駒大苫小牧、市民は街ぐるみで責任を果たせ

出場辞退はいさぎよいが
 不祥事ってのはトカゲのシッポ切りで誰かに責任を負わせて終了させる。民主党の偽電子メール事件と今回の駒大苫小牧の甲子園出場辞退を対比する向きもあるが、全然本質が違う。民主党の永田議員は「間違いとキチガイは何処にでも居る」って危機管理の問題で、駒大苫小牧の甲子園出場辞退は安全管理の問題だ。
 危機管理は「ありえない事態への対処」で、事態は想定外で起こる。
安全管理は「想定内」で「予測可能な範囲で起こった事態」になる。駒大苫小牧の甲子園出場辞退の流れは想定内の予測可能な範囲での事件を予め予測せず防げなかった。
 しかも、その影響は当事者では無く後輩である春の選抜出場を決めた選手達の出場辞退に繋がった行為で、連帯責任って集団主義の矛盾を感じる向きもあるが、これは苫小牧市を含めた地域の集団責任で、1個人や飲酒した生徒にのみ責任があるのでは無い。地域の構造的欠陥が招いた事件って視点をマスコミは持ってもらいたい。
 そもそも、夏の暴力事件の真相究明をうやむやにした結果が安全管理の手ぬるさを招き本来「想定内」であったことすら漏れて結局、甲子園出場辞退に繋がったって去年の夏に遡って再発防止を考える必要があるだろう。
そもそも「高校生が酒を飲んで騒いでいる」と警察に連絡した人間は誰なのか。これも重要だ。
 駒大苫小牧の野球部を好ましくないと思う層が苫小牧市に居たのは何故なのか。夏の甲子園のレギュラーなら顔を知られているだろう。それを決め打ちして警察に通報したってことで、明らかに狙われていたって事態を認識し、そこから再建のスタートすべきだろう。

夏の不祥事はうやむやに終わった
 僕が把握している事態と高野連、駒大苫小牧の取った対応は180度違う。そもそも2005年の夏の甲子園で開幕2日前の辞退高校である明徳義塾の事件を追ってみよう。この事件は表面的には「生徒の喫煙と暴力事件」となっているが暴力事件をもみ消そうと金で解決をはかった(実際に払った)行為が一番問題なのだ。ここはマスコミにあまり登場しない。高野連にばれないように隠匿したって行為が一番の原因で、その後に喫煙が付いてきた。
 この内情を知った駒大苫小牧の野球部に子供をもつ父親が甲子園で快進撃を続ける駒大苫小牧に暴力の事実(体育会系としては「想定内」なのだが)の公表と「示談」を持ち込んだ(確定的言葉を使わないが、明徳義塾の先例を意識していたらしい。噂では具体的な示談金額を明示したらしい(と、噂の範囲にしておく))。
唯一批判的な記事が朝日新聞にあるが、これも何時まで掲載されるか不明だ。  これへの対処は「危機管理」なのだが、駒大苫小牧は対応に一貫性が無かった。せめて甲子園の試合が終わるまでとか優柔不断な対応を繰り返した。で父親は週刊誌に情報を持ち込んで優勝決定後の週刊誌での暴露記事となってしまった。
 その後の対応も優柔不断で事実関係の公表もされず、せいぜい2chでも内部告発程度の情報しか流れなかった。すごいのは地元の北海道新聞社がまったくこの件に関して報道の黙殺を行ったことだろう。北海道新聞は全ての事実を知っていたと思われる。それで四面楚歌になって書けなかったのではと推測してるが。
 「危機管理」は初動が大切。そのタイミングを失うと回復不能なスパイラルに陥るのは世の東西を問わず繰り返されてきた。「想定外」なのだから弁護士と相談して恐喝で警察に届け出ていれば白黒はっきりしただろう。スリッパで2発殴ったとか10発だったかもしれないなんて優柔不断な情報開示が取り返せない迅速な真実の開示を阻んでしまったのだ。
 その後、駒大苫小牧野球部はうやむやな問題解決にも関わらず快進撃を続けるが、一番大切な「毅然とした態度」「不正は頑として受け入れない」ってリーダ(学校長)の態度表明が無くチームとしては暴走で首位を走る精神的な支えの無い状態だったのだろいう。

