渡島半島制覇..奥尻を望む大成町、熊石町

コース概要
 目的地へ行ってUターンして出発点に戻る。そんなピストンコースではなくて、グルーっと一周してこれるサーキットコースを考えていたら、巧く取れそうな市町村が有りました。
八雲町を出発して国道277号を途中から道々42号線で北檜山町と大成町の間に抜け、大成町と熊石町を回って国道277号を八雲町に戻る。おおむね100kmのコースが設定できます。
 北海道で日本海と太平洋(噴火湾)を結ぶ最短ルートと言われているのが国道277号線の雲石峠を越えるルート。峠としてはさほど高くない(470m)峠だが、さすが渡島半島を横断するとなるとこれを越えなくてはならない。また、道々42号も地図で見る限り同じ様な標高で、今回のコースは500m弱の峠を二つ越えるコースとなる。
 当日は太平洋側が曇り時々雨の天気予報札幌を出発する時に半袖一枚だったので、静狩峠を越えて噴火湾添いに出ると付近の山は霧の中。遠くに見えるはずの駒ヶ岳もまったく見えない。そもそも半袖1枚では寒くてかなわない。せめてウインドブレーカーを積んでこえば良かったのにと後悔しきり。
 八雲の河川敷「さらんべ公園」の駐車場に車を停めて、自転車を組み立てる。ま、降ってくることは無いと思うが、これから進む峠のほうは雲に隠れている。風は海から峠に向かって、珍しく東風が吹いている。

いざ出発
 八雲はミルクの故郷、ということは酪農の牧場が多い。国道277号添いの両脇には牧場が続く。この牧場の風景ってのは牧歌的ではあるけれど、結構臭いがきつく、前に千歳ー早来間を走った時も鶏糞の臭いに悩まされたが、それに近い。川を渡ると真っ直ぐが国道277、右に曲がって道道42号、左は八雲市街地と交差点がある。ここを右に曲がっていよいよ峠越えとなる。
 ゆっくりと少しづづ登る感じで、途中から雲の中に入る。視界は50mほどか、この視界の中をヘッドライトを付けて車が80km/h程で走っている。交通量としては1分間に数台で、国道5号線のような恐怖は感じない。
 途中橋から見える川にはかなりの渓流釣りの釣り師が入っている。やまべの禁漁が4月1日から5月31日までなので、いよいよ禁漁が解けて、やまべ漁解禁といった所だろうか。
 今日のコースは100kmを越える長丁場でかつ峠越えなので、体力温存のために坂がきつくなると自転車を降りて押して歩く。
 振り返ると霧の先に見える道路は結構な登り坂に見える。さけ孵化場を過ぎ更に登るとT字に道が分かれている。ここが日進、八雲町から20kmほど上り坂を進んできたことになる。真っ直ぐ進と北檜山町、今回は左に折れて大成町方面に向かう国道229号に合流する。さらに登りは続く。周りが霧なので眺望が開けないがかなり切り立った崖が道の横から下の川に向かっているようで、景色が楽しめない今日の天候をうらんだりする。

大成(たいせい)町
 風に運ばれて谷間を霧が流れているのが見える。かなり風は強い。頂上と思われる当たりを過ぎると急に霧が明るくなり、太陽が照りつけてくる。230mの峠を越えた。太平洋側から斜面を登った霧は峠を越えると消えてしまい、日本海側は雲量30%程度で日が照っている。
 坂道を一気に下り、いままでの速度を取り戻し平地に入る。こちら側は水稲が主体の農家が多く、作付けが終わったばかりの稲穂が風に揺れている。八雲が酪農で峠を越えた北檜山が水稲なのは、今日のような天候が多いからだろうか。半袖1枚でどうしようと思案していた時と替わり、ジャージの裾までまくりあげないと暑くてたまらない。
 今度は緩い下り坂の文字道理田園風景の中を進む。国道229号に合流し左折して大成町に向かう。
 お、待ってよ、ここからもう一つ峠を越えないとならないようだ。地図で確認すると檜山トンネルまで登り、このトンネルを下ると大成町と熊石町に分かれるT字路の有る宮野に出る。なんだ、峠は3つ越えないとならないのか。しかもこの第二の峠も標高230mある。海岸線の町村を回るので、本当、標高ってのは掛け値無し、正真正銘の高さになる。
 汗をかきながら峠道をとぼとぼ登る。それにしても水筒の水が切れそうだ。道の両脇にはコンビニどころか自動販売機も無い。こちらから進むとトンネルは下りになる、一気に駆け抜け宮野の市街地に入る。ここを右折し大成町役場に向かう。先の西北海道地震の時に津波の被害が有ったためか海岸線は頑丈な堤防で固められている。海の向こうには300名弱が無くなった奥尻島が見える。左側が津波が横断した青苗地区である。想像していたよりも島が近い。となると、地震の夜、この大成町からも燃える青苗地区が見えたのだろうか。
 災害の復興は住民の悲願であるが、先の洞爺湖周辺の虻田町・壮瞥町は有珠山の噴火から復興の時に洞爺湖をめぐる彫刻公園とか、大きな砂防ダム、さらに有珠山を見下ろすロープフェイと、ま、災害に遭われた人には申し訳ないが、災害特需が有った。ここ大成町を見ると、道路一つとっても狭く、あまり都市計画が生かされた復興計画が無いように感じる。海岸に近い民家は1階を嵩上げした住宅が目立ち、災害対策はほどこされているようだが。

