道北を進む..風連、名寄、下川

コース概要
 先週のランを考えると、今回は短いコースを回りたい。この北海道212市町村 回りも始めて4年。開始当初の頃から比べると車に自転車を積んで出掛ける距離も長くなり、ドライブなのかサイクリングなのか良く解らなくなってきている。ま、基本は「ドライブついでのサイクリング」の方針で続けたいと思う。何故なら、北海道には60近くの「道の駅」があり、ここのスタンプテーリングを楽しみながら市町村訪問を行うのが楽しいから。
 今年は、去年目標にした「道南の制覇」を目指して計画を練っているのだけれど、きまぐれと言うか、地図を見ていると手軽に3市町を回るコースが見つかる。去年の士別市を起点にして風連(ふうれん)町、名寄(なよろ)市、下川(しもかわ)町を回るコースが設定できる。これだけなら「おいし過ぎる」ので、去年の岩尾内ダムにも再度行ってみたい。
結局このコースは100kmのコースとなる。
いざ出発
 市町村を訪問するのに、その役場への到達をもってすると考えると、結構、アプローチする方向が見えて来る。もちろん、正攻法で良いのだけれど、海岸線の市町村は必ず海に面した場所に役所があるので、結構、何処を隣の町とするか迷うことがある。
 地図を見ていると昨年当麻(とうま)から回ったコースの最北地点の士別市から先に、風連町、名寄市、下川町とまわるコースがある。距離的には短いのだけれど、この距離で3市町をゲットできるのは有り難い。が、まてよ、峠越えをして去年見た「岩尾内ダム」を見学してこのコースを周りたい。とすると、下川町から結構回り道するコース設定になる。
 札幌を5時30分に出発して車のデポ地点は去年調査の士別市役所。最近は週休2日制が徹底して、役場も土曜日は休みなのだけれど、役場の駐車場を侵入禁止にしている市町村が有ると思えば、全面開放している市町村もある。本来、公共スペースとして利用させてもらいたいのだが、なんかなぁって感じで入り口を鎖で閉鎖している役場は多い(例えば、石狩郡当別町)。もちろん士別市役所はオープンな駐車場がある。

風連(ふうれん)町
 士別市役所到着は9時30分。なにか行事があるようで駐車場の一角はテントの準備をしている。ま、ここで変に警備の人に質問するのはヤブヘビなので、静かに車を停め、静に自転車を組み立てその場を去る。最初の目的地は「風連町役場」になる。
国道40号線と言えば、旭川市から北に向かう動脈なのだけれど、そんなに交通量は多くない。時折数台の車の集団が追い越して行くだけで、割りと走り易い。今日の風では横風なので、時折右に振られる強い風を注意しながら進む。
途中から役場方面と表示された看板に従い左に分かれた道を進むと風連町の役場に到着する。しっかりと記念写真。ここから国道に添って走っていると思った(実は勘違い)道を北に向かう。途中から国道40号線が見えなくなったので、多少遠回りでもと思い進路を右にとって国道に出る。あとで、地図を調べると、あのまま進むと名寄市をバイパスしてしまうようだ。

名寄(なよろ)市
 国道に添って名寄市の市街地に入る。ここに車のデポ地点を確保したいのだけれど、残る行程を考えるとあまり捜しすぎて先には進みたくない。結局、名寄市役所の前で記念撮影を行った後に、名寄公園を目指す。
 もう何年前になるだろうか、小学校の頃に母の実家のある名寄市に夏休みになれば遊びにきていた。当時、小樽に住んでいたので名寄までは鈍行で8時間くらいかかったと思う。途中過ぎ去る「札幌」がやけに田舎に思えたものだ。その母の実家を市内をうろついて確認(商店なので)。そして、名寄公園で小休止する>
高校野球の地区大会が始まっているのか、公園の球場は試合中。ここから500m程の所に「SL博物館」がある。普通このような施設はオブジェとして蒸気機関車を展示しているが、ここは違う。
車両に乗り込める梯子が着いていて実際に運転席に座って雰囲気を味わえる。蒸気機関車の運転席から見る視界って予想以上に狭く、右半分がほとんで見えない。この視界の中で運転手は前方を注視しながらピストンへ送る蒸気を制御したりと大変な職人芸を発揮したのが実感できる。常日ごろ「展示は実体験の継承」を唱えている僕としては感激してしまう。しかも、劣悪な視界で蒸気機関車、ラッセル車(線路の雪かき車)等が作られていて、それを運転する人が特性に合わせて使う設計思想に、改めて時代と機械の性能のギャップを感じた。それでも劣悪な環境のもと機械をオペレートしていた先人の努力を改めて感じた。

