スタンレー魔女の先には地獄が

コース概要
 札幌、支笏湖サイクリングロードを走破しました。3度目の挑戦の結果です。
 今日はLUFさんのアドバイスを生かして、なにがなんでもクリアするぞとの意気込みで支笏湖を目指します。
 途中までのルートは前回書きましたので登り口からのレポートです。
 最後のセブンイレブンにママチャリ集団が居ます。まさか、ママチャリで支笏湖を目指す訳ないので、途中からのアシリベツの滝を目指す集団でしょうか。
最初の登りをクリアした所で休憩です。どんな坂も休み休み登れば絶対登れるってのは、サイクリング金言集に集載しましょう>LUFさん。
 丁度ニュースの時間だったので、ラジオを聞きながら一服です。坂の下を見るとありゃ、ママチャリ集団が登ってくる。「こんにちは」、「きついでしょう」なんて声をかけて集団の通過を見送ったのですが、その数20台程。前のカゴに1.5Lのポカリのペットボトルを突っ込んで無段変速の自転車でこのコースに挑むのは無謀だと思うのだが。
 彼らを追越しながら前々回撤退地点をクリア。ここにママチャリ集団のサポート隊と思われる車。前回撤退地点をクリア。ここから国立公園に入るので、その前におにぎりとウーロン茶で昼食。

オコタンペコに抜ける
 登って来るママチャリ軍団の一人に話を聞くと、ママチャリ杯争奪戦とのこと。こりゃどっかの大学のサークル活動だったんですね。どうも、大多数はサポート車に収容されたようで、7台が目の前を通過していきました。
 休み休み坂を登って下ってまた登って最後のピーク。標高550m。こっから道は真っすぐに支笏湖湖畔へ、右に曲がるとオコタンペ湖へ登って、恵庭岳の裏を回って湖畔へ下るルートの二つに別れます。
 どうしようか迷っていると、ママチャリ軍団に追い付かれました。それにしても先頭の女性は強いなぁ。終始トップで最後の坂を下ろうとしています。最後の選手は押しで登って来ます。「湖畔ってまだ先なんですか?」、「あそこを曲がると下り6kmで湖畔。もう、登らなくていいよ」「やったぁ」それにしても押しが入ったとは言え、ママチャリでこのコースをクリアするってのはたいした体力。若いってことだけで説明できないような...
 そうそう、5月6日にこの無謀な企画を実施したサークルがこれを見ていたらご一報下さい。特に先頭のショートカットの子。僕の好みだなぁ。
 で、ここから間違いが始まるのですよ。ママチャリと同じコースじゃ面白くないので計画を変更してオコタンペ湖を見て恵庭岳の裏に出て支笏湖を2/3周して支笏公園サイクリングロードを走って千歳に出て、そこから札幌に戻ろうと。ガイドマップにも3.4km程長くなると書いてあるし。途中の苔の洞門も見てみたいし。
 標高550mから更に50m程登ってオコタンペ湖、さすがここまで登ってくると道の両側の雪は30cm程残っている。期待のオコタンペ湖はまだ、表面が氷におおわれている。
横の看板を見ると「これから先8kmのジャリ道有り、幅員狭し」と書いてあります。ま、MTBだから大丈夫と思い先へ進みます。
 支笏湖とオコタンペ湖の標高差は400m弱、絶好のダウヒルを楽しめます。途中雪解けの時だけに見られる滝が何箇所か見られさすが、このシーズンならではの景色です。
それにしても、寒い。普段独得の日焼け跡が嫌いでサイクルブローブは使わないのですが、さすが手が冷たくて50km/hで坂を下りながらの手放し運転で両手にグローブをはめます。なんと、湖畔まで10km近いダウンヒル。チラチラ支笏湖も見えてきます。オコタンの湖畔到着。

泥道を走行する
 ここから、地図で言うダートの始まりです。しかし、読みが甘かった、ダートはこの季節マッド(泥)の道なんですよ。MTBで泥道を走る気分最悪です。いちおう泥よけは付けているのですが、その透き間から飛跳ねる泥でジャージも背中のデイバックも泥の斑点。
 しかも、このダート8kmはアップダウンが多く、水溜りを避けて走ると平均時速は10km。たしかに距離は3.4km増えるかもしれないけど、時間は30分以上違うのではないだろうか。
 しかも、湖畔を楽しんで走れるのでは無く、ひたすら林の中を走る感じで、サイクルメーターを見ながら「あと、XXキロの我慢だからな」と自分を励ましてとにかく走ります。このダートのゴールは美笛野営場。なに、「野営」こりゃ自衛隊の敷地にでも入ったかなと思ったら、国立公園の中の国営キャンプ場は「野営場」と呼ぶらしい。これからは、アウトドアとかキャンプてカタカナを使わずに「野外野営」と呼ぼう。
 ここからR276に出て湖畔の温泉街に向かう。途中支笏トンネルが地図に出ているが、今日はトンネル無しの予定でライトは付けてこなかったが、まぁ、大丈夫だろう。と、思ったらこのトンネルは998mもあって、たまたま歩道があったから良かったけれど、とても無灯では通れる距離じゃない。これをなんとか抜けて、国立公園の看板のある駐車場で写真を撮って小休止。
 苔の洞門まで5km。と、と、と、苔の洞門は閉鎖中。そんなぁ。泥にまみれてここまで来たのにぃ。しかも、水の補給を予定していたのに給水設備なんかまったく無い。これが、北海道がサイクリング王国になれない理由なんだよね。サイクリストに対するホスピタリティが感じられない。
 で、急につまらなくなったR276なんで、ラジオを出して、日高悟郎なんか聞きながらひたすら湖畔の温泉街を目指します。昼食から2時間を経過したので、そろそろ何か食べないととも思い上条さん推薦のラーメン屋を探しながら気分はラジオに移っていきます。それにしても、つまらん道です。
 モーラップの野営場で、湖畔におりようと思ったのだけれど、なんとなく雲ゆきがアヤシクなってきたのでR276の旧道を抜けて走ります。途中石碑があったので、覗いてみると昭和天皇が植えた木ってのを記念した石碑で、そこらはエゾ松の人工林でした。
 おっと、前からサイクリストが来る。「この先は何があるんですか?」、「えっ、モーラップのキャンプ場だけど」、「北に札幌に向かう道が有ると思ったのだけれど、この先ですか」
あれ、地図無しでここまで来て道に迷っている。
 「僕は、その道を逆に来たのだけれど、札幌に抜けるには、湖畔の温泉街から観光道路を登ってそうだなぁ、3時間くらいだよ」既に時間は14時。このまま進んだら札幌には18時につけるかどうか、さっそく湖畔に向けて一緒に走り出します。R276からショートカットの道も彼が走ってきた道なので誘導してもらいます。
 ここから札幌に向かう彼と、札幌に向かう僕はルートが違うので別れます。ポツポツと雨が降り始めました。うんと、サイクルメーターを見ると80km。ここから支笏サイクリングコースを抜けて千歳まで24km,そこから札幌まで40km、ま、なんとかなるかな。でも、彼のコースだと40kmで済むのだけれどなぁ。しばらく彼の去った方向を見て迷ったあげく、結局支笏サイクリングコースを選んだのですよね。

