産炭跡地は今、上砂川、芦別、歌志内、赤平

コース概要
 ツールド北海道がニセコ方面で開催されているので、逆に北へ向かってC&C(Combine Cycling)してきました。前回発見の滝川西公園からは様々な方面へ出かけられるようです。
 最近、広域市町村を訪問してるためか、100km走って2市町村なんて事が重なりましたので、北海道で市町村の密度の濃い地点を探したら、なんと、北海道でも数少ない「市」がかたまった地点を発見。上砂川(ここは、町ね)、芦別(ASHIBEU)市、歌志内(UTASHINAI)市、赤平(AKABIRA)市、を回るルートが地図から読み取れます。全長は一部書いてないのですが、70km程度か。
 早速、出かけます。
 札幌から国道 275号をひたすら車を走らせて、石狩当別、月形を越え、滝川まで 100km。もはや、往復に4時間もかかるので、そろそろ車でのC&C(Comb-ine Cycling)も限界かもしれません。
 滝川西公園からJR函館本線をアンダーパスで抜けて国道12号を札幌方面に戻ります。地元のコンビニで買い出し。朝の早い時間はコンビニも商品が少なく出来れば11時くらいに買い出しできると良いのだけれど、今日のコースではその時間は山の中。数少ない棚からオニギリと調理パンを選択。ついでに缶ジュース(500ml)を2缶。水には不自由したくない。
 JRの砂川駅を越えてすぐに左に曲がって上砂川を目指す。実は、数ヶ月前までならここにJRの上砂川線が走っていたのだけれど、今は廃線。時々見える踏切はジャリが盛られて線路は不通になっている。
 緩い登りを線路に添って登っていくと、ほどなく上砂川役場。昔の隆盛を残しているのは役場だけか。JRの駅舎は物産と行事案内場に使われていて、最後の上砂川駅長の「上砂川線の廃止について」ってマジックで書いたポスターが寂しい。
 ここから登りがきつくなるが、その前に「上砂川無重力研究センター」が今回の目的。ここの炭鉱は竪抗と呼ばれる、エスカレーターで一気に坑道を垂直に降りて、横に掘り進む形態。そこで、閉山後、この竪抗を利用して自由落下で無重力状態を実現する施設を誘致と言うか、ゴリオシと言うか作ったもの。
 ここに「無重力科学館」が有り、施設の説明が展示され、広報されている。入場料300円。ま、小中学生が150円だから、妥当なところか。ついでに、横に建設された炭鉱博物館との共通券で360円。

上砂川(かみすながわ)町
 これで、若い女性数人の雇用が確保されるなら、地元にとってはありがたい施設と言えよう。なんせ「無重力都市を目指す上砂川」(ちょっと、どうにかならない、このコピー)
 実際の無重力をシミュレーションするためのシアター。たぶん、予備実験の設備だと思うのだけれど、実際に10m近くを落下させて1秒の無重力を起こし、(これが実際無重力と呼べるかと言われると、小重力のほうが正しいと思う)これを登載されているビデオカメラに納めて再生するって装置。実際の実験と広報ビデオを組み合わせて20分程のシナリオに納められている。これも、気にいったのは、音声を流すだけでなく、実際に若い女性が説明していること。
 最近のプラネタリュームなんかで、録音流しておしまいてのが多くなったので、新鮮で良い、良い。
 で、ゴリオシで作ったとかの悪口は認識を新たにしましたね。これも広報機能の効果か(笑い)。もっとも施設を作ったが、たかだか10秒の無重力実現にかかるコストが膨大であまり使われてないようだが。
 素人考えでこの本番用の実験施設を補足すると、設計ミスですね。まず、上から落としてでは空気の抵抗があるので完全に無重力にならない。そこで、カプセルのお尻からガスを噴射して自由落下状態を保つ。これじゃ、ランニングコストがかかる。
 で、少し考えれば、地下から打ち上げて、慣性を利用して自由落下状態を作り、竪抗の頂点あたりで再度落下させれば2倍の時間を再現できる訳です。しかも、全体を垂直リニアモーターで形成すればコンピュターによる速度の制御で完全な無重力が実現できる訳です。
ブレーキングもガシャンとぶつける方法でなくスムースに止められる。ま、無重力実現のプロトタイプとしか呼べない施設ですね。学者は勉強になったろうが、実用化にはコストの壁があります。
 でも、プロモーションビデオで説明されているとうり、無重力状態で何が出来るか、実は人類はまだ何も解っていない。もしかしたら、無重力てのを手にすると人類の科学、化学、工学は飛躍的に発展するのかもしれない。
 ここの展示場にエアーホッケーが置かれていて、ま、無重力のイメージなんでしょうが中学生が入場料150円払って死ぬほどエアーホッケーが出来るってのもご愛敬。
 Mac(Lc520)が80台くらい置いて有る教室があったが、何に使うのだろうか。
 炭鉱博物館は長くなるので説明はパス。今まで見た中では中の下くらいかな。
 ここで1時間も時間を使ったので、そろそろ急ぎ足で芦別に向かう。ここ上砂川からは、歌志内へも奈井江(NAIE)へも道が延びていて、地図で確認しながら町内を抜ける。

