遠い、暑い..清里町、小清水町

コース概要
 地図を見ながら残り市町村の攻略方法を練っている。地図の楽しみってのは行ったことの無い地域を地図で想像しながら計画を立てる時に一番感じるのではないだろうか。
一番遠いのは何処かなと考えながら地図を見ていると驚く市町村が目にとまった。知床半島の東側に有る羅臼町。ここに到着するために出発点となる隣接する市町村は斜里町から69km、標津町から44kmとなる。隣接するのはこの2市町村のみ。どちらも往復で140km,80km。走行時間で7〜5時間を越える。
 札幌からだとこのあたりに車で行くのに7時間程かかる。自転車走行時間を5時間取ると、戻りの走行時間を足すと19時間。朝の5時に札幌を出て戻りは24時。つまり日帰りとは呼べない時間帯に入る。それ以前に体力が持つかって問題もある。これを解決するには往復の車での走行時間はどうしようも無いので現地自転車走行2時間程度の小刻み攻略方法が必要になるのではないか。それにしても車の運転14時間、自転車走行2時間ってのは「自転車紀行記」なのかとの疑問も湧くおだが(笑い)。
 そんな計画を地図を見ながら立てて羅臼攻略の拠点として斜里町を想定し、ここに3回行くとしてどれくらいの車の走行が必要なのかを調べながら未走行の清里町と小清水町を訪問することにする。
これからの攻略に斜里町をベースキャンプにする計画だ。何故なら、羅臼町に立ちはだかる知床峠を是非とも越えてみたいからだ。北海道を自転車で旅する人々に「知床峠」は忘れられない思い出として残るようだ。海岸から、つまり海抜ゼロメートルから出発して738mの峠を越える。単一の峠越えでは最大の標高差ではないだろうか。ここを体験しないで北海道自転車旅行記を標榜することは出来ないだろう。だから、斜里町ベースキャンプ化が必要になる。
輪行概要
 正直言って遠い。行きのコースはほとんどドライブである。とても現地で自転車で走るなんて余地は無い。そのコースは、5時に札幌を出て札幌ジャンクションを利用して国道275号線へ、石狩川を伝って国道12号線に合流し、岩見沢から裏道を通って三笠市へ、ここから桂沢湖に向かう道々116号、452号。途中から道々135号線を使って富良野市へ抜ける、ここで国道38号線に合流して狩勝峠を越えて新得町へ、ここから鹿追町を経て士幌、上士幌、足寄町、そして国道241号線を利用して阿寒湖、弟子屈町を抜けて国道391号線を経て小清水町へってルート。
結局、斜里町の役場の駐車場にたどり着いた時には走行距離495km、走行時間7時間58分って惨憺たる結果だった。(ま、あくまでメーター値で速度違反してる訳では無いのだよ)これでは「輪行」とは言えない。単なるドライブだ。
 帰りにルートを変え国道39号線を中心にしても走行距離415km,時間7時間。これを解決するのは平行する高速道路を使うってことだが、その往復での利用料金を考えるとユースに1泊出来る金額なのだ。よって、これからの攻略の手段として若い頃使ったユースホステルを調べて、会員になり1泊コースを考える必要があるだろう。とにかく一日に850kmも運転するのは地獄なんだから。
 これが実際に走った結論。

斜里町役場駐車場
 正確にはコミュニティセンター駐車場なのだが、とにかく土日は空いているので利用させてもらう。ここは解放されている。おかしいと思うのは役場の来場者用の駐車場が役場が休みの土日に鎖で閉鎖されている役場があることだ。数年前の石狩当別町の役場は閉鎖系だった、使わない時に共用スペースとして提供するって姿勢が役場に無いのだろう。本州では商店街のために金融機関が土日に駐車場を解放している例もあるのだが。
基本的に北海道では都市を除いて「駐車したい所に駐める」ってことが可能だ。人が通らない歩道に堂々と駐めてしまうってのもOKだろう。ただ、僕はデポ地点は他の人にも解る明確な場所にしようと思っている。その候補かここの斜里町役場の駐車場だ。とにかく土日は空いている、そこを利用させてもらう。
自転車を組み立てていると汗が流れ出てくる。やっぱ運動不足なのだろうか自転車の組立だけで汗をかくなんて。
 役場の駐車場を後にして清里町に向かう。国道334号線を横断して南下する。

時間が無いので清里町で折り返そうか
 中斜里の辺りで大きく右折する。南斜里のあたりでこの国道を離れて道々に入る。なんか調子が変だ。とにかく汗が出る。1リットルのボトルが何回も給水するので半分になってしまった。サイクロメータを見るとまだ10km程しか走っていない。体調異変を感じる。
清里町の役場に辿り着いた時には足はガタガタ。早速恒例の写真撮影と役場の水道から給水をする。ほとんどボトルは空だったので、この役場の水道は有り難い。ボトルからゴクゴクと半分くらい水を飲んでしまった。水道で顔を洗うとなんとも塩辛い。なんでこんなに汗をかくのか不思議だった。再度ボトルを一杯にして役場を出発。
 オホーツクの1市町村として清里町って小さな町だろうと思っていたのだが全然違う。隣の斜里町にも負けない商店街がある。商店街の歩道は例の通産省の補助事業なのか綺麗にブロックが敷き詰められている。
ここには有名なジャガイモを使った「清里焼酎」がある、その工場も遠くに見えている。農業所得が高いのだろうか、それとも知床観光の恩恵がここまで伸びているのだろうか。とにかく、あなどれない規模の商店街が展開する。
 それにしても足に力が入らない。今日は若干補給に失敗してるのだった。途中の富良野のコンビニで買い出しをしたのは8時頃。ここでサンドイッチを食べただけで12時に斜里町に着くまで補給はしていない。自転車のフロントバッグにはオニギリが3個とウインナーソーセィジが有るのだけれど口にしたいと感じない。
これだけ力が出ないのはハンガーノックかもしれないとオニギリを一つ食べる、が、食べると喉が渇くので水を飲む。まるで茶漬けを食べてるようなものだ。
 どうも変なのでサイクロメータの温度表示を押してみると33度。なにぃ、そんな気温だとは思っていなかったので驚いてしまう。後からニュースで知ったのだけれど、この日のオホーツク沿岸はフェーン現象が発生していて、のきなみ30度を越えるこの年一番の気温だった。
 なんか目眩がする(笑い)。気温30度でも走るためには大量の水と補給が必要だ、たしかにドライブが長かったので出発までに体力を用意することをしていなかった。それが大量の水補給と合わせてまったく足に力が入らない状態になったのだろう。
一瞬「斜里ベースキャンプが出来たのだから小清水を次回に回して引き返そう」と思った。とてもこの先小清水町にまで行って斜里に戻るのでは15時を越えてしまうだろうから。