本格的雨中を走行する
 で、走り始めると雨が本格的に降り始めました。実は今日は100kmを越えるコースなので必要最低限以外は持たないで行こうと、さっき書いたようにライトまで外したのですから、当然カッパも無い。ジャージの長袖がデイバックに入っているのだけれど、これを濡らしたら替えは無いので、最後の最後に着ることにします。
 千歳市に向けての支笏サイクリングコースは千歳に向けて標高差300mの下り。しかも自転車専用なので、30km/hで走れます。しかし、雨のため身体が濡れてスピードを出すと寒くて寒くてせいぜい20km/hで進みます。
 もし雨が降って無ければかなりのサイクリストと会えるのでしょうが今日は誰も居なくて一人旅です。寒い、寒い。千歳市内の直前にサイクリングターミナルがあります。ここで、とりあえず給水ですが、もう、水を飲みたいとは思いません。とにかく寒いのですよ。
 千歳から恵庭に向かうR36で、「こりゃ、身体を暖めておかないとヤバイな」と思い、最初に目に付いたラーメン屋に入ることを決めました。有った、札幌ラーメン。しかし、ここで札幌ラーメンとはと思い回りを見渡すと有りました「千歳ラーメン」。どうせなら地元でと思い店に入ります。こちらは、雨でグショ濡れ、デイバックは泥だらけ、たまたま店に客が居ないのはラッキー。で、キタナイ格好のままカウンターに座り醤油ラーメン+ライス。
 出てきた水を飲もうとすると手が動かない。そうなんですよ。雨の中サイクルグローブを外さなかったので手が冷えて動かないのですよ。これは失敗でした。さっそくグローブはデイバック入り。このデイバックが防水が完璧でなく中の北海道サイクリングマップがふやけているんですよ。最悪。
 で、どう見てもホームレスの容姿ですので、誤解を避けるために自宅に電話。「もう、2時間くらいで帰れると思うけど。今、千歳のラーメン屋さん」出てきたラーメンは本当身体が暖まりました。しかし、これから2時間、雨の中を札幌に向かって持つのだろうか。自転車を千歳駅に預けてJRで帰ろうか。迷いましたが、結局千歳ラーメンのエナジーで続行です。
 サイクルメーターは110km。たぶん自宅には150km前後で到着するでしょう。雨の中を走り出します。最後にと思ったジャージの長袖も着ます。時計を見ると16時、雨のためも有ってそろそろ日没との時間の戦いも始まりです。なんせ、ライトは付けてこなかったのですから。
 雨足は弱まっていますが、ジャージの上着が完全に濡れてしまうまで1時間くらい。その前に屋根有りのバスの停留所で一休みしたら、あとはノンストップで走らなければなりません。グッショリ濡れた身体で一回身体を冷やしたらもう元には戻りませんから。足はなんとかもちそうですが、身体が冷えてしまっては筋肉がつってしまうので、とにかく走り続けて身体を暖めておかなければなりません。
 雨の車道脇は水溜りのようになって、背中への跳ね返りも激しくなります。なんだ、路肩ってのは単に水流しなんだ。そこを走らなければならない自転車のことは考えてないんだ。バカバカ、もう、死ね。
 白石サイクリングロードに出たのは18時、これから、10kmで自宅。暗くなった市街地を無灯光で走り抜けかろうじて自宅へアエグように辿り付きました。ウイスキーを2杯程あおって、やっと身体の震えが止まりました。なんとも最悪のサイクリングでしたが、とりあえず、標高差600m、距離154kmを走り抜いた訳です。
 なんせ、僕のサイクルメータは200kmまでしか計れませんから、限界一歩手前だった訳です。
 湖畔で別れた彼は無事峠を越えて札幌に着いただろうか。
 翌日、チェーンを点検したら、既に油切れしてますね。一部錆が浮いてました。
 とにかく、カッパは持っていきましょう。自転車の場合は生死に係わる問題になりますから」。
95.05.06 本日の走行 154Km

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