 役場は小高い丘の上にあった。どうも最近建てたような立派な庁舎である。しかも最近多い複合庁舎で左は健康センターになっている。なるほど、ここにお金を使ったのねと妙になっとく。ここで水道を借りて顔を洗い、水筒の水を補給する。
たしか近くに郷土資料館が有ったはず。あるある、児童図書館と併設されている。で入場無料。がしかし、倉庫みたいな所。積み上げているパンフレットを1枚もらう。とまぁ、ここまでなら良かったのだが、なんだが訳の分からないおばさんが「何か用ですが」って人を疑うような目つきで事務室から声を掛けてくる。用って、郷土館見に来たに決まってるじゃないか、電気も消して資料館も無いだろうに。「資料館だと思ったのだけれど、展示に見るものが無くて」「え、いちおう資料展示はしてるのだけれど」(電気くらい点けておけよなぁ)。「何処から来たの」「札幌だけど」(ああ、よそものなのね!)
 うーん、感じ悪い(笑い)。そうそうに撤退、この近くに北海道でも初期に設置された久遠神社が有るはずだけれどもういいわい!
 坂を下って宮野を過ぎて道の駅「てっくい(って、なんだ)大成」に向かう。で、この道の駅もなんだかなぁって感じ。どうも非常にアンバランスな町って感じ。海水浴場が近いのでシャワーが有る道の駅ってことなんだけど、民間のバラックが建ってるだけ。レストランなんか無いのでしょうがなくお弁当を購入。そういえば、コンビニ見てないなぁと妙に感心する。

熊石(くまいし)町
 途中随所で工事区間に出会う。危険個所の総点検で一部崩さなければならない所が出ているようでそこの崖の改造をしている。お、海岸線に突き出た奇岩はすごい。マンモスの岩、親子熊、それをとっても真ん中にトンネルが空いた不思議な岩だ。奇岩と言うより風になびくような岩には驚いた(後ほど写真掲載の予定)。早速昼食のための大休止をここでとる。

 それにしても、この奇岩を観光資源に売り込めるのに、先の瀬棚の三本杉岩みたいに。たしか、瀬棚には三本杉最中みたいなお菓子まであったのに。
 右に日本海を見ながら海岸線を進む。先ほどから気になっていたのだけれど、海がコバルトブルーとまで言わないがかなり明るい青になっている箇所が多い。もしかして、いわゆる磯焼けで海草が付着していない岩肌が露出した海底なのだろうか。このあたりはアワビの宝庫で、道の看板にもアワビ最中(笑い)みたいのが有るけれど、漁業は大丈夫なんだろうか。
 走っていても若い人を見かけない。時間的には高校も昼で終わり通学の自転車なんかに合ってもおかしくないのだけれど。
 熊石の役場はこじんまりとしていて、ま、主たる産業が衰退しているのだろうか。今後江差に向かうための駐車場所を海岸線に発見。とまぁ、国道を左折した所に青少年旅行村、ひらたない荘が有るのは地図で確認していたが、なんとも立派な道がそちらに延びている。このあたりが観光の中心なのかもしれない。時間に余裕があれば行ってみたいのだけれど、これから向かい風&霧の雲石峠越えを控えているので残念ながら道路を確認しただけでパス。
 いよいよ雲石峠に向かうって、277号って国道なんだろう。なんて狭い、しかも通行車両が全然来ない。渡島半島の日本海側と太平洋側を結ぶ大動脈と思っていたのだが、毛細血管くらいしか無い。なんせ車両が少ないってことは物流も含めて交易が少ないのだろう。なんとなく、元気の無いさきほどの町村の実状が解るきがする。
 向かい風に逆らいながら雲石峠を目指す。こちらからなら10kmで峠に到着する。最悪全行程歩きであっても2時間で越えられる。そんな計算が全体を反時計回りに決めた理由だ。たしかに、登りの傾斜はきつい、所々8%を越える勾配になっている。この道に沿って流れる川がどうも全面禁漁らしい。釣りが出来ない川って人が入らないからますます交通量が減るのかもしれない。途中見市温泉に寄ろうかとも考えたのだが時間の無い悲しさ、そのまま峠を目指す。
トンネルを抜けるとそこは霧の中であった。急激に冷えた気温と霧の中を半分歩き、半分乗車でなんとか雲石峠に辿り着く。とまぁ、ここも何も無い峠。石碑の前で記念写真を撮って、凍死しないようにゆっくりと下る。まだ16時だと言うのに霧に覆われた道は暗い。
 なんかなぁ、見るべきものが無かったって感じで、考えてみると、島牧村、寿都を回った時と同じ様な感じであった。熊石町5300人、大成町3400人、まぁ人口が少ないと言えばそうだが、もうちょっと工夫の余地はないのだろうかと思う地域であった。
1998.06.13 本日の走行 118km

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