カルデラの里、赤井川村
コース概要
札幌に隣接する市町村を回ろうと、今回は赤井川(AKAIGAWA)村。キロロ・リゾートで本州では有名かな。
実は自宅から出て自宅に戻るだけをサイクリングと定義していたのですが、これでは広い北海道回りきれないのですよね。そこで、登山と同じ方式を考えたのですよ。
登山の場合もベースキャンプを起点に順次キャンプを伸ばして頂上アタックしますよね。つまり、ベースキャンプから直接ピークハントする訳ではありません。
同じように、札幌をベースキャンプに各市町村にキャンプを設けるのです。で、1度キャンプを設ければここまでは輪行利用可とする訳です。で、キャンプから進んで、新に開拓したキャンプを設定してと順次増やしていくわけです。
これで、北海道に有る212市町村全部を回るのに...たぶん20年もあれば出来るでしょう(笑い)。
さて、このキャンプ作りはまず、札幌市隣接市町村から始めたのですが、今回狙った「赤井川村」は道路が1本しか無く単純に計算しても往復120km、しかもカルデラの里のネーミングのように回りは山で囲まれていて、600mの峠越えをしなければならないのですよ。
前回、支笏湖では無計画に150kmも走るはめに陥ったので今回は事前に地図でチェックです。やはり、5km程で600m登る毛無峠がネックですね。ここを越えて片道30kmで赤井川村の役場、さらに戻って同じ高度まで昇っての往復で60kmが難所です。
実は、大回りになるのですが、札幌・小樽・余市町。赤井川村ってルートが有るのです。これだと、300m程の峠を越えるルートでカルデラの里に出ます。距離を調べてみると75km。ここから小樽・札幌で戻ってくると毛無峠を越えて65km、合計140km。なんとか、なるかな。
また、札幌に隣接はしていないけれど、余市町をキャンプとして押さえておくことができます。ここはJR北海道の駅が有って輪行の拠点に出来ます。また、来年、積丹(しゃこたん)半島一周道路が開通しますから、この時の拠点でもある訳です。
しかも、小樽の塩谷から余市町までは海岸線を走る平坦な道です。
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小樽→塩谷→蘭島→余市
少し余裕を持ってと思い娘が学校に行く時間に合わせて8時半には出発です。午後一時雨、一旦やんで夜は雨の天気予報にカッパも用意します。距離的に補給は2回は必要でしょう。とりあえずのセブンイレブンのオニギリを携帯し、小樽市の塩谷で前から気になっていたラーメン屋に入ることにします。
張碓峠を越えて小樽市、左に毛無峠の無線中継所が望めますが、帰りはあそこの横を下ってくることになっています。それにしても、高い。小樽の町は出身地でもあり、隅々まで解るのですが、今日は大事業の前段ですから、運河添いを走り出来るだけ高低差の無いように道を選びます。
砂留から長橋に向けての上りです。実は塩谷に昔祖父の別荘が有って小学校4年の時に20インチ変速機無しの自転車で行ったのですが、あれは当時では大冒険でした。その時は小樽・塩谷間はこの砂留長橋ルートしかなかったのですが、現在は砂留めトンネルで一気に塩谷に抜けるルートが開通しています。しかし、せっかくなので、旧道を走り塩谷に向かいます。
実は今回選定したルートは25、6年前の高校生の時に夜行会で辿ったルートなのです。この夜行会てのは、クラブが新入生を迎えて最初の行事で、とにかく夜中歩き続ける経験をする、しかも、ジンギスカンの用意一式を持って行って朝8時に居た場所でジンギスカンを食べるってルールの我が高校伝統(と、いっても、当時の5年程前から始まったらしい)の行事なんです。で、当時「物理部」なんて、今ならオウムの麻原さんがヨダレ流しそうな部に居た僕は、このルートを選定したのですよね。
