裕が無かったのだから。
坂道を登りながら道路工事の多さに気が付く。ここのルートも歩道が完備していて自転車には快適なのだが、車道と歩道を繋ぐ縁石の切れ目がほとんど無い。にもかかわらず、工事の都合で歩道から車道へ迂回路が設定されて、その誘導の人間まで居る。ちょっと待ってよ。ここの歩道を土日に歩く奴なんか居るのか? 30km走って来たが一人も出くわさなかった。形式通り歩道の迂回路を設けているのだろうが、自転車利用者から見たら歩道と車道の縁石の段差を自転車を降りて越えなければならないのだから、まったく不十分だ。公共事業が地域の雇用を保っているのは解るが、工夫が足りないではないか。
 で、なんの工事なの。え! 「旭川、紋別高規格道路(上川工事)」なんて看板が出ている。おいおい、5分走って数台の追い越ししか無いこの道に「有料の高速道路」作る理由が有るのかなぁ。まったく何を考えているのか。樹木をなぎ倒しNTTの電話線を付け替えて(工事は「つうけん」かぁ)そんな工事で誰がハッピーになるんや。
 北見峠への道はなだらかな登りが続く。結構キツイのだろうが、ギアを落として周辺の風景を楽しみながらゆっくり登る分には気にならない。JRの石北線と平行しているので、時々列車が通過する音が聞こえる。思い出してみると、冬の出張で網走に向かう特急の窓から見た風景はこの国道273号線とこの先の国道333号線なんだろう。吹雪で凍てつく道にたまに見える車。それって、JRから見ていたこの道なんだ。
 JRの中越(なかこし)駅のあたりで「中越逓信所」の碑を目にする。ここから北見峠を越えてオホーツク海に抜けるルートは明治の時代から要所だったのだろう。ここに峠越えを前に車のスリップ止めの装備のために「チェーン着脱場」がある。ここを次回のデポ地点にしようと考えたが、まだ足に余裕があるので、さらに先に進むことにする。ほどなく「第二中越逓信所」の碑も見えてくる。現在の石北峠越えが完成する前に、北見峠が唯一のオホーツクに抜ける重要ルートだったようだ。
 ほとんど誰も通らない歩道はバッタの格好の日向ぼっこの場所らしい。小さなものから殿様バッタまで、歩道での日向ぼっこしている。自転車が近づくとあわてて飛び上がるものも居るが、バッタの平地での飛翔は不細工なものだ。着地は地面をゴロゴロころげている。本来草の先にとまる事しか出来ないバッタが舗装道路で転がって着地している様は滑稽であったりする。本当、ここは車のための道路では無く、バッタの日向ぼっこのための道路なのかもしれない。
 本日の天候は快晴。先に国道39号線を走っていた時に感じたのだが、秋の澄んだ青空が広がる。北見峠に向かって標高が高くなるに従い周辺の山の緑の背景として空が一段と青さが増してくる。まるで、青い空に吸い込まれて行くように自転車は進む。平地では水平線に向かって青が水色に変わるが、登るに従い天頂の青と同じ青が周囲を包む。空に向かってペダルを踏む、そんな感覚を味わいながら高度を上げていく。
 JRの石北線の下をくぐって、そろそろ引き返そうかと思う。地図を見るとあと少しで国道333号線との分岐点らしい。取りあえずここまで行く事にする。上空に南に向かうジェット機のコントレール(飛行雲)が見える。

