苫小牧市の全体に「たるみ」があるのかも
うやむやで終わった体質が問題
駒大苫小牧が春の甲子園大会を辞退したのは野球部の卒業生達が「つぼ八苫小牧駅前店」で飲酒した事件が発覚したから。この時、飲ませた大人の責任こそが社会的に糾弾されるべきで、これよりも甲子園出場辞退って社会的制裁を優先してはならないと書いた。それから3ヶ月もしないで、現役の苫小牧市の市長が、不祥事行為で辞職に追い込まれ、なおかつ警察はこの市長を逮捕するって事態が発生した。
問題の桜井苫小牧元市長は、5月上旬に市内の飲食店で飲食店の女性の体を触ったってことで女性から告訴すると訴えられていた。このあたり表のニュースに出ないのだけれど、市長は示談にしようと金額を提示したらしい、100万円が500万円までエスカレートしたが、女性は示談に応じないようなので5月18日に22日に辞表を提出する旨を市議会に通告した。女性は5月18日に刑事告発を行った。
ま、直ぐに金で解決するって風潮は先の駒大苫小牧の例にも似ているが、同じように不可解なのが18日に行われた市長の会見の席に婦人が同席したこと。
会見で婦人はこの飲食店の女性に「夫の話し相手になってくれて感謝している」とか「夜中にその女性から何度も呼び出された」、「夫との関係を疑っていた」等々市長の辞任会見にはそぐわない婦人の意思表明みたいな記者会見。
気づいた人は居たと思うが、これも弁護士の伊藤秀子氏(あの北海道知事選挙に立候補したことのある)の演出だったのではと思う。そもそも、当事者能力が欠如してる苫小牧市長が伊藤秀子氏に全面的にお任せって会見を行うから、あんな裁判前提の記者会見になってしまう。奥さんが話している間、市長はまったくの無言で、なんとも恥の上塗りをしてしまった。
実は桜井苫小牧市長は自民党の推薦で2003年4月に初当選している。2004年3月に市議会から「指導性、主体性、資質、信念が欠落」と辞職勧告決議案を出されしかも21:11の賛成多数で可決してる。
警察の不祥事での逮捕もおかしい
6月22日になって苫小牧署は桜井忠容疑者(もう、市長じゃないのでこの名称になる)を逮捕した。しかしも、苫小牧の元市長の自宅、札幌の自宅、車と家宅捜索している。これって、何?
東京検察庁特捜の得意技「別件逮捕」じゃないの?
今後、何が出てくるのか、ま、弁護士の伊藤秀子氏だって全容を知らないのだからまた上滑りな発言で品位を疑わせる行動が繰り返されるかもしれない。それにしても、逮捕は異常だ。証拠隠滅の恐れなんて無いし、逃亡の恐れも無いのに、家宅捜索がやりたいとしか思えない逮捕劇なのだが。
しかもこの桜井容疑者がキャラなのは、札幌での記者会見で「女性とは以前から服の上から下半身を触りあう仲」と発言をしていること。しかも、弁護士に言われたからなのか触った部位が二転三転してる。ま、何処に触ろうが罪は罪な訳で、まったく市議会の辞職勧告が解る気がする。
女性飲食店主45歳、桜井忠容疑者52歳。
問題は、辞職勧告まで決議した市議会の責任
先にも書いたけれど、苫小牧市全体が「なぁなぁ」で物事を済ます「たるみ」があると思う。その風潮は2005年の夏の甲子園大会連覇の駒大苫小牧の野球部長の暴力事件の処理の仕方で既に提起させてもらった。市長に辞職勧告したのなら辞職に向けて嫌味で可決するだけでは無く、実際に市民に訴えてリコール運動を行う手もある。そもそも、辞職勧告案を更に進めて地方自治法に規定された不信任決議案を提出する方法もある。
出席議員の3/4の賛成で可決されれば市議会解散か市長辞任になる。
不信任決議案を可決したから責任は果たしたみたいな責任論は180度違う。ダラダラと2年間(結果としては2年だが実質このまま続けたら3年間)市政を任せてきた責任は回避できない。
また、推薦した自民党にも責任があるが、桜井容疑者は元鳩山由紀夫衆議院議員の秘書を1984年4月〜1990年6月まで「東洋実業からの出向」で勤めていた。この時に自民党筋との関係が出来たんだろうが、当の鳩山由紀夫氏は現在は民主党の幹事長だ。共に責任については一言のコメントも無い。(が、鳩山由紀夫メルマガで釈明があった(6/30)。自民党議員時代の秘書で鳩山由紀夫氏が自民党を離党してさきがけを立ちあげた時に付いてこなかったそうだ。そして自民党推薦で市長に立候補し当選した。加えて鳩山由紀夫メルマガでは新市長に望まれる姿勢は「千歳市との合併が出来る人」と述べている。)
21票で可決した辞職勧告が25票で可決する不信任決議案とどう違うのか。結局、市長の判断一任の辞職勧告でお茶を濁して市政への責任を苫小牧市市議会は果たしてないのでは。
新聞に「問題がある市長だから当然だ」みたいなコメントを寄せている市議会議員が居るが、飲食店の女性経営者の下半身お触り以下の力しか無い辞職勧告がそんなに鬼の首取ったような成果では無いことを肝に命じるべきだろう。
別に苫小牧市民に限ったことでは無い
苫小牧市は北海道の市町村の中で市民の平均年齢が一番若い市町村である。その意味で企業城下町で異動も多く町に活気はあるが歴史に乏しい面がある。その中で一番大切なのは自分を律するって姿勢だろう。不正を正すって姿勢が無くては良い社会は作れない。あんたがやるなら俺もやる的な地域共同体では、まともな子供が育たないってことは前にも書いた。
ここで、過剰な警察の逮捕劇が市政がらみの巨悪にたどり着くなら市役所を中心とした地域共同体の改革につながるのだが、警察も地域共同体であれば、何も出てこないだろう。現に駒大苫小牧の卒業生に酒を飲ませた「つぼ八苫小牧駅前店」は従業員5名と経営する美唄の会社の書類送検だけで終わり。
100万円で示談にしてもみ消すとか、いやいや500万円を関連団体に振り込めとか、やはり金で片を付けるような発想は臭いものに蓋をするだけだ。根本原因が何処にあるのか、それを考えると表面は不祥事を起こした市長の問題に見えるが、その市長の日ごろの能力不足に起因して被害を被った苫小牧市、苫小牧市民に対して誰かが責任を負わなければならない。責任を負うってのは「金払え」(笑い)ってんでなくて、抜本的対処を行う責任だ。
今度の市長選も始まるので具体的な名前は書かないが、元市長の再出馬なんてとんでも無い話。多選は政治的緊張感が無くなる典型、だから無能な桜井氏でも勝てた。民主党もとんだ亡霊を担ぎ出したものだ。
まずは、出直し市長選で苫小牧市民の自律度が試されるだろう。元市長の回帰では時計を逆転させる。