えりも岬を目指す...えりも町

コース概要
 前回豊富町まで北に足を伸ばしたので北海道全体の地図を見ると北海道の背骨として伸びている日高山脈を中心とした東方面に出掛けていないことがわかる。
峠越えの前に南のえりも岬が残っているので、訪問してみる。
ここは、風の館があるので、何時か行きたいと思っているのだけれど、様似から進んでえりも町役場だけなので、市町村数が稼げないので延び延びになっていた。
夏のえりも岬は霧が多く、結局霧の中で看板を確認だけの自転車行ではつまらない。当日朝に天気予報を見てからの決断となる。
インターネットの天気予報も便利なのだけれど、所詮、天気予報は天気予報、インターネットで見ることが出来るから精度が上がる訳でもない。
実は、ここ週末には必ず見ているのだけれど、たぶんえりも岬は霧が出ていると思われう。今日の天気図を見るとひさしぶりの晴れになる模様。早速目標をえりも岬に設定して車に装備を積む。

襟裳(えりも)町
 訪問市町村のプロットされた地図を見ると解るのけれど、札幌からの距離と車での移動時間は必ずしも一致しない。函館までは直線で150km以内なのだが車では225km,時間は4時間(これ、秘密時間、実際は5時間)かかる。また、北に目を向ければ羽幌も同じく直線距離で150km程で実際は200km程。しかし、移動時間は掛け値無しで4時間ほど。
で、えりも岬はと言うと実は札幌から直線距離で函館よりも遠い200km。実際には4時間程(掛け値無し)かかる。前回まで訪問している様似町のスポーツ施設の駐車場に車を止めて、いざえりも岬を目指す。
日高門別を過ぎてから単調な道が続く。100km程読み違いをしていたようで、様似の役場にようやくたどり着く。ここからえりも岬までは50kmそこそこ、ま、気分次第ではえりも町の役場を訪問したら戻るつもり。
今回から自転車に新兵器を装備した。前回の豊富訪問の後、図書館で借りたサイクリングの本に「トゥクリップ」が有用であると書かれていた。実はサンフランシスコからの訪問者マーク君と函館で話したときも、「トウクリップを試してみたらよい」と言われていたので、捜していたのだけれど、たまたまサイクル小野で見付けたので装備してみた。
私の自転車はペダルはプラスチックで軽量化してるのでクリップが取り付けられないのだが、そこはハンドドリルで穴を開けネジ留めして取り付けた。バンドも含めて1800円は試してみる価値があると思う。実際に付近をポタリングしてみた感想だが、皆が言うような「引き上げる力も利用出来る」と言うよりも、正しいペダリングが出来る意味の方が大きいと思う。
ペダルに足を乗せているための筋力が必要なくなる分、トウクリップは有用だと思う。
これに足を入れて、様似町からえりも町を目指す。
9月に入って海岸線はコンブ干の最盛期に入っている。出遅れたので10時過ぎに様似町を出発したのだけれどコンブ干しに家族総出で取りかかっている光景が道の両わきに見える。
今年の北海道の天気は不思議で、本来なら9月に入ってベンチャーズが作り、奥村チヨが歌った「北国の青い空」状態になっていても良いのだけれど、なんか、本州の梅雨系の高湿度の夏が今年の夏であった。コンブのように、朝収穫して夕方には干し上げ製品になるものには天気の不順は致命傷かも知れない。農作物と違い、日高コンブの機械干しは不可能だろう。その意味では晴れた日は徹底的にコンブ干ししなければ生計に響くのかも知れない。
国道336号線通称浦河国道をえりも町を目指して進む。吉田たくろうの襟裳岬では「えりもの春は、何もない春」と歌っているが、この襟裳岬に向かう国道336号線も何もない道が続く。えりも町の役場は岡の上にあり立派な建物。良くみると健康センターとの抱きあわせで作られている。最近このパターンの庁舎が多い。
ますます、役場が地域の最大産業化してくる。そして、そこで働くものは親方日の丸、町民の意識なんか解らなくなる。そして、役場主導の官依存社会が地域を侵食する。その例がこのような官の複合施設ではないだろうか。
が、えりも町には少し事情が違うようだ。ここの町は海岸線に添った町で役場近郊の高台は災害時の避難施設として唯一立地が良い。ここの裏には「しゃくなげ公園」そしてえりも高校と万が一大津波ががえりも町を襲うような事態になれば、ここが緊急避難所として機能する。ま、そこまで考えているかどうかは解らないが。
ここでえりも町訪問は終わったので、様似に戻っても良いのだけれど、先の天気予報、空の様子を見ると今日は襟裳岬も晴れてるようだ。何時もえりも町の情報を発信してくれる「あざらし」夫婦に会いたくてえりも風の館を目指すことにする。
途中から道々襟裳公園線、道々34号線に右折する。この道を走るのは20年ぶりだろうか。当時は吉田たくろうの襟裳岬の碑は無く、島倉千代子の「波はどんぶらこ」の襟裳岬の碑しか無くて、ま、こんなもんかなと思った記憶がある。
20年目は釧路のノシャップ岬に向かうバイクツアーの途中で、しかもこの襟裳公園線から岬まで全て霧だったように記憶している。そのためか、初めて右に海を見ながら海岸段丘の上の道を走るのは快適である。
さっきから気になっていたいたのだが、上空を飛行機雲を引きながら航空機が通過していく。空は地上と比べて一足先に秋になっているようだ。ここから見える定期航空機と言うと帯広空港へ向かう便か旭川空港に向かう便。家に帰ってから調べたのだけれど、自衛隊の訓練空域は有るけど定期航空空路は発見できなかった。資料が古いのかもしれない。