他の部では、積丹半島とか、支笏湖とかあったようです。この夜行会がすばらしいのは前年の卒業生と今年の有志(となると、3年生が中心)の交流会が目的で歩きながら3年生は大学の実態を伝授されるって情報収集が出来るのですよね。
話が逸れました、当時は、小樽・赤井川ルートは冬季閉鎖で、この夜行会が行われるゴールデンウイークにはまだ、閉鎖中でした。その雪のルートを歩いて越えるのですから企画は素晴らしいが娘が行くといったら止めるって感じの無謀な企画だったのです(企画した本人が言ってどうする)
で、どの部も集合地点に選定したのが、この長橋中学前のバス停だったのです(ああ、長い前振り)
塩谷には、先に書いた祖父の別荘跡地がありまして、ここで小休止です。昔は広かったのですが、道路の拡張で売りまして、現在、納屋と800坪しか残っていません。ここに家族を置いて、自分は自転車旅行をしようと思っているのだけれど、それにはここのログハウスでも建てるしかないかもしれません。困ったのは、オウム真理教の小樽の土地てのが、隣接状態で、キャンプなんかしようものなら「信徒」なんて呼ばれてしまうのでは、と気になることです。
前にチェックのラーメン屋さんが、無い。どうも、ここ国道5号線は拡張するみたいで、結構立ち退きになっている昔の店があるみたい、かのラーメン屋も閉鎖したのだろうか。そう言えば、伊藤整の記念碑も移転先を捜しているとか。
塩谷を越えるとトンネルが沢山あります。これは海岸線の特徴なのですが、トンネルを使って水平か、トンネル無しで高低が多いかです。結構海岸線ルートってのはアップダウンが有るようです。
トンネルの入り口に看板が、「ここのトンネルは舗道が狭いので狭いので注意して利用してください」。なんだ、これ。僕はトンネルは基本的に安全のために舗道が有れば必ず利用するようにしているのですが、ここのトンネルは自転車で走れない程狭い。とりあえず、押して通り始めます。が、なんと、ハンドルの幅より狭くなっちゃうのですよ。もはや、自転車すら通れない程狭く、こりゃ、なんのために付いている舗道なのか解らないのですよ。どうせ、通る人なんか居ないのだから、思いっきり削ってしまえ、って感じなんですよね。
しかたなく、ガードレールを越えて自転車を持ち上げ車道を走ることにします。ライトは通常から点滅モードにして、後続車にアピール。何箇所かのトンネル、途中1km程のも有るのですが、必死に車道を走ります。なかなか、MTBで40kmで走るのはつらいのですが。
蘭島(らんしま)を過ぎるあたりから、若干海岸から離れ余市の市街地に入ります。赤井川村に向かうにはここから、左に曲がる道があるのですが、寄り道して余市の役場に向かいます。
余市の町は、左に曲がって南西に向かう仁木、函館方面と北西の積丹半島に向かう道との分岐点です。最近は小樽方面へ郊外大規模店が進出していますが、やはり市街地はこの分岐点にあります。ここから、左に曲がるとJRの余市駅です。たしか、この近くに役場が有ったと思ったのですが。なんせ、日本人初の「公費宇宙飛行士」毛利さんを生んだ土地です。スペースシャトルの模型が飾ってあるのが役場だと思っていたにです。実は、ここは中央公園。向かいから来た夫人警官に聞くと、さらに余市川を渡った先の丘の中腹に役場が有るとのこと。
さっそく、役場に向かい、ここで記念スナップ。キャンプ地を一つ増やした訳です。が、あまり休まず3時間も走ったので、ふとももがつってきました。これが、やばいのですよね。今日は、対策にバナナを10本程持ってきたのですが、さっきまで全部食べてしまいました。そろそろ、補給と大休止が必要です。
大休止と補給
