支笏湖近辺..大滝村の隠れた豊かさ

コース概要
 訪問した市町村を地図にプロットすると所々に空白地帯が発生する。これは近隣市町村からの円を描くルート上に無く、訪問のタイミングを逸している市町村。
そのなかでも札幌に近い大滝村が今年のシーズン初めの足慣らしとして計画した。近隣の市町村は羊蹄山一周の時に訪問してるので何故か残されていた。札幌から近郊のデポ地点としては支笏湖からか、喜茂別からのルートとなるのだけれど、支笏湖から出発すると美笛峠越えとなるので、眺望が楽しめるかもしれない。通常支笏湖の西側のモーラップが表側なので、美笛は支笏湖の裏側となる。札幌からだと札幌支笏湖線を途中から恵庭岳を巻くようにして支笏湖の裏側に出る。が、この裏側の道は閉鎖中、やむなく支笏湖を一周して美笛キャンプ場に車をデポする。
いざ出発
 美笛キャンプ場を出てここから登りの始まり。突然長さ400m程のトンネルが出現する。僕のサイクリングの開始はおおむね、5kmを走るかもしくは15分走ると今日の調子が解って来る。途端に登りが始まるコースは苦手である。この登りを十分スローペースで鼓さないと後々まで足に疲労が残って楽しいサイクリングが出来ないことになる。登りをスローペースで少しづつ進む。左のはるか上に橋が見える。この橋はどうやらこの道の続きらしい。とすると、大きく左に曲がってあそこまで登らしい。美笛峠ってのは結構標高があるのかもしれない。
 地図からはおよそ標高400mと読んだのだけれど、もう少しあるかもしれない。このコースはツールド北海道でも山岳コースになるのだから。ま、それなりなのかもしれない。

美笛(びふえ)峠
先程見えた橋は支笏橋と呼ぶらしい。この橋から今登ってきた道が遠く下に見える。このような景観は岩見沢から夕張に抜ける岩見沢夕張線の万字炭坑炭坑からの登りに似ている。一番凄いのは登別からのオロフレ峠だが、残念ながらこちらは、逆から登ったので感激は無かったが。
 美笛峠の頂上は小さな公園と駐車場で、岩に「美笛峠」と白く彫った目印がある。ここからの景観は特に目標とするものが見えないのでさほど良くはない。眼下に広がる支笏湖は無理である。遠くに風不死岳(フップシダケ)と樽前山の頂上のドームが目る。ここで、一休み。連休の中間であるためか、軽くドライブとこちらを走る家族づれが多いためか、狭い駐車場はひっきりなしに車が出入りしている。
地図で確認するとこの先に滝笛トンネルがあり、これを抜けた先が本当の美笛峠らしい。1500m程のこのトンネルはこちらからは登りになってるらしい、一生懸命ペダルを踏むのだけれど20km/h以上でない。いつも思うのだけれど、トンネルは水平に掘ってもらいたい。
ここを通過する車の排気ガスが充満し、そこを自らの足で走るサイクリストを苦しめる。本当誰も歩かない舗道がえんえんと付いているかと思えば、歩いて抜けるには酸欠死覚悟のトンネルと、まったく道路行政ってのは、人間の利用を考えてない。車で便利な道が必ずしも地域の足とはなっていない。不便な所をいかに早く抜けるかだけが今の道路行政ではないだろうか。やはり、固定資産税(地方税)を市町村はかけるべきだな、と妙に納得しながらこのトンネルを抜ける。
抜けて本物の美笛峠。が、特に眺望に優れた所でも無い。ここから大滝村まで下りが続くのが楽しみである。右に左に小さな川を眺めながら大滝村に向けて下る。途中、道の駅「フォーレスト276」が見えてくる。たしか、ここは1億円でトイレを作ったとかで、日本一のログハウスが売り物。しかし、なんか、地域から遊離した「道の駅」が多いから、たいしたものでは無いだろうと思って下ってきたのだが、どっこい、ここは成功してる道の駅ではないだろうか。
大滝村産業の「きのこ」を「きのこ王国」として前面に出している。しかも白老の和牛と併せた「きのこ汁」1杯200円。きのこの炊き込みご飯で作った「きのこおにぎり」、とりあえず帰りによってみよう。看板を横目に大滝村役場を目指す。
喜茂別と大滝村市街との分岐点のT字路を左折していよいよ大滝村本町へ向かう。このあたりにきのこ集荷センターが有り、この向かいが良く手入れされた落葉松の林。松独得の木の香りが漂ってくる。しいたけのほだ木と落葉は関係があるのだろうか。少なくとも、この林は秋には落葉きのこの宝庫になるだろう。
左手に「三階滝公園」への岐れ道と看板。こちらにはレストラン、市場等があるらしい。こちらも帰りに寄ることにしよう。

大滝(おおたき)村
 やがて本町の役場前。おやくそくの記念写真を撮って、役場の水道の蛇口をひねって汗で汚れた顔を洗う。
どうも、この町は豊らしいと気づく。役場の周囲には病院、温泉センター、高齢者交流センターとのきなみ公共施設が建っている。しかも、その間間にレストラン、障害者の運営するレストランなんてのもある。これは、施設が箱物でなくて住民に有効利用されている証。箱物の施設と利用者が調和した施設運営になっているのだろう。
役場の前をさらに進と、「平成ふるさとの道」とかサイクリングロードが有って、最近開発された北湯沢に出るのだけれど、たぶん、本当の大滝村は、この古くからの地域に残っているのだろう。ここ先へ進まずに、さきほどの三階の滝公園へ戻ることにする。
多少のアップダウンを過ぎて公園の入り口にはなんとかの甘露の水。サイクリングでうれしいのは給水場でひとやすみできること。しかも、それが地下水で銘泉だったりすると本当にうれしい。早速ボトルを空けてこの水をすくう。確かに飲んだ後味が甘く感じる。一気に飲んだあとボトルをいっぱいにする。
この水のみ場の横が3階の滝。おりからの雪解け水で増水して勢いがある。そして、先の広場が公園。芝生に恵まれた水と緑の調和した公園。この後ろの丘がトーテムポールの丘。これもまた、芝生がきれいな広場。北海道で同じような所を捜すとなると、美英、富良野あたりだろうか、こんなに整備された公園が、こんな所にあるとは。
地図を調べてみると、ここは「白老大滝線」の大滝側の入り口。この路線は平成9年度開通で、温泉の町となった白老とミュージアムロードのニセコ、岩内を結ぶ観光道路。実は、この三階の滝公園は中間地点として、ますます、人の動線の要になるだろう。 30分ほど公園をポタリングして、276号線に戻り先程のフォーレスト276を目指す。「きのこ汁」が待っている(笑い)。
で、結果を先に書くと、どうも自然態の三階の滝公園に触れたあとでは、やはり道の駅は道の駅でしか無いって感じで、1億円のトイレに寄ることもなく、軽く見物して空腹を抱えながら、再度、美笛峠を越えて支笏湖の車まで戻ったのです。
で、車には6mのアマチュア無線機を積んできたので、美笛峠、中山峠と電波を出しながら札幌へ戻ったのでした。
なんか、ひっそりと隠れた地方のしたたかな豊かさみたいなのに触れて、なんとなく良い気分にさせられて大滝村でした。
1997.05.03 本日の走行 53km
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