小泉流「3者3両損」ですかぁ

ま、誤植なんだろうけど
 産経新聞のインターネット版に乗っていた鈴木宗男議員の会見記事。田中真紀子外相と自分と小泉順一郎首相を指して、「3者3両損でしょうな」ってのは示唆に富んでいる。徹夜の更迭騒ぎの記事なので各社誤植が多いのはしょうがないのか。
 国会で追求されて重家中東・アジア局長を引っぱり出すは、野上事務次官を引っぱり出すは、そのそも適切なルールに乗っ取らず予算委員会を修羅場にしたのは議事運営の問題だろう。証人喚問したければそのような手続きを踏めば良い。もっと大切なのはNGOの大西氏が27日の「サンデープロジェクト」で述べた内容の再確認であり、調査報告を行うならば、大西氏を含めた「外務省に鈴木宗男の圧力が有ったのか」に関してでなければならない。
 しかるに、予算委員会で「言った言わない論議」のみ終始したのは攻める民主党も重心がずれている。どちらかと言うと田中真紀子外相と組んで外務省をやっつける桃太郎気取りが目立っただけで、ことの本質への追い込みが弱い。
 例えば重家局長に「鈴木宗男議員からの圧力は有ったのか」と聞けば良いのに「田中真紀子外相は特定の国会意義員の名前が報告されたと言うが本当か」みたいな攻め方をしている。順番としては1)「NGOの参加拒否は外務省の判断」との答弁を引き出し2)では、田中真紀子外相が外務省の判断を決定するのだが、外相は逆に参加をさせろと言った。答弁が違うじゃないか。と攻める。3)では、NGOの大西総代表が電話で「鈴木宗男さんが怒ってる」と外務省幹部から言われたってのは鈴木宗男議員をダシに使ったのかと攻める。4)「大西さんにそのように言った覚えは無い」と帰ってくれば大西氏を証人喚問。ってあたりが野党としての民主党の方法だろう。
あまりにも田中真紀子外相と組んで外務省痛めが過ぎたので自民党も脅威を感じて3者更迭(ま、鈴木議員に対して更迭は出来ない、型式は本人の辞任なのだが)に至ったのだろう。

「涙は女の最大の武器だから」発言
 ま、多くの女性が「泣くことは無い」との意見が多いが、仕事をした経験が浅いからだろう。田中真紀子外相の涙は「仕事を精一杯やっているのに何故、助けるどころか、攻撃されなければならないのか」と自民党の一部に向けられた悔し涙なのだ。そこまで追いつめると「窮鼠猫を咬む」に精神状態が近づいてくる。それに付け入ったのが民主党の質問なのだ。
 当初「外務省内部の問題。外務省で話し合って欲しい」なんて脳天気に構えていたから更迭なんて方針を突きつけられた小泉純一郎首相ってのは本当首相の器ではなくてヒョーロンカなんだと解る。もちろん、突きつけたのは森前首相であり参議院議員会長の青木氏である。これ以上田中真紀子外相を追い込むと何をするか解らない。そんな危惧もあっただろう。文字道理の「差し違え」をやられたらたまらない。そこで「3者3両(笑い)損」となるわけだ。合わせて9両、まるまる小泉純一郎の持ち出しだ。
 一番損をしたのは小泉純一郎首相だろう。「人気」が唯一の支援勢力だったのだが、ここで「涙は女の...」発言で多くの女性は小泉を見限るだろう。そもそも田中真紀子外相の人気にリンケージした支持率の高さなのだから女性の多くが離れ半分になるのは明らかだ。そして。唯一の武器である「国民の高い支持率」を失って小泉純一郎は改革が出来るのか、抵抗勢力に迎合しなければなにも前に進まなくなるのではないか。
 総て身から出た錆、ヒョーロン気取りの発言が原因である。口は災いの元である。

政界再編にも通じる今回の更迭劇
 田中真紀子外相の身の振り方は割と楽だと思う。今まで溜まった暴言を一気に吹き出すことが出来る。休火山田中真紀子議員の噴火である。本人がどのように考えているか不明なままこの「田中火山噴火」はちゃくちゃくと政界の再編成を進める。国民に解りやすいってのが今の時代一番求められてる政治家の説明責任なのだ。「生みの親に斬りかかるようではあのベートベンのおっちゃんも駄目だね」とか「独身お気楽な人間に日本を任せて将来は無いでしょう」とか、バンバン噴火して来る可能性が高い。
 議員不適格なんて自民党内部から出よう物なら「じゃぁ、与党から出ようじゃない。野党に加わる」とか言いだし、加藤紘一氏と伴に民主党か自由党に合流するかもしれない。離党届けを出した後の記者会見では、「政権与党の自民党を去りますが、みなさんに一言残しておきたい。アイ・シャル・リターン」なんてパフォーマンスするかもしれない。
 なんせ、国民の支持(もしくは期待)は政治家の武器として大きい。次期選挙での当選に苦悩する必要が無いのだから活動も自由にやれる。そもそも田中党を作って比例区で何人も当選させることができる力になるのだから。

大橋巨泉が議員辞職かぁ
 なんだ、取って付けたように(笑い)。
政治>結局、任期途中で辞める「大橋巨泉」で書いたように立候補時点から危惧されていた事が現実になった。ま、予想が的中したと個人的には喜べば良いのかもしれないが。
 菅直人氏も何の政治手腕も無い大橋巨泉氏を口説き落として立候補させ何をしたかったのか。結局、選挙の票集めだけで後は使い捨てだったのだろうか、いや、大橋巨泉氏の高齢から考えるととても飼い慣らせる相手ではなかったのだ。
 「戦争を経験した者として、有事立法には反対だ」なんて発言はアナクロ以外のなにものでも無い。現代社会の構造が解ってない。頭の中はいまだ戦後闇市なのだ。かけそば1杯50円の感覚なんじゃないだろうか。そんな老兵を引っぱり出すほど民主党は人材不足なのか。
パフォーマンスが過ぎたってことだろうか。それにしても横路孝弘氏は残るのね(笑い)。

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2002.01.30 Mint