再び海..上湧別町、湧別町

コース概要
 9月に入って不思議な夏が北海道らしく戻って来た。2002年に北海道を自転車で旅する人のレポートは決まって「雨だった」に尽きる。3日に2日は雨だった気がする。週末に限って言えば8月の頭に遠征してから出かける機会を失っていた。
とにかく天気が悪い。てなことで、天気予報を見ると14、15、16と晴れるらしい。しかも九州から「牛ちゃん一行」が釧路空港から知床峠を越えて旭川に向かうルートで、たまたま15日は北見峠越えの予定。これは北見峠で迎撃の後、遠軽町から先に足を伸ばす遠征をしてみようと計画を立てる。
 遠軽町から上湧別、湧別を越えてオホーツク海に出る。ここから南に向かうとサロマ湖を左に見ながら道の駅「愛ランド湧別」、「サロマ湖」を経て常呂町に至る。このコースを次回の訪問地常呂町を目指してデポ地点を伸ばしておく。そんな計画を立てて一路遠軽町に向かう。
輪行概要
 北見峠を越えて遠軽町に向かうコースは定番。途中北見峠で「牛ちゃん」迎撃のために小休止する。おりからサロマ湖で自衛隊の近文(旭川)燃料部隊の10人が乗った遊漁船が転覆し、3名救助2名死亡5名行方不明って事件が起きたので自衛隊車両の出動が多い。途中でも多くの車両を目にした。
9:30北見峠到着。ここ北見峠では無線車両が中継基地として駐車場にとまっていた。アンテナを見ると28M帯の無線機のリピーターのようだ。
そもそも、無料で共用されている高速道路が白滝村まで通っているので旧道になる北見峠を通る車両は少ない。遠軽側から登ってきて、ここの駐車場で休憩している車に聞いてみる「途中、自転車の二人組を見ませんでしたか?」。「登り口で見たなぁ」って返事。ここ峠からは5km程手前、標高差にして300mくらいだろうか。10時になって「牛ちゃん」から携帯が入る「あと2kmくらいですかねぇ」。この登りだから15分程度か。
 やがて現れた「牛ちゃん」一行としばしの接近遭遇。常呂ではタラバ蟹が一人いっぱいで食べ余したとか...、北海道に住んでいてもうらやましい。
 九州の峠はメチャクチャきつくて、ここ北見峠はダラダラ登る感じだとのこと、おもわず松本仁志風に「ウッソォ−」と言いたくなる。斜度6%では普通らしい。もっとも北海道は冬の凍結路面を意識して極端な斜度を持った道は無いのかも知れない。それにしても北見峠を「ダラダラ登る峠」とは...脱帽。
 30分ほど九州の道と北海道の違いを話しながら、もしか機会があれば行いたい日本縦断の出発点である佐多岬の話しを聞いてみた。やはりゲートから6km程は自転車での侵入は不可能で早朝管理人が居ない時間帯に突破するしか無いとのこと。どうもキッチリしてない本州最南端らしい。
 二人と別れて遠軽町の総合体育館の前の駐車場に車を止めたのは11時30分。ここで自転車を組み立ててオホーツク海岸を目指す。
 このコースの輪行は片道277km。時間にして5時間と少しだろうか。
北見峠
絵に書いたような直線道路に苦戦する
 地図を見ると緩く左にカーブした後、真っ直ぐに海岸を目指しているのが国道242号線。弱い向かい風を受けながら割と平坦な道をオホーツク海を目指して北上する。
それにしても見通しの良い直線が16km程続く。日本で一番長い直線道路は国道12号線の美唄市近辺なのだが市街地を通り見通しは良くない。地図の上での理論値だ。しかしここは実際に16km先が見える。緩い向かい風だがあの先まで続くのかと思うと辛くなる。それくらい先の見通せる直線道路なのだ。
 オホーツク海の湧別港までは上湧別、中湧別、湧別と続く。本日の目標は「常呂町へのルートの確保」なので、とにかく走る。途中、紋別市へのデポ地点も探しておかなければならない。とりあえず、上湧別の役場の前で記念写真を撮影してさらに先に進む。

湧別町
 正直言って良く解らない。遠軽町が近いためか特に目立った商店街は無い。それどころか湧別町を代表する物が無い。ここはサロマ湖を中心とした漁業の町なはずだがそれもはっきりしない。
 中学校や小学校に「訪問者用駐車場」が有るのを発見。ここを紋別市へのデポ地点として使わせてもらおう。役場の前でお決まりの記念写真、周辺に郷土資料館、総合体育館、演武場などが有る。郷土資料館を見学しようと思ったら開館は13:00〜17:00。12:30だったのだが30分待つ気はしない。何のための郷土資料館なのか知らないが、午後だけってのはいかがなものか。職員の手配が出来ないのならさっさとNPOに移管すれば良いではないか。どうも、この町はなんか変だぞ。
 総合体育館てのは人工芝の有る屋内体育館なのだが、誰が使うのか機材が散乱して倉庫のように窓からのぞけた。自己主張の無い町だなぁと外部からのよそ者は感じるのだった。役場の裏の公園も噴水まで有るのだが「場違い」って感じだ。とにかく利用者が居ない静かで寂しい公園なのだ。