芦別(あしべつ)市
 上砂川温泉の前から本格的山道が始まる。が、なんと交通止め。道を切り崩している。もし、ここを通れないと、今回訪問予定の市町はピストンコースしか設定できないので、苦しくなる。
 なんとかならないか工事の人に誓願する。
「ここを、芦別に抜けたいのですが」
「ここから、芦別までは一本道だから、無理じゃないの」
「ここ以外は工事してないのなら、通してもらえませんか」
「戻ってこないてのなら、いいけど、また来られても工事中断になるし」
「絶対、芦別に抜けてご迷惑かけませんから」
「それなら..」
 と、しぶしぶブルをよけて通してくれたのでした。ところが、本人は気付いて無かったのだが、ここから25Km一本道、しかも車は通れない、てことはもし事故に有っても誰も通らないってこと。動けなくなるような怪我だと衰弱死を待つことになる。これに気付いたのは、山道を相当入ってから。
 で、この道は地図には載っているのだけれど、完全未舗装の林道に毛が生えたような道。しかも、ここいら辺は秋には熊が出てもおかしくない地帯。しかも道は閉鎖されているので、ここ何日も車が通っていないから、棲み分けは崩れて全てが野生のテリトリー。
 うーん、加えて、怪我でもしたら、救援無し。まったく、無謀な道を選んだのでした。(これ、読んでるあーた。『書いてるんだから無事だったんだろう』って、そりゃ、そうだが、その時、その場の雰囲気を少しでも感じて下さい)一人でなければ何てこと無いのですが、やっぱ、次回から無線機持ってきたほうが良いかもしれない。
 熊とはちあわせしないように、ベルをチリンチリン鳴らして進みます。普段ならひと休みする足の疲れも無視して早く峠を越えたい。地図では、こちらから登ると8km程で峠越え、それまでひたすらペダルをこぎます。時々ガザっと薮で音がして、ほとんどは、野鳥なんですが、時々、ガサガサガサって音をたてるのは北キツネ。それも、野生の美しいキツネなのですが、止まるのが恐い。
 500m近い峠を越えて下りの始まり。悪路の振動にいちおうグローブをはめます。ガガガァー、ゴトゴトゴト、ガサガサ(北キツネね)走る走る。下り坂を一気に下っ舗装道路が見えた時にはホットしました。

 結局この後も1台の車とも会わずに芦別に出たのでした。
芦別には道の駅スタープラザがあります。ここも車のデポ地点に利用できるかもしれません。隣には郷土博物館が。なに、今日は休館。たくもう、何考えてるの。
 役場の前の公園で噴水を見ながら買い出しのオニギリで昼食。ここには市立病院、市民会館の近くに無料で利用できる市民駐車場があり、これは、C&C(C-mbine Cycling)のデポ地点としてGoodですねぇ。

 ふと自転車を見ると、ギャ、前輪のセンターに下げていたライトが無い。あの山道の振動でとれてしまったんだ、ま、これから戻って探す気持ちは無いし、あの山道でライトだけの犠牲で乗り越えられたと思えば安いものです。(ブリジストンの純正で3000円もしたんだぞ)

赤平(あかびら)市
 ここから赤平へ向かって10km程、途中、残念ながらピストンルートで歌志内に向かいます。歌志内は最盛期人口46,000名。そして現在7,000名弱の急激に人口の減少した町です。
 「明日、悲別(かなしべつ)で」のロケ地は、ここと上砂川です。ここを舞台に前述の作品を書いたのが、あの「北の国から」の倉本聡氏です。
 歌志内トンネルを抜けて、役場の前で記念写真。観光物産館のチロルに向かいます。ここでオバチャンに案内してもらい、資料室を見せてもらいました。あの氷点の三浦綾子さんが、教師時代にここ歌志内に赴任して、その時の思い出を「歌志内線(廃止になった国鉄の路線です)の思い出」として書いた文章がありました。
 ちょっと感動もので、もし、機会があれば皆さんに話ましょう。
 うーーん、この町は20年後には消えているかもしれない。その時には「石炭」ってエネルギー政策はなんだったのかを検証するのにいちばんふさわしい町かもしれない。

 ここにも、炭坑の展示がありましたが、もはや、アピールするだけの歴史の証人たるエネルギーは感じられませんでした。もっとも、先の上砂川と違い、歌志内は石炭の露天掘りですから、設備等も携帯品が主体です。なんせ、月のクレーターのように露天掘りの穴がボカボカ空いているのですから、もう、利用する土地が残ってないのですよ。唯一、国道添いの土地が使えるだけです。その露天掘りの跡地はみんな、NEDOの土地で、再開発もままならないのです。
 再度、歌志内トンネルを越えて赤平市です。ここは、炭鉱衰退の代替え策に工業団地造成と販売に成功した数少ない町でしょう。高齢者福祉施設が新しく作られていて、活力が感じられました。
 最後は国道38号を滝川に向かいます。ここで発見。滝川畜産試験場への曲がり角の看板の所に給水可能な公園が。
 タップリ(笑い)溜まった水を流して、ボトルに給水です。
 さて、もう滝川の町は近い。
 結構、勉強になりますね。町をいかに再生していくか。この違いが今の町に反映されて、益々格差が開いている。
95.09.15 本日の走行 95Km

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