しかも正面には登り坂が
 このあたりには3桁の道々が多い。斜網広域農道なんて看板が随所に見える。地図で解るように碁盤の目のように道路が整備されている。あくまで2次元の地図では。
小清水町に向かう道路の正面には大きな登りが待っていた。ここ清里町は斜里川、宇遠別川をはじめ多くの川に削られて平野が広がるが、小清水町は止別川くらいしか無い。実は小清水町は海岸段丘の上にある大地に広がる地域なのだ。坂を一気に登るとサイクロメータでは100m程の高度差となる。ま、帰りの貯金と思い坂を登ると畑作の農地が広がる。
知床から斜里国道である海岸線の国道244号線を進むと解らないと思うが、ここ国道334号線には地形の妙がある。隣接する清里町と小清水町、でも地理的条件はかなり違うのだ。となると、僕の法則「元気な市町村に隣接する市町村は貧しい」は小清水町なのか。

おいおい、いい町じゃん小清水町
 その先入観は一気に崩壊した。小清水の町もなかなかなのだ。「ゆりの花と熱気球の町」ってのも解るが、それ以前にこの地方にはいわゆる「量販店」が入ってない。ホーマックだとかYES(あ、潰れたか!)とかダイエイなんてのは無い。その替わり個々の商店街が元気だ。全体の生産性が高いので多少高くても地元贔屓がこの町を支えているのだろうか。
 役場の前で恒例の記念撮影の後、水道で給水して役場前の公園で補給をする。ここから一気に戻っても斜里町に着くのは15時を越えるなと考えながら、ここまで来て良かったと思う。農業には難しい北の地で結構頑張ってるのがこの地域だろう。逆な見方をすれば国の公共事業頼みの土建の町にもならず自主自律の精神がここには有るのだろう。そう言えば隣の東藻琴村も公共事業の「箱もの」なんかは無かった。本当、自律ってのはこのような状況を言うのだろう。
ある意味で閉鎖的で大手量販店を受け付けないのかもしれないが、それも自律である。
昔、「商店街活性化委員会」の委員なんか委託されて各地の商店街を見て回ったのだけれど、その時(1996年くらいかな)に浦河町のダイエイ誘致による集客戦略にコメントを求められたのだが「地域の特徴を潰して何が残るのか疑問だ」と言ったら当時の通産省の役人が椅子から10cm程飛び上がっていた。
 結局東京感覚でしか日本を考えない東京馬鹿が税金を握っているんだよね。補助金出した通産省にたてつくことは許さないってことで外された(爆笑)。
話しが飛躍してしまった。
 ここから一気に斜里町に戻ろうとしたのだけれど国道391号線と国道334号線の交差点の標識がいまいち地図と比べて納得出来ない。本当は国道334号線を一気に斜里町に向かいたいのだが、なんか自分の感覚とは90度ずれている。そこで、今来た道々を戻り途中から国道334号線に合流する。ここから斜里町までは20km程だ。途中さっき過ぎた交差点の「中斜里根本商店」(なんせ、バスの停留所の表記もこれなのだ)の自動販売機でジュースを飲んで斜里町に戻る。

結局、ハンガーノック
 斜里の市街地に入って「しゃり、フードセンター」って看板に出会う。「え、しゃり(白米)しか売ってないの」と思ってしまった。「しゃり」は斜里なのね(笑い)。
ここにあと何回来るのだろう。2回?3回?。羅臼攻略のためには一泊するのが良いのかなぁ。町に入って急に足がつった。ペダルを踏めない。なんてこった。結局ハンガーノックなのだろう。とにかく暑さと給食の失敗でたかだか50kmの走行で足はボロボロになってしまった。
 最初でつまずいた気がする。走行の前に補給しておかなければ走行中に補給しても間に合わない。つまり予測が大事なのだろう。

また来るぞ、ベースキャンプ
 それにしても遠い。ここを拠点に羅臼町を攻略しなければならないのは必須だ。まあ、またここに来るぜと言いながら斜里町の役場の駐車場を後にした。たぶん、1泊計画と対で、ベースキャンプを捜す事になるのだろう。本命は「知床峠」なのだ。そのために万が一一日で知床峠を往復って事態になれば体力も鍛えておかなければならないだろう。本州から来るサイクリストは1回だけの知床峠だろうが地元としては1日に往復ってことにチャレンジしてみたい。
2002.06.09 (C)Mint 本日の走行 51.0km

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