途中でラーメンの店を何軒か目にしたのですが、「余市一番」って店がネーミングから気に入っていたので、ここに向かいます。昔ラーメン+小ライスを注文。なかなかおいしいラーメンでした。ここで、赤井川村への道を再確認して早速赤井川村に。店長は「途中に峠が有りますよ。自転車ではちょっとねぇ」なんてアドバイスしてくれますが、僕はこれから二つ峠を越えて札幌に戻る90kmを予定してる、なんて言って卒倒されても、なになんで、「そうですね」なんてニヤニヤしながら、この店を出ます。優しい店長だったので、ここの「余市一番」はしっかりメモです。
最近出来た大店舗サティの横を抜けて看板を見ると「登」に向かう道です。さっきラーメン店の店長が「登りに向かう道が有ります」って言っていたのを、「上り道」だと思ってしまったので、そんなに早く上りが始まる訳無いと思っていたのですが、「登」だったのですね。
しばらく行くと、右に曲がって、いよいよ最初の峠です。クイーンズランドってリゾートへ向かう看板を目印に進みます。実は、「余市、赤井川線」を行くより近道があるのです。仁木、赤井川線に途中から合流する道なのですが、これを利用します。このあたりは、勝手しったる道ってことです。
大休止の後のためか、周りを楽しみながらのんびり進みます。こほへんは、秋
にはブドウ、リンゴの観光果樹園が盛んなのですが、桜の花がアゼ道に咲き、
畑にはリンゴの花が満開です。ブドウの畑は下草のタンポポが満開です。うー
ーん、北海道満喫の道だ(と、北海道人が言ってどうする)。
徐々に高度が上がるためか、満開から咲き初めに様子が変わってきます。それ
にしても、満開のリンゴの花ってのも桜に負けず劣らず豪華なものです。
やがて、仁木・赤井川村線に合流。結構登りましたね。日本海と余市の市街地
が下に見えます。ニッカウィスキーの建物が見えます。しまった、あそこの工
場見学を忘れていた。出口で一杯飲ましてくれるのに。
さすがカルデラの里への道は遠い。トコトコ登っていくとクイーンズランドの
ゴルフ場が見えてきます。ゴルフ場内のログハウスヒューテが数棟、その先には西洋のお城のようなホテルそしてレストラン「森の歌」、赤井川村が進めるリゾート計画の成果ですね。
この先、更に登るとハイジ牧場、世界の羊の牧場です。その先が赤井川村物産館の立つ峠の頂上です。ここから、ダウンヒルでカルデラの里に下る訳です。
おっと、風が強くなってきていますね。しかも向かい風。下りだと言うのにスピードが出ない。カルデラの底に降りて4km程進むと赤井川村役場です。やっと、到着サイクルメータで75km.半分走った訳です。
再度カルデラ脱出行
リゾート開発の成果か、役場はこじんまりとして新しい。周りには赤井川温泉、村営プール、カルデラ公園と施設整備が進んでいるようです。ペンションなんかも有って、余裕があれば、ここで温泉1泊がおすすめですね。今回は余裕(時間&金(笑い))が無いので公園でボトルに水を補給して一休み。
公園で遊んでいる子どもが「ここの水はおしいんだよ」って声を掛けてきたので、どれどれって蛇口から飲むと冷たくておいしいんですね。水そのものに加えて札幌より深く埋設されているためかこの時期での冷たいので特に感じます。おもわず、ボトルの水を全部捨てて、入れ替えました。
「ね、おいしいでしょう」
「たしかに、札幌よりおいしい」
「札幌、これから行くの」
「いや、余市から回って帰る所」
「え、暗くなっちゃうよ」
聞くとバスで余市に出てそれから札幌までJRで行くと札幌は日帰りできない距離だそうです。もっとも、車で2時間ですが、公共交通機関は不便だそうです。
さて、これから最後の峠越えに向かうか。役場の前から国道に出ると「札幌74km]の看板。ありゃ、予定では後65kmのはずだが、10kmも多い。ま、なんにしても帰らなくちゃいけないのだからと、走り始めます。風が向かい風なのが気になるけど、ダラダラ30kmかけて600m登れば良いのだから...