下川(しもかわ)町
 名寄のデポ地点として、ここをとりあえず確保しておく。ここから、追風を利用して下川町に向かう。時計回りでこのコースを設定したのは、おうおうにして午前と午後で風の向きが変わり、今までは午前も午後も向かい風ってパターンが多かったので、せめて、午前追風、あわゆくば午後も追風を狙ったもの。名寄から国道239号線、通称下川国道を東に進む。軽く漕いでも30km、そして追風のためか無風状態になる。単純に計算すると風速8m程になるか。下川町には何を勘違いしたのか「万里の長城」計画なんかあって、ま、実際はどうなのか楽しみである。下川町に入った手前に右に曲がる万里の長城」、桜ケ丘公園の看板がある。ここを右に曲がって快適の追風から斜め風に変わる道を2km程進む。有った、有った実物を見たことの無い人が考えたと思われる「万里の長城」(笑い)。
 ま、「ギャグ」として受け止めておくのが良いと思う。高さ3m、幅3mでは正直に「ミニ万里の長城」と表明したほうが良いと思う。
ここの野球場で、先の名寄市の球場と同じく高校野球の地区大会選抜が行われていた。これを見物しながら大休止。グランド側から吹く強い風に巻き上げられた土埃が気になるが野球見物としゃれこむ。
 球場の奥に「ふるさと交流センター」みたいな施設がある。オランダの風車小屋の風車が無いような塔が立っている。ここを見学させてもらう。
 普段は入場料200円らしいのだけれど、近くの遺跡の発掘調査結果の展示期間で無料で開放されているらしい。施設として、高さ30m程の展望台の利用料が200円ってのは大正時代の発想ではないかと思う。展示する資料で勝負するには原価計算が出来ず、結局必要な経費を予想有料入場者数で割って利用料金を決めているのだろうけど、有料って言うのは「リピーター無し」ってことで、もう少し公共施設としての配慮が無いものかと個々の市町村のこの種の施設に感じる。
 展示内容は、他の市町村の無料の「郷土資料館」と大差無く、共和町の「かかし館」(入場料100円)には量・質ともに大きく負けている。タイガー計算器と郷土資料との関係もまったく不明(笑い)。
 ま、国の補助金制度ってのは地方が見えていない霞ケ関の「東京馬鹿」が考えることで、それの制度資金を利用すると「こんなんなっちゃいます」って物が多いのだけれど。もちっと、地域に根ざした施設を作らなければ,「土建屋による、土建屋のための博物館」になってしまう。しかも、この類の施設が多すぎる。自立していない地方の象徴みたいなものを土建屋のために引きだした役場ってことだろう。まったく、恥ずかしい。
 ここから、朝日町に向かい、途中から右折してパンケ峠を越えて風連町に戻るのが最短なのだけれど、去年見た「岩尾内ダム」を見て行くことにする。途中「糸魚トンネル」が有るので峠越えを楽しめるかもしれない。
 今日のコースの最短は峠も無く平坦なのだけれど、やはり自転車での走行は苦しいけれど峠越えが記憶に残る。記憶に残るってことは強い体験ってことで、仕事じゃ無いのだから趣味の世界では強い体験を求めているわけで、やっぱ、峠越えは機会があればチャレンジしておきたい。
 一つ心配なのは、最後「岩尾内ダム」から士別市に向かう道が、風向きが変わらなければ向かい風なこと。しかもこの道は直線なので、約25kmに渡って向かい風と戦わなければならないこと。
 ま、そこは「出たとこ勝負」。
 下川町から南下する道々101号、通称「下川愛別線」に入る。横風が無ければ緩い登りなのだけれど、とにかく今日は風が強い。峠が近づくとさすが風が弱まる。そのかわり道の両わきには残雪が目立つようになる。たまに見える測量看板(北海道では良く見掛けるのだけれど、これって、農業用水の設計のための事前測量なのではと思われる)の高度(標高)は300mあたりを指している。短い「糸魚トンネル」を過ぎると一気の下りで「岩尾内ダム」への分岐点に出る。ここを左折して1年ぶりのダム見学に向かう。途中ダムサイトに登る道を最低速ギアで進む。去年はダムの裏から来たので、たぶんこの道は「一気に下ると」みたいな印象しか無かったのだろうけど、今回は一生懸命登る。同じ道でも進む方向によっては全然印象が違う例かもしれない。
「岩尾内大橋」を渡って岩尾内湖展望台で小休止。ダムの水温が低いのか、かなり寒さを感じる。記念撮影しているアベックにカメラのシャッタを頼まれる。アベックの女性から「何処まで行くのですか?」って聞かれたので「とりあえず、士別市に戻るけど、朝5時に札幌から士別に来た」って話したら、「すごいオタクなんだ」って言われた。ま、若い女性に「オタクなんだ」って言われるのは悪い意味で言っているのでは無いと思うので、「そう、チョーオタク」って答えておく。(正しい対応だったのだろうか)
 先週の金山ダムの完成が昭和46年。ここの岩尾内ダムも竣工が昭和46年。同じ頃の双子ダムなんですね。
 さて、最後はデポ地点である士別市役所に戻るための道々61号線を朝日町へ向かう。実は去年も通過しているのだけれど、まるで記憶が無い。先程言ったように、平坦で苦労体験が無いと記憶に残らないのかもしれない。
で、今回は記憶に残りましたよ(笑い)。とにかく午前中と同じ風が今度は向かい風でお相手してくれる。しかも強弱付けて15m〜8mの間で攻めてくる。自転車のスピードで言えば同じ力でペダルを踏んでも20km/H〜10km/Hと変化する。去年は100kmを越え、なおかつ士別市から南下して当麻町までのコースだったのだけれど、なんか、それよりきつい。
北海道の場合「地平線に向かう一本道」は結構有るのだけれど「地平線から向かって来る風」を考えると、道は多少クネクネしていたほうが良い。去年の紀行記を読むと、5月の風との戦いでウンザリすると、その年の活動が鈍るようだ。ま、6月に入れば風も優しくなるだろう。(と、思ったら、おもわぬアクシデントが(以下、次項))
1999.05.22 本日の走行 106km

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