それにしても社会問題化しないのは何故?
別紙に「
金融機関の個人ローンの仕組み」を調べて表にしてあるが、これを見るといささか今の銀行の広告が行き過ぎなのが解る。読み進む時の参考資料なのでクリックして別画面で開いておくと良い。最初から大規模に広告を打っていたのは「モビット」だろう。これはUFJグループ関連の(株)モビットが行っているのでUFJが前面に出てはいない。バックはプロミスでサラ金に毛が生えた程度の認識で広告が浸透してると思われる。僕も「新たなサラ金」と認識していた。
後発ではあるが「東京三菱キャッシュワン」は消費者を騙すまでは行かなくても誤解を故意に起こさせる。ネーミングが「東京三菱(銀行)」を彷彿とさせるし、広告でも「銀行系キャッシング」を前面に出している。しかし調べれば解るように、アコムと東京三菱銀行の出資比率は同率なのだ。正確には「銀行+アコム」のキャッシングと表現すべきなのだ。
(株)あおぞらカードのマイワンが(株)あおぞら銀行の出資比率が60%なので、ま、銀行系と呼んでも良いかもしれない。そのためか、提携ATMが多くの銀行に存在する。これもオリックスとの提携だ。
他に、
三洋信販なんかも銀行と提携して手広くやっている。
不思議なのは大手では武富士だけが、このマーケットに手を出していないことだ。ワンマンオーナーの意識の中には銀行何するものぞって感覚があるのかもしれない。あくまで憶測だが。
「保証委託約款」に潜む現実
銀行は金を貸すのに担保を必要とする。返済が出来ない場合に貸付金を弁済する物品で多くの場合不動産が使われる。土地バブルの頃は貸付て貸付先が土地を買って返済出来なければ買った土地を銀行が手にするって方法で貸付金に利子を乗せて回収出来た。実はこの土地投資人に湯水のように金を貸し付けたのがバブルの始まりでありバブルがはじけて貸付金の弁済が出来ないほど価値の下がった土地だけが残ったのだ。
10倍規制で資本金の10倍以上の貸付が規制されると、ノンバンクを利用して、ここへの迂回融資で貸し続けたのだ、一部には銀行の貸付金が不良債権に計上されないように系列のノンバンクから利子分を迂回融資して帳簿のつじつまを合わせたりしていたらしい。
で、昨今の銀行の個人融資には担保が無い。これは画期的と思われるかもしれないが、実はここにサラ金業者のノウハウが生かされている。つまり銀行(系)から金を借りる場合「保証委託約款」の契約書を入れる。これは金を借りた者が返済が滞った時に銀行(系)から債権が保証委託された会社に移ることを合意する契約だ。一見本人には関係ないように見えるが、この契約を結ぶことにより、銀行(系)の会社は
1)貸付前に返済の保証を保証委託会社が行う(見栄え良く「個人保証を行う」となっているが)。
2)保証委託会社は銀行(系)から個人保証手数料を入手する。
で、貸付が行われる。高い金利だがとにかく返済出来た場合はこの後、何も起こらない。もちろん金に困って金を借りる人間に有り余る金があるはずも無く、万が一返済が滞ると。
3)保証委託会社は銀行(系)に全額返済すると共に銀行(系)から債務を買い取る。
実はこの3)は契約時に借りた本人も含めて合意事項なのだから自動的に行われる。
で、返済が滞ると銀行(系)もクソも無く、保証委託会社からの借金に切り替わるのだ。その保証委託会社にどのような会社が名を連ねているか、先ほどの資料をもう一度見てもらいたい。
ちなみに三洋信販のグループには
三洋証券債権回収株式会社なんてのが有る。
「銀行が個人へ融資」にはほど遠い実体なのだ
こりゃ低金利の時代でも金利が高いはずだ。中間に入ることにより利益を上げている元祖サラ金に寺銭を払ってまでやっても銀行に利益は少ないのではないだろうか。ただし、ローリスク・ローリタンは金融の基本原則ではあるが。
結局、銀行(系)だから金利が安い、安心(何が安心か解らないが)、のイメージで借金を煽るだけの事ではないか。また、借りた金には金利が付き返済総額は時間の関数で増大するってことを誰も教えていない。せめて、情報教育時代なんだからエクセルで「東京三菱キャッシングで100万円借りて、毎月1万円返済したら返済完了は何時か」なんてのをやっておいてもらいたい。
ってことで今ちょっとエクセルで計算したんだけど、100万円で年利8%で毎月1万円返済だと13年と9ヶ月、利息だけで65万円払うことになるんですね(月次金利計算の場合)
低金利時代の収益向上策なのか、サラ金優遇策なのか、昨今の銀行(系)の広告を見ていると、そこに消費者(顧客)が不在なのがよく分かる。顧客不在では経営が成り立たないのは多くの実例があるのだが、銀行はこれに学んでいない。
とにかく給料日に完済できない借金はしないことだ。