高校生に酒を飲ませた店の処分は
 未成年者の飲酒は本人では無く幇助した成年側が罪になる。フジのアナウンサーがNEWSのメンバーと同席して飲酒を止めさせなかったことは立派な未成年者飲酒禁止法違反なのだ。書類送検されるかどうか話題になったように。
 今回「苫小牧駅前」としか報道されてないが、映像から、つぼ八の苫小牧駅前店は間違いない。その店でビールやチューハイを出した責任はきっちり処分されるのだろうか。報道からは営業停止等の情報は伝わってこない。地域としての未成年者の飲酒や喫煙に断固とした態度をとらない大人が居るのでは駄目だ。だから、青少年がまともに育たない。
 すでに大人はいいかげんな対応しかしないって感覚が高校生にしみついているとしたら、これは大きな地域社会の問題だ。野球さえ勝ってれば誰も我々に文句を言わない。天下を取ったら何をやっても良い、みたいな自律していない子供を育てたのだから。
 正直、責任転嫁では無く「高校生に酒は出せない」って毅然とした態度が店長にあれば今回の事件は防げた。それは飲食店としてのコンプライアンンスだ。成年としてのしかも営業責任者の店長が「高校生とは思わなかった」なんてコメントを出すようでは、同じく優柔不断な大人の見本がここにも居たってことだ。
 ファミレスなどでは疑わしきは身分証明書の提示を求める。
 常識で考えても地元苫小牧で営業してる店の店長が、夏の甲子園で優勝した野球部のレギュラーが5人居る14人の集団を「高校生とは思わなかった」のコメントは無いだろう。それを取材して言ったまま紙面にのせる朝日新聞ってのは常識が無い。ここにもなぁなぁで済ます大人が居るわけだ。
 地域ぐるみで、何処かおかしいぞって気がつく感性を失っているのか。
 情報が入ったので追加しておくけど、「つぼ八苫小牧駅前店」らしい。「つぼ八」の高校生への酒の提供は日常化している。我が家の近くの「つぼ八」でも高校生に平気で酒を出している。「つぼ八」のコンプライアンスはどうなっているんだ!
と、ここから追加記事
「つぼ八」そのものはフランチャイズ方式で、今回の苫小牧の「つば八」を実質的に経営するのは北海道の美唄市にある「ワタナベエキスプレスコーポレーション」だ。有限会社で残念ながらホームページは無いようだ。美唄・赤平・芦別・富良野でつぼ八を経営している。
 今回、北海道警察は4月20日になって、つぼ八苫小牧店の従業員5名と上記の「ワタナベエキスプレスコーポレーション」を風俗法違反(二十歳未満の者に対する酒類提供)で書類送検した。
 事件発生が3月1日の夜だから、なんでこんなに時間がかかるのか。本来、再発防止の観点に立てば、卒業・入学のシーズンに向けて迅速な対応が必要ではないか。結局、噂が忘れ去られて頃に書類送検しても抑止的効果は無い。まさに、うやむやに終わったって感じだ。

全て、大人の責任を明示すべき
 飲酒や喫煙した高校生が悪くないとは言わない。それどころか、飲酒や喫煙した責任をとってもらいたい。ボランティアで償うのか少年院に入るのか各自が考えればよい。しかし、駒大苫小牧が春の選抜で甲子園に出られないのは、この高校生が招いた事態では無いと僕は考える。
 地域が社会が成熟してないと指摘しておきたい。絶対駒大苫小牧の野球部の選手と解って酒を出す店。うやむやなままで問題解決とする学校側。面と向かって高校生を叱れない大人。このあたりの事実関係をしっかり情報開示して教訓としなければこれからも第二、第三の駒大苫小牧はあとを絶たない。
 駒大苫小牧の夏春連覇の道(夢)を閉ざしたのは地域の大人達なのだから。
 飲酒した高校生に全責任を覆いかぶせて、自分達は無関係と思っている苫小牧や周辺、ひいては北海道、日本の大人たちよ。実は子供は大人社会の鏡なのだ。我々の内なる「ホリエモン的な」ものが、地域を、社会をおかしくしてる。いま気が付けばまだ戻せるだろう。まずは、「つぼ八苫小牧駅前店」のコンプライアンスを「つぼ八」に説明を求めるあたりから社会を正常に戻していこうか。

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