上空は秋の空になっているらしい。そのコントレールを目で追うとなにやら高架橋が目にはいる。これも先の「旭川・紋別高規格道路」なんだろうか。この疑問は国道333号線との分岐点で明らかになる。
 北見峠は抜本的に道の付け替え工事が行われてる。先の高架橋を利用してより直線的な道路に設計しなおされてる。しかし、待てよ。谷間を縫うような今の道路を高架で直線的にすると冬の吹雪の時に危険ではないだろうか。今見えている高架はここから40m近く高い所にある。北見峠は標高857m。紋別に抜ける浮島峠が887m。しかし、ここは北海道で2番目に長い「浮島トンネル」に道の付け替えがあった。JRは北見峠を「石北トンネル」で抜けている。だとしたら、同じ公共事業なら、北見峠もトンネル化するのが筋ではないだろうか。あんな高架にして、冬に高架からの転落事故が起こらなければ良いが。
 分岐点で遅い昼食にする。と言ってもお握り2個+スポーツドリンク。約15kmの登りだが、消費した水は1リットル+スポーツドリンク0.5リットル。あまり気にならなかったが水分はそうとう消費している。ここに車をデポ出来る空き地があったので、今日のベースキャンプ確保の目的は十分達せられた。ここから国道39号線まで緩いダウンヒルを楽しみながら下ることにしよう。
 戻り初めて地獄が始まる。先のバッタの日向ぼっこを下りを利用して侵食するため、飛び上がったバッタが身体にぶつかってくる。膝を見ると体長10cm程のバッタがくっついている。あわてて手で払う。バッタの足の感触が手に残る。フロントバッグにもバッタが飛びつく。これも手ではらう。最悪はサイクルジャージの肩にバッタが軟着陸。顔から10cmでバッタと「ご対面」。さすが声が出そうだったが、これも手で払い落とす。
 僕は先に書いてるように極度の犬嫌い。理由は「口で言っても解らない人間と付き合わなければならないのに、まして犬や猫まで相手にしたく無い」ってこと。その範疇に昆虫は入っていない。が、バタバタと身体にとりついてくる。最初はなんとか避けようと思っていたが、これは無理。取りついたバッタを何匹か手で払ってるうちに全然気にならなくなった。尻の方向から払うと自分で飛び去ることも解ってきた。必死でしがみつくバッタには足の2、3本は失ってもらわなければなんて思うようになった。残った足をつまんで服から外すのも気にならない。なんと対応力があるのだと自分でも感心する。その後今でも昆虫は手でつかめるまでになっている。今まで何だったんだろう。もっとも、この時は逆境血圧200以上レベルだったのだが。

上川町市街地
 国道39号線に合流して右に進み上川町市街地に入る。
役場の前でお決まりの記念撮影。不思議な町だ。住宅が広がるが工場のような産業の拠点が見つからない。ここの町の経済はどのように循環しているのだろうか。ま、待てよ、先日行った阿寒町に似ている。ここの町も層雲峡温泉を背後に持ってる。この温泉が経済の中心なんだろうか。他に若干の林業の雰囲気がある。役場の裏山はスキー場なんだろうか、過激な自然破壊で土が雨によって崩れさっている。土のまま放置せずに草を植えるのが大事なのだが、このままでは岩肌を醜く晒すスキー場になってしまう。
 野球場とパークゴルフが併設されてる公園で大休止。ここの野球場のバックネットの横に水道を見つけ今日初めて顔を洗う。塩でジャリジャリになってる。なんせここまでに水筒1リットル、ペットボトル2本合計2リットルを消費している。ここの公園はこの水道が唯一の給水場所。本当なら公園には給水場所がたくさん有って良いと思うが、探して探してやっとここ1本である。
 煙草を吸いながらグランドで練習する少年野球を見学する。なんと、ピッチングマシンを利用している。バッティング練習中らしい。でも、ピッチングマシンの球速は90km程に設定されてる。これって少年野球の水準かぁ。あんのじょう子供たちは球威に負けて内野ゴロがせいいっぱい。本当は緩い球で練習してバティング・フォームを固めるのが必要な練習なんだが、ま、地方のスポーツの最大の悲劇は指導者不足、の良い例だろう。これではイチローや松井は生まれない。結果オーライの指導では伸びる者も伸びない。
 上川町からデポ地点の愛別町までは20km程。弱い向かい風の中を出発点に戻る。なんせ、3時からコンサドーレの試合をHBCラジオで放送するので、それまでに戻りたい。
 途中、沢山のライダーからのサインに答えているうちに後ろからチャリダーに抜かれた。リアにテント用品を付けた「本格派のチャリダー」だ。追いかけるが相手は時速30km程でスイスイ進む。こちらはメータ値で25kmが精いっぱい。ランドナーとクロスバイクの違いはあるが、ま、それより年齢差が決定的なんだろう(笑い)。
 車に戻って力いっぱいクーラを入れて、走り初めてすぐに再度「本格派のチャリダー」を追い越した。スピードは落ちていない。負けたな。何時もならクラクションをならして手を振るのだけれど、なんかそんなミーハーな行為がはばかられるような気がして黙って通り過ぎた。
 たぶん、石北峠越えをしてきたのだろう。今日は当麻あたりでキャンプだろうか。彼の目に石北峠はどのように映ったのだろうか。そんな気持ちと、空に吸い込まれるような北国の青い空、この体験を峠は違うが彼と共有できた嬉しさとが交差しながらバックミラーに遠ざかる彼の姿を追っていた。
2001.08.18 (C)Mint 本日の走行 83km

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