沙流川の原流を見た....日勝峠

コース概要
 北海道を東西に分けている天塩、日高の山脈、日高山脈を越えなければ北海道の東には進めない。最大の峠は「日勝峠」(にっしょうとうげ)。
懸案になっていたこの峠を越え、一気に十勝平野に拠点を確保すべく日高町に向かう。
実は数年前に穂別町から日高町まで走った時に、日勝峠の偵察のために3号目まで走ったことがある。3号目は小さな駐車スペースもあるので、ここから出発することになる。しかし数年前のことでもあり、やはり峠は1号目から攻めたいので、ここのかなり下の水門が有る所から日勝峠越えを開始する。車を駐車するスペースもあるので好都合になる。
 日高町の役場と十勝清水の役場を結ぶ国道274号は日勝峠、標高1024mを挟み59km離れている。ここを往復するのは各地を走り鍛えたシーズンの終わりとは言え、相当の脚力が必要。状況を見て、一気に十勝清水町へ下るかどうか決めることにする。
いざ出発
 日勝峠の日高側からの1号目は既に標高435m。ここから、約600m登った所が峠の頂上となる。日高側からのほうが登攀する高度は少なくて済む。
道路は標高差に加えて、そこまでの距離が重要な要素になる。一般的に車が走行可能な斜度は8%程度。冬に路面が凍結する北海道では6%が限界であろう。
日勝峠へ向かう国道274号線、通称「樹海ロード」は特に日勝峠について言えば自転車不適の烙印を捺しておきますね。随道が多いが、これが狭い。路側帯が無い。後ろからトラックが迫って来る時は生死問題。
残念ながら、ここを生きて越えることを心配するより、襟裳岬から百人浜を経由して広尾経由で十勝の中心地を目指すのをお勧めする。いや、北海道ランは冒険なんだと言う方は、日高町で一泊してからチャレンジする方法を選んで欲しい。日高少年自然の家なんかを直前の宿泊地にすると良いと思う。とにかく日勝ち峠越えは精神すり減らします。
調子を見ながら徐々に進もうと思いながら日勝峠向かう。標高差が500mと言うと、時々登っている手稲山のコースと似ている。ただし、こちらは後ろからトラックが黒煙噴きながら登ってはこない。
北海道の道は最初に開発された道を徐々に広げながら開発してきた経緯があるので、特に峠越えの道は険しい。昨今の開発局の危険地域解消で、今まで何気なく通っていた道も改修対象になっている。そのため、ここ日勝峠でも交互通行の交通規制が行われている。特に1〜3号目までに工事が多く、通行を待たされる。
そこを過ぎて4号目。たぶん日高側から日勝峠を越える時の一番傾斜のキビシイ登りはここ4号目から5号目の間と思われる。実はギブアップしようと思ったほど。休憩していると上からサイクリストが下って来る。ピース。
とにかく辛い。5号目を越えると割りとなだらかな道になる。スタンディングで納豆走法で登って行く。それにしても当日は秋の北海道の抜けるような青空が広がっている。高度が上がるとの同時に日差しが強く感じられる。なんか空気が薄くなっていくような気がする(笑い)。
5号目を過ぎると割りと緩やかな登りが続く。時々旧道が見える。最初に日勝峠を越えあたのは20年も前であろうか。当時はこの新道が工事中で切り立ったガケ添いの道を通過した記憶がある。あのガケを20年前走ったのかもしれない。
9号目からはシェルターに入る。登り坂を積載超過で登って来るトラックの排気ガスで煙っているシェルターを登っていく。冬の凍結対策なのか、路面は極めて荒い。時々呼吸困難で吐きそうになりながらシェルターを抜ける。とてもじゃないが、この状態で十勝清水から日勝峠を登ってくる気力は薄れる。
シェルターを抜けると10号目、この峠の頂上1024mに到着する。8月でも尾根に雪が残っているのを目にする所だ。さすが、9月に入ると雪の残りは無い。
ここの峠を越えた証に、日勝トンネルを抜けておくことにする。既に峠を越えているので、下り坂のトンネルを抜ける。
見えた十勝平野。道の無い時代にこの峠を越えて十勝平野を望んだ人たちはその雄大な平野をどのように感じただろうか。今日の天気では目標にしていた十勝清水の町がはっきりと見える。
強くなってきた風を避けて、トンネルの横で昼食を兼ねて大休止。ここから坂を20km下ると十勝清水町にたどり着くのだけれど、ここまで登ってこなければならない。出発した時に比べて峠を越える風は強く日高から十勝に吹いている。
下からは煙幕のようにディーゼルエンジンから黒煙を噴いたトラックが登って来る。とてもじゃないが、走る気力は起きない。ここの峠を1回だけ越えるのなら良いが、輪行の宿命、再度駐車地点に戻るためには2回通過しなくてはいけない。残念ながら、自転車不適のこの道をもう走る気持ちは残っていない。
再度日勝トンネルを戻って峠の駐車場で休む。ここから始まる小さなせせらぎを見付ける。水に手を入れてみるとすごく冷たい。残雪から生まれた地下水だろうか。500mlのペットボトルを一杯にするのに2回ほど手の冷たさに手を代えなければならない。 どうしようかなぁ、ここに車をデポして再度十勝清水を目指す方法もあるけれど、正直言ってこの峠は自転車では危険が多すぎる。先に十勝清水に行って、峠を目指すのが安全かもしれない。
時間と共に強まった風に逆らいながら峠を下る。なまじ車と速度差が少ないだけに追越し時間が長くなる分危険が増す。
とにかく、自転車での日勝峠越えは、お勧め出来ない危険な道と言える。
98.09.19 本日の走行 44km

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