この小樽峠(最近の名称は、毛無峠)への道は、札幌からキロロリゾート。スキー場に向かう道です、結構高度が有りアイスバーンが多いので土日曜日には、スキー場までの間に最低3台は横道の雪に突っ込んでいるって名所(?)です。
今日は、その道を逆に札幌に向けて走る訳です。
余市川に添ったこの道は、川のせせらぎの音を聞きながら緩く登る道です。途中には牧場くらいしか無く、先程の余市のリンゴ畑の風情はありません。完全な酪農地帯となります。
思い出すと25年以上前に、朝焼けの道を歩いて辿り付いたのが落合小学校」そろそろ見えてくるはずです。常盤ダムへ進む道を右に曲がり、しばらく進と左側に見えてきました。最近廃校になったのか、はたまた冬の雪囲いが取れてないのか、窓には板が張られています。入り口の塀があのときのままです。当時、ここの校舎に隣接する校長先生公宅で休憩に学校の体育館を貸してもらったのでした。道路を挟んで向かいの余市川の河原でジンギスカンをしたのでした。
ここからしばらく進むと他人とは思えない山中牧場があります。なにやら、車が沢山留まっているのは、ここでは絞りたての牛乳を直売していました。さすが、酪農地帯でこの先峠の休憩所も地元の牛乳を利用したアイスクリーム、ソフトクリームの販売をしていました。
でも、結構、原野にそびえる屋根の朽ちたサイロも見える訳で、希望に満ちて
入殖したものの、多額の借金とともに去って行った人も多いのでしょう。
そんな跡地で中休憩。夏草や、つわ者どもの、夢の跡。別に戦場だけの事で無いのです。ここに昔住んで荒れ地を切り開いた人がここに居たのです。
予想に反して上りでは速度が出ません。ひとつには向かい風もあるのですが、上り坂を黒い排気ガスをまき散らしながら、昇る車にウンザリしてることもあります。
長い昇りでエンジンもオーバーヒート気味でしかもアクセルをあおるからますます排気ガスが濃くなるのですよ。それをまともに呼吸しなければならないサイクリストのことを考えたことはあるのか。ヤイ。
場違いな配電所が右に見え、左にキロロリゾートの従業員寮「白樺荘」が見えてきます。ま、離農廃屋を見た後には高級マンションのような建物には違和感がありますね。ここから、すぐの所がキロロリーゾートへのアーチです。ここを右に曲がりしばらく進むとホテルが見えてきます。
このアーチの前にガソリンスタンドとレストランが有りますが、ここキロロリゾートに夏、自動車で来る客はどれほど居るのか、閑散として暇そうです。
このあたりから登りが急になってきます。もちろん、その分、排気ガスも濃くなるので、マイッタナァって感じです。山を削った跡が先に見えますが、あそこまで登るのかと思うと、先が見えるのもよしあしです。
突然、後ろからチェーンが回る音が、あっというまにレーサーが追い抜いていく。初めて会ったチャリダーだ。追い掛けて声をかけたいのだけれど、時速で10kmは早く、しばらくして先のカーブに消えていきます。
かなり高度を稼いだらしく、遠くの山山が重なって見えてきます。なんとも素晴らしいのが白樺の林が点在していること。そして、カルデラの里を囲む山並が見えることでしょうか。日影にはまだ雪が2、30cm残っています。北海道だなぁって北海道人が言ってどうする。
馬の放牧をしている峠の牧場ポポロ(だったかな)を過ぎると最初のピークです。サーァーと下って第二のピークを越えると右に去年走った定山渓ダム・朝里ダムのコースの朝里ダム手前のループ橋が見えてきます。毛無山無線中継所の横を下って毛無峠525mを越えるともう、下りしかありません。やった、ついに、このコースをクリアしたぞ。下りながら思わずガッツポーズです。
途中の展望台で中休止。ここは、高度感があって、おすすめ展望台ですね。あいかわらず風が強い中で、シーチキンのおにぎりとザンギ(鳥の唐揚げです)で給食。我が家まで後3、40kmかな。
サイクルグローブを付けて一気のダウンヒル。途中、小樽市街へ降りずに右に曲がって朝里へ抜ける道を発見。これで、また距離を得する。
通いなれた張碓トンネルを越えて自宅に到着するとサイクルメーターは140km。やっぱ、赤井川村役場の前の標識は間違っていた。もっとも、逆を指しているとピッタリなのだが。
ハードなコースだけれど、そのぶん、景色が抜群のコースですね。おすすめは、小樽方面からアプローチして、その日は赤井川温泉に入って近辺のペンションに宿泊。
翌日、果樹園でサクランボかイチゴ、季節によってはブドウ狩りなんかして、余市のニッカウイスキー工場を見学して試飲(笑い)。JR余市駅で缶ビール片手に輪行モードってプランでしょうか。ただひたすら走るではちともったいないコースでした。
95.05.20 本日の走行 140Km
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