ウィニーの被害は知識不足が招いたハイテク犯罪
正確に情報が伝わっていない
自民党の安倍幹事長が「ウィニーを使わないように」って会見するのも前代未聞だが、暴露ウィルスはウィニーに限ったことでは無く、山田オルタナティブ(ネィティブ)やshareについても同様に「使わないように」と言うつもりだろうか。これではイタチゴッコだ。必要な情報は「いかに自分のパソコンとその情報を扱うかを正しく知ること」だろう。
情報化社会は先端技術が多用されるので、技術の変革のフィールドでは様々な社会的に確立されていない事象が入り込む。ブロードバンドが普及するとともに暴露ウイルスは蔓延する。旧来のダイヤルアップでは不用意に回線接続に行くのでおかしいと直ぐ気がつく。常時接続でインターネットに接続してるかどうかの感覚も無い状態でネットワーク型のウイルスは密かに蔓延していく環境になる。
ウィニー(winny)が暴露ウィルスに感染するとパソコン内部の情報が流出する。とまで理解されて、ウィニー(winny)だけだと心配は無いような事が言われてるが、正確では無い。暴露ウィルスが流出させたファイルのほとんどに暴露ウィルス自身が埋め込まれている。つまり、ウィルス対策を行わないでウィニー(winny)で暴露された情報を密かに(笑い)入手して、解凍した段階で暴露ウィルスに感染してしまう。
ある種、安倍官房長官の「ウィニーを使わないように」は正しいのだが、そこまで知ってて発言してるとも思えないのだが。
つまり、興味本位でウィニー(winny)をインストールして暴露情報を入手していると自らミイラ取りがミイラになる結果を招く。最低限ウィルス対策ソフトを入れたパソコンで対応すべきだろう。また、ウィニー(winny)の挙動も監視する必要がある。ウィニー(winny)起動時のログでファイルのオープンに失敗してるかどうかもチェック・ポイントだ。そもそも、自分のパソコンのウィニー(winny)のフォルダーに3つのフォルダー以外が存在するとかなり危ない。
ウィルス対策ソフトも頻繁に出てくる亜種への対応は後手後手に回るので、完全に対応できるものでは無いと肝に銘じておくべきだろう。
パソコンに関する知識のバラツキ
小学校、中学校、高校で情報教育のカリキュラムが導入されているが、そもそも先に述べたように変革の激しい分野で、教育としてのコンピュータ利用が何処まで実践的になれるかは、はなはだ疑問がある。
大学で情報処理演習の講義を持っているが、数年前までWin95で教えざるを得なかった。学生は自宅のパソコンで課題を作成し持ち込むが、そのファイルが開けないのだ。また、就職に有利だからとofficeの講習会を学内で行っているが、学生が卒業する頃には、そのofficeのヴァージョンでは通用しないって現実を理解していない。情報教育の基本は理解して試験を行うようなものでは無く、技術に好奇心を持ち、世の中の動向に関心を持ち、一人で使うパソコンはその所有者の自己責任が求められることを教えることだ。小手先のパソコン教室のような授業がおそらく蔓延してるのだろう。
最近の傾向だが、インタネするためにパソコンを使っているので、マウス操作は出来るがキーボード入力がほとんど出来ない学生が増えている。前はそこそこキーボードを使える学生しかパソコンを使わなかったので、タッチタイピングに近いキーボード入力が出来たが、マウスからパソコンを使い始めた学生はまるで我流のキーボード入力をする。しかも、これでは職場で仕事で文書入力をしたときに腱鞘炎必須である。
せめて、中学校、高校で普遍のタッチタイピングへの挑戦を学習させるべきだ。身に着けたタッチタイピングは一生使えるのだから。その基本を教えないで、パソコンは面白いぞみたいに生徒をインタネの世界で引き回し、自己責任に必要な知識を教えないのでは情報教育は税金の無駄使いでしか無い。
ウィニー(winny)事件が示唆するもの
パソコンの普及に教育が追いついていない現状が露呈したのだろう。仕事でパソコンを使わなくてはならないのに私物パソコンしか職場に無い。期日までに仕事を上げなければならないので自宅に仕事のデータを持ち帰る。
個人情報保護法が完全施行されてから1年が経つのに職場での情報の取り扱いに関して教育がなされていない。警察から情報がウィニー(winny)によって流出するなんてのは前代未聞で、そもそも著作権侵害幇助で47k氏を逮捕したのは警察自身だ。当然、、使わないように通達を徹底させる処置がとられなければならない。
このような組織的取り組みの遅れは顕著だが、組織的取り組みを遅らせるのが教育の不足に原因を求めることができる。
情報社会で個々の情報機器が正しく使われるにはどのような配慮が必要なのか、その啓蒙が為されていない。マスコミも「漏洩した、漏洩した」と騒ぐだけで防止策については「ウィニー(winny)を使わない」だけだ。先に述べたようにP2Pソフト全体についてメリット(多少は有るかな)とデメリットを広報する機能をマスコミは果たすべきだ。
個人情報保護への対応って記事のなかで「新クライアントの利用」って書いてあるけど「シン・クラインアント」だよね。そいったあたりから勉強不測なマスコミには正しく情報を伝えてくれって要望するほうが無理があるのかもしれない。
じゃぁ、お膝元のIPAはどのような警告をしてるか、
Winnyによる情報漏えいを防止するためにを見ると良くわかる。良くわかるってのは「対策」を全部実行したらパソコンが使えなくなるってこと。
パソコンのメリット、デメリットを良く理解することが一番大切。会社としてはLANやルータで情報の流出を防ぐとともに、やはり社員教育が情報流出防止の要だってことを経営層が理解しなくては情報漏えいは防げない。
ウィルス騒動は今に始まったことでは無い
警察も「サイバーテロ対策協議会」なんてのを年一回開いていては対応が後手後手にまわるだろう。そもそも現在の法律ではウイルスを作成しても罪にならない。ネットワーク社会の破壊行為であるにも関わらず、刑事罰を課すことが出来ない。
法律的に何を「ウイルス」と呼ぶか定義ができないのだ。いわゆるアドオン・ユーティリティと何処が違うのか、コンピュータの専門家が法曹界に少ないのと、立法府である国会議員に「まったく」居ないのが大きい要因なのだが。
サイバーテロに対応することが本当に出来るのか。
既に、これだけ暴露ウィルスが蔓延して社会的被害を撒き散らしてるのに「ウィニー(winny)を使わないようにしよう」以外の手の撃ちようがない。しまいには、ISPにパケットフィルターを要請するなんて非常識なインタネへの攻撃を行おうとしてる。
インターネットは永遠に実験場なのだ。そのフィールドで新たなビジネスモデルや技術が生まれてくる。ニムダが蔓延したときに技術の無い団体ではサーバーをインハウスなりレンタルに替えて、自社サーバーを廃止した。それはそれで、管理出来てないサーバをネットから除外する効果があった。
47K氏の控訴を止めて暴露ウィルス対策を行ったウィニー(winny)を配布させることが最も経済的で合理的で民主的だと思うが。