ここから常呂町は無理だな
 国道238号線に出てサロマ湖をめぐる道を進む。地図では解らないが結構アップダウンがある。向かいからテント持参のチャリダーとすれ違う。手を上げて挨拶を交わす。なんか、疲れはてた感じだ。これから稚内を目指して北上を続けるのだろうか。朝の気温はそろそろ10度以下になる。頑張って欲しい。
 う、強烈な牛の糞の臭い。これが福島から芭露(ばろう)までの間に続く。前に千歳市から早来町に抜ける道で養鶏農場の臭いにまいった事があるが、それより強力である。自転車の場合、エンジンは自分の足であり燃料は酸素なのだが、この空気は吸い込むほどに身体にダメージを感じる。アンモニア臭が強よすぎて頭がクラクラする。
このあたりの酪農は糞尿の始末はバラマキなんだろうか、とてもじゃないが自転車で走行出来る環境では無い。まさか、たい肥として畑にまいた直後だったのだろうか。ま、運が悪いのか。ただ、この夏にここを通った友人が「かなり臭かったぜ」って言っていたのだが、それは車で通過したから我慢できたのだろう。自転車では辛い。
 結局、途中から撤退することにした。本当は道の駅「愛ランド湧別」まで行きたかったのだが(3km手前まで来ていた)このルートは自転車走行不可ってことだろう。それにしても稚内から南下するこのルートを辿る人は多いと思うのだが、情報が無いなぁ。ここを通過した人の感想を聞きたい。北海道周遊の基幹道路なのだが最悪だって書いている人は居ない。
 とにかく「ひどすぎる」。糞尿をまき散らして酪農を経営しているのか、反論があれば意見を投書してもらいたい。
で、反論が来た(笑い)。
やはり、畑にたい肥を蒔いて。たまたた絶好調の天気だったので、においが強烈だったらしい。生活かかってるんだから観光客のことばかり考えていられないってのも分かるけどね。ま、北海道サイクリングの恥と言っておこうこの地帯。とにかくひどすぎる。

上湧別町ふるさと館JRY(ジェリー)
 とにかく撤退である。再び湧別の町に戻る。ここから紋別市を目指すとして残された常呂町、佐呂間町へのルートはどうしょうか。そんな事を考えながら出発地点の遠軽町を目指す復路を走り始めた。
 先に北見峠で接近遭遇した牛ちゃんコンビに言われたのだが、ただ日本縦断を走るだけでは楽しくないって話し。このまま出発点に戻るのでは無く、チューリップ公園に寄ることにする。ここは上湧別町自慢の施設らしくホームページでも真っ先に取り上げられてる。が、よく解らない。入場券を購入せよなんて看板が立っている。だけど、もう、秋なんでチューリップは咲いてないのだけれど、それでも金払えって言うの??
そもそも園芸作物のチューリップは近年のオランダの品種改良と低価格化で産業としては成立せず、北見の薄荷と同じ運命を辿ったのだ。そのチューリップをいまさら歴史を呼び戻すように栽培しても産業育成の見地からは逆効果だと思う。もっと強い産業を育成する努力を行わなくては歴史に埋もれてしまう。ま、これにも反論が来て(笑い)、産業としてのチューリップでは無く、単なる観光とのこと。公共事業誘地施設では短期的にしか喰い繋いで行けないのだ。
JRY 公園の奥に「上湧別町ふるさと館JRY(ジェリー)」が有る。入り口を改装中らしいのだが、ま、入ってみるかてことで工事の櫓を抜けながら入ってみる。入場料400円。ウッソォー、高い。こちらは一人だから400円だが、家族で来たら4人で1600円。これって、プロの作った映画見られる金額だぜ。なんでこんな価格設定するんだ。どう転んだって採算取れないのに400円も取るのか。本当、この種の施設の入場料ってのはどうなってるんだろう。
 で、400円払って入ってみる。内容はそこそこ、歌志内市の「ゆったり館」と同じ様な構造で展示している。ただ、屯田兵入植に的を絞っているようだ。ジオラマによる説明もなかなか良い。が、これ一個に50万円とかの見積なんだろうなぁ、他人の金を使った産物なんだろう、ジオラマの数個の電球が切れている、金返せと言いたい。
 周りが良くないのでかろうじて褒めておくが、正直言ってサブイ。その責任を市町村役場は担って欲しい。正直、何の魅力も感じないのだ。そんな町に存在価値は有るのか。無いとすれば新たにどう構築するのか、課題は大きいと思う。その課題に答えられなければ子供達に託す未来も存在し得ない。
この施設のキャッチコピーは「過去を聴こう未来を視よう」なのだが、とても未来が見えてくるとは思えない。唯一、学芸員が頑張っている風なのはニューズレターで解るがこれとて、斜里町の知床博物館と同じで自己満足だろう。
 とにかく主張が感じられない町だった。特に遠軽町とも距離が近く、市町村合併の対象としては限りなく可能性が高い地域だろう。
入場料400円は、紋別市のオホーツクタワー割引券200円分とトイレで顔を洗えたことで帳消しだが、施設の価値としては200円程度と言っておこう。しかも、これしか褒める施設が無いってのが実態なんだが。
2002.09.15 (C)Mint 本日の走行 61.0km 所要時間 3:33:00


Top Back
All Right Reserved By Mint