北キツネが道路を横切るのどかな道を進むと、やはり北海道旅行のメッカだけあって自転車で回っている人とすれちがう。宗谷岬程では無いが、ライダーも多い。
襟裳岬が半端じゃないのは、やがて航空自衛隊のレーダーサイトや風力発電の風車に混じって、左手にも海が見えて来る。百人浜がそして、坂の下にえりも観光ホテルが見えるあたりが襟裳岬への終点。
昔とがらっと変わったのは「風の館」。襟裳灯台が片隅に追いやられている。
風の館は入場料500円。正直言って高いと思う。あざらし夫婦との面会の目的が無ければ、入場しなかったと思う。北海道を自力で旅する若者はライダーハウスとかテントで費用を切り詰めて北海道を旅する。彼らの予定の標準的なものは自転車なら30日間、走行距離1500km、総費用10万円、あたりだろうか。バイクだと10日間、3万円+ガソリン代くらいだろうか。宗谷岬だけを目的にすれば3日もあれば良い。
 おおむね食費も入れて1日3000円。とても観光施設に入場する費用は出ない。がしかし、彼らは必ずまた来る。マッカーサーじゃないが「アイ・シャル・リターン」の思いを持って帰っていく。だとすると、襟裳岬再びのインセンティブを持って貰うためにも、300円、もしくは「再来誓い帳」(来なくても良い)に一言書けば100円とかの企画を出来ないだろうか。実はインターネットに数或る北海道紀行紀で「風の館」はパスと書かれている。帯広の幸福駅を見習って欲しい。
 で、入った風の館は「なんだ、襟裳岬のエエトコ独占じゃないか」と金満日本の象徴のような感じだった。冬の厳しい寒さの中、この建物から襟裳岬に砕ける波を見るのも良いだろう。それは補助金を出してくれる「東京馬鹿」向けには良いかもしれない。でもね、地域はその厳しい自然に立ち向かう人々の営みで形成されるものなんだよ。冬の厳しさをガラス窓ごしに見ることが出来るってのは、なにか都会人に媚をうってないだろうか。
風の体験室って何?モーターで風を送って、風速25mまで体験できますって恥ずかしい企画と思いません?
僕の感覚では「岬」って言うのは人知れず錆びれて(そもそも商業的利用価値は低い)、でも、旅人が「この地を踏んだ」と感激する場所と思う。だから岬の観光開発は岬から5km手前で行うと良い。宗谷岬のすごい所は、集まる人が盛り上げてくれる以外に、後ろの丘に商業施設を設けて、実はこれは宗谷岬と隔離されている点であろう。僕が今まで見た岬で感動したのは雄冬岬だった、何もない、ただ、灯台が建っているだけ、岬と呼ぶほどのでっぱりでもない。それに比べて北海道を代表する襟裳岬は、残念である。
受け付けであざらしさんを呼んでもらい立ち話をした。ここの岬があざらしの宝庫で、つい午前中も300頭のものあざらしが見えたとか。くっそー、残念。
妻あざらしさんを紹介していただき、観光協会の分室を訪問。と言っても、レストハウスの片隅なのだけれど。うーん、インターネットに現れる女性に共通な雰囲気を彼女も持っていた。それはCURIOCITY(好奇心)。何か新しいことが知れるなら、明日に向かって生きていこうって姿勢とでも言うのだろうか。45過ぎて子供も高校に通うようになって、それでも自転車漕いで一人で走り回る僕は、実はこのCURIOCITYだけがより所。でもね、妻あざらし(あ、失礼)の笑顔に触れたときに「これで、いいんだ」って力づけられた感じ。実は別項で(言いたい放題)で書く予定にサンフランシスコからのインターネット珍客の話があるのだけれど、その彼女と妻あざらしには共通の雰囲気が有ったのです。今年は二人の女性とインターネットでお知り合いになれたことになります。ホームページって不思議なもので、未来への予測受注行為と言ったら良いのだろうか。誰も知らない、誰も見に来ない、がしかし、用意万端整っていれば、やがて何時か誰かが見るはず。そのような未来思考が無ければホームページは掲載できない。
でもね、あざらし夫婦は3年も前に、この「未来受注予測メディア」を利用している。それは、まさに、未来に託す夢を今持っていると信じているか。
襟裳岬を「風の館」&夫あざらし(あ、ごめん)でおわらず、妻あざらしに会えて良かったと思う。出来れば、このあざらし夫婦に「えりもライダーハウス」を開設してもらいたい。品位を下げた風の館の逆ヴァージョンが襟裳岬に欲しい。
で、岬を後にして様似町に戻る。
今日の予定は100km以内なので、さほど気にしなかったのだけれど、エネルゲンを飲みながらほとんど補給していない。襟裳の町に入るとコンビニでトンカツ焼きソバとサンドイッチを購入し、港の灯台公園で大休止。
どちらかと言うと単調な道を、さっきはコンブを干していたけれど、今は収穫しているのを目に、スポーツ会館の前の車に戻った
 襟裳はまだまだ楽しみな土地である。残念ながら国道236号が完成して野塚トンネルを越えれば大樹町から十勝平野に出る道が昨年の10月に完成したので、自転車ではきついが、ライダーならこちらを通るかもしれない。えりも町が本当に旅行者に魅力あるものにないと、盲腸線で誰も来なくなるかも知れない。襟裳岬公園線は、日本海のオロロンラインに匹敵する海岸段丘から海を見下ろす道路だ。しかも、岬に進むとやがて左手に海が見えて来る岬は、たぶん、根室の納沙布岬くらいだろう。
98.09.05 本日の走行距離 74km

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