襟裳岬を目指す..門別、新冠、静内

コース概要
 北海道をサイクリングする場合、3つの大きな目標が有ると思う。ひとつはなんと言っても宗谷岬、北海道の最北端の岬と言える(除く、北方領土)。次は知床岬。残念ながらここに自転車で到達する方法は無いが、知床半島そのものが北海道の中でも特に自然に恵まれた地域であり、ここを訪れるサイクリストは多い。
 そして3つ目に上げられるのが、襟裳岬と言えるだろう。まさに「何も無い岬」が北海道の象徴的岬として語られる。この襟裳岬に西から向かうには、苫小牧から延々と海岸線を走行することになる。
 車で走行しても単調で変化に乏しい風景の続く道を自転車で走ったらどうなるか。まずは、途中までのサベイをかけることにする。
いざ出発
 今年は定年より雪が多かったののと、連休明けから1週間に渡っての天候不良で例年より1週間程「さくら前線」が遅れている。新聞によると、1月に沖縄をスタートした「桜前線と同時に全国を走破する会」が北海道に上陸後「さくら前線」を追い越して宗谷岬に到達した記事が出ている。
 襟裳岬に向かう途中の静内(しずない)町には24間の「桜並木」がある。さくら祭りは例年だと連休後半に行われるのだが、今年は、以外と最盛期にあえるかもしれない。
 去年までの到達点、鵡川町の「たんぽぽ公園」まで車を進める。ここで自転車を組み立てて、前年は日高道を穂別(ほべつ)、平取(びらとり)へ向かったのを、国道235号を一路襟裳岬へ向かう。と、言っても今日は途中の静内までを目標にする。
 自転車を組み立て、走り始めようとすると前輪のブレーキがリムをこすっている。あれ、センターが出ていない。クイックリリースなので、装着すればセンターに収まると思っていたのだが、どうも違うみたいだ。
 スタンドを立てて、横に傾いた状態のまま前輪を装着したのでずれてしまったようだ。再度、正しくつけな直す。そう言えば、前に前輪のワイヤーを外したまま走行して、右手でブレーキをかけた時に、焦ったこともあった。走行前のチェックは入念にしなくては。

門別(もんべつ)町
 ここ日高海岸も北海道の海岸線特有の海岸段丘のため、緩い登り下りを繰り返しながら進むことになる。
途中、門別(もんべつ)町、オホーツク沿岸の紋別市とまぎらわしいので、日高門別と呼ぶのが一般的。ここで、国道を少し離れて役場の前で記念撮影。鵡川から1時間程。
 ここの役場の前には戦争中の慰霊碑である忠魂碑があって、何故か、横倒しになった、砲弾の格好の忠魂碑と石の忠魂碑が並んで役場の前庭に建てられている。また、新しい碑には町で先の戦争で亡くなった200余名の名前を刻んだ碑もある。
 ここで小休止していると、年齢80くらいの老人に声をかけられる。「石の上で休んでいても寒いでしょう。家にきなさい、ストーブも焚いているから」たしかに、1週間ぶりの晴天ではあるが、気温は低い。老人の服装は真冬と変わらないアノラック姿。丁寧に辞退しながら、少し話をする。一人暮らしで、暇があるので、店の前で通り過ぎる人を見ているのが唯一の時間つぶしとのこと、自転車で走っている人を見かけたら、日高門別の役場の前で一休みしなさいって声をかけておいてくださいと頼まれる(しっかり、書いておいたよ、おじいちゃん)
今回も、静内とのピストンコースなので、なんとか回遊コースにならないか地図を調べてみる。新冠(にいかっぷ)町から、サラブレッド銀座を登り、先の静内のさくら祭り会場に抜ける道が考えられる。ここを静内町に出て、国道を戻ってくるのが唯一の回遊コースか。

新冠(にいかっぷ)町
次の目的地新冠町に向かう。あいかわらず、緩い登り下りの連続。道の両脇には放牧されたサラブレッドが見える。今年生まれたばかりの子馬と母馬の組み合わせが多い。立っている馬はみれる(あ、ラ抜き言葉)のだが、走っているのにお目にかかれない。
 太平洋から吹き付ける海風を考えると、この地域で農業を行うのは環境的に厳しく、必然的に馬の産地にならざるを得なかったのだろうか。
 日高門別で別れたJR日高本線と再会する頃、新冠の町にたどり着く。ここから左に曲がって静内さくら祭り会場に抜けようと思ったのだが、なんとなく役場を先に訪問しようと国道を直進する。
 ここの町はレコードを町おこしに利用していて、7月20日には南こうせつのコンサートがここの判官公園で行われる看板が建っている。ゲストにはイルカが出演の予定とか。ここの町にはレコード館が建設中で、工事中の外観はどう見てもパチンコ屋に見えるのだが、完成したら、再度訪れてみよう。
 国道を離れ、JRの新冠駅前に出て、役場の前で記念写真。この駅前の駐車場は輪行の駐車スペースとして使えそうだとチェック。おやぁ、役場の前の商店街がどこかでみたような案配。そうそう、穂別、そして去年ツツさんが浦河町で感じた、あの、画一的建物による統一景観を目指した商店街。
 どうかなぁ。って思うのは職業病。だけど、看板を見ないと何屋か解らないってのは、はたして商店街として良い方向なんだろうか。ま、住民が選んだから部外者には何も言えないけどってツツさんのコメントを改めて思い出す。

静内(しずない)町
 ここから7km程で静内町。ここは去年の秋に車で視察に来たことがある。その時、役場にもお世話になった。苫小牧、襟裳岬間で一番商店街規模が大きいのがここ静内町かもしれない。
 苫小牧側から町に入ると、ダイエー、ホーマック(北海道の東急ハンズみたいなDIY店舗)なんかが進出する郊外大型店舗街になっている。ここを過ぎると旧来の商店街。ここの町を見ていると、倶知安町と良く似てると思う。周辺地域の消費を一手に引き受ける規模の商店街。これって、馬の市場とかのおかげなんだろうなぁ。今日は行かないけど、この先の浦河(うらかわ)町に日高支庁があるのだけれど、この支庁の無い静内町のほうが商店街の規模も大きい。この商店街比較は、次回、浦河町を訪れた時にすることにしょう。
ここまで、3時間弱、そろそろ食料の補給をしなくては。
 最近解ってきたのだけれど、だいたい2時間に1回は補給しないと100km以上の走行には支障がある。単に補給のみでなく、2時間連続で走行していると足の太股が筋肉痛になってくる。ここで休憩をとるとともに補給をするとかなり回復するのだけれど、補給無しでは、一向に回復しないままに再度走り出すことになる。
 鵡川に向かう車の中で軽くサンドイッチを食べただけなので、そろそろ限界になっている。
 静内役場の前で記念写真。ここの役場には中央競馬出場を果たした馬の名前が牧場の名前とともに垂れ幕になっている。そう言えば、ばんえい競馬の開催されている岩見沢市の市役所では、1番窓口が「勝ち馬投票券払い戻し所」だったなんて事を思い出す。
 コビニを探すのだけれど、どうも「さくら祭り会場」の矢印看板が気になる。このまま24間の桜並木まで走ってしまうことになる。(これは、鉄則を無視したために後でえらいことになる)。
 小高い丘に登った所に、静内桜並木がある。半端じゃないと思うのは、自転車のペダルを踏み続けてもとにかく桜並木が続く。途中、「高校では授業をやっているので、カラオケ禁止」とか「防疫上の見地から、宴会禁止」とか、はては「キャンプ禁止」の看板までエンエン桜並木が続く。地図で確認したら6km以上ある。
 残念ながら、桜は5分咲き、4、5日天気が良ければ桜吹雪の中を走れたかもしれない。どんどん進んで北大の実験牧場の前に出て、この並木道が終わり。
 さて、帰ろうかと地図を広げてビックリ。そうとう国道235号から離れてしまった。ここから静内まで戻るのも大変なのだが、予定していたサラブレッド銀座も遠い。少し道を戻り信号の有る十字路を万世へ向かう。これが、結構きつい峠越えとなる。やっぱ、補給していないのが災いして、たいした坂でないのだが押しが入ってしまう。
 万世を抜け、新冠へ向かうと、ここがサラブレッド銀座。ハイセーコを生み出した牧場が有るはずなのだが、探せなかった。かく牧場の看板には牧場名とともに生み出した馬の名前が書いて有る。競馬をしなくなって久しいが、名前を知っているものもチラホラ目に付く。
とりあえず、補給、補給。唯一のコンビニ風商店で、買い出し。
 サラブレッド銀座を国道235号に向けて下る。ここにサラブレッド銀座4丁目なんて住所表示があるのだが、誰が4丁目を決めたのか。やはり4丁目の看板をもらうにはそれなりの貢献度なんかが評価されるのだろうか、などと考えながら進む。
 サラブレッド公園からの眺めは、馬の好きな人にはたまらないだろう。雄大な平原にサラブレッドが点在する。
 しかも、この公園は国道235号から500m程。なんとももったいない。国道には看板が出ていないのだが、ここからの景観は絶対おすすめ。国道235号を新冠に入る直前「泥火山」の看板のある所で左折して、ぜひとも日高の馬牧場の景観を味わってもらいたい。
 国道に合流して、海岸線に出て、やっと補給。自転車を降りようとすると足が上がらない。ここまで4時間、ろくに休憩もとらずに走ってきたわけだ。
ここで、1時間、港を見ながらボーット時間をつぶす。
 出発点の鵡川町のたんぽぽ公園までは40km程か。ここからは50分走行10分休みのペースで戻ることにする。
途中、JR日高本線の駅で休憩していると、たまたま列車が到着。時刻表を見ると一日7本。駅を降りた人のほとんどは車でのお迎えがある。これに加えてバスが列車の隙間を縫うように日に3本。ちょっと考えられない交通事情だ。
遠くに、鵡川にかかる橋が見えてきて、今日の出発点に無事到着。
もう少し、郷土資料館とか見たかったが、距離が距離なので、時間的余裕が無かった。今度は新冠を出発点に選んで、襟裳岬を目指すことにしよう。
96.05.18 (C)Mint

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