地球温暖化は災害増加と政治は知っているか

気温が上がる事では無い
 前にも書いたが国会で大橋巨泉議員の最初で最後の小泉純一郎首相への質問が「最近冬でも湖が凍らないって話を聞きました。地球温暖化を首相はどう考えているのか」ってまったく生活感無い抽象論だった。
 そもそも地球温暖化が「気温が上がること」って認識しか持たれないのはマスコミの不勉強に起因する。
地球は宇宙の中に浮かぶ大気に包まれた星で、大気が宇宙と地表の間に介在する故に地球のは閉じた空間となっている。月には大気が無く、自転周期と公転周期が同じなので約28日周期で太陽に当たっている時期と当たらない時期を繰り替えす。その時の地面の温度の差は激しい。太陽の光によって暖められた地表(月表?)が裏側に回るとそのエネルギー(熱)は宇宙空間に逃げていく。
 地球では大気の循環により、植物が酸素を放出していない地域でも酸素が流通するし気温の変動も太陽光に依存するが、それでも月や火星よりゆるやかだ。
 地球が人類の文化を宿すには物理学的な偶然が山ほど積み重なってるように見える。だた、逆に数が多ければ宇宙のなかで偶然が山ほど積み重なってる星は決して少なくないって考え方もある。
 宇宙の中で元素では無く分子レベルで考えると「水」が有ると無いでは全然星の様相が変わってくる。で、「水」が固体で存在するのか液体で存在するのか気体(水蒸気)で存在するのかによって星の様相が変わってくる。
 実は地球は「水」が液体として存在する星で、分子としての「水(H2O)」は地球に住む生命を育む大きな物理的原動力だ。
 丸暗記教育の中で1ccの氷が水になるには80カロリーが必要だってことは暗記しているだろう。本来0℃の水を80℃にするエネルギーが1ccの氷を水にするために必要なのだ。逆に水は氷になるには沢山エネルギー放出する。つまり、なかなか氷になり難いし、一度氷になるとなかなか水にはなりがたい。水蒸気になるにも多くのエネルギーを必要とする。つまり、水は今、液体であれば今後も液体であり続ける性質をエネルギーバランス上持っている物質だ。
 これが太陽系で地球だけが知的生命体を育んだ(と、言って良いかどうか気になるが)原動力だ。
 そのバランスが崩れていく、それも人類の生存によってってのが昨今の「地球温暖化」論議だ。ただ、僕はガイア理論の信奉者なので「地球が温暖化するのはそこに住む人類の環境破壊では無くて自らの生存への環境改善」と考えてる。
 地球温暖化ってのは地球環境の変化なのだ。具体的には閉じたエネルギー系の中で大気が担うエネルギー割合が増えるのが地球温暖化。化石燃料を燃やし古代地層に閉じ込めた炭素を二酸化炭素として地層から大気に移す。それにより発生した熱を大気に放出する。加えて太陽からの入りと出のバランスが温暖化ガスである二酸化炭素を筆頭に各種物質により蓄積の方向に傾く。つまり大気の持つエネルギーが増える。それが地球温暖化だ。大気のエネルギーが増えるってことは気象がダイナミックになり、台風などに起因する雨が大量になり洪水災害の頻度が増す方向になる。

地震に備える予算配分ばかりは間違い
 最近また地震ブームだ。西南海地震対策とか、地震が起きる確率を数字で示して地震対策の予算を積み上げている。行政の予算獲得競争に必ず出てくるのが「道路」「新幹線」だ。8月を過ぎると予算獲得に向けたプロバガンダとそれに同調したマスコミ報道が目に付く。ま、本来は365日予算検討なのだが、「季節もの」の話題も多いことはいなめない。
 公共事業が攻撃の的なので、それを回避する役人の作文が「地震対策」なのだってことを国民は見破らなくてはいけない。NHKみたいに尻馬に乗って「西南海地震に備える」みたいな報道を朝の報道番組で流しているのは御用機関のそしりを免れない。
 基本的に公共事業を地震対策の名目に置き換える場合では無い。地球温暖化に対して京都議定書にコダワル前に実害である災害に備えるのが行政の責務だろう。地球温暖化によって台風を筆頭に雨風の被害が今後増大する。100年に一度の豪雨が毎年繰り返される、それが地球温暖化なのだ。大気が過去と比べられないほどのエネルギーを貯えた状況、それが「地球温暖化」だ。
 先に書いたように地球は宇宙から見たら閉じた空間だ。だから化石燃料として閉じ込められたエネルギーを取り出す(その効率は最高でも30%程度、残りは大気に放出される)と大気にそのエネルギーを移すことになる。そして温暖化ガスで包むことにより太陽のエネルギーを貯えてしまい、地球全体で大気が持つエネルギーが増える。これが見た目に大気の温度上昇に現われてくるので「温暖化」と呼ばれるが、実際は大気のエネルギーの増大と解釈しなければ大局的対策小局的対策の両面が見えてこない。

災害で死なないための工夫が必要
 大気が今まで以上にエネルギーを含むと気温が上がるってことだけでは無くて、気候変動が旧来よりダイナミックになる。例えば温暖だから猛暑だけでは無く極寒も局地的に現われてくる。暑さ寒さ以外にも降雨、台風も今まで以上にダイナミックになる。
 旧来から日本で生命財産を脅かす災害と言えば台風による洪水と地震、加えて人為的な要因であるが火災であった。毎年1万人が死亡する交通事故も人為的な災害だ。正確な死傷者数をはじき出せないが原子力発電による被爆も災害の一部だろう。
因果関係の証明は難しいが地球温暖化による旧来の災害(自然災害)の威力が大きくなることを念頭に置いておくべきだろう。少し強い雨が降っても「昔もこれくらい降った」と考えないことだ。地球温暖化によって昔は無かった規模で天候は動いているのだから。
 2003年の秋に北海道の日高地方で豪雨による被害が起こった。「かつてない豪雨」と表現させれるが、これが「かつてない豪雨」になったのも地球温暖化は無関係では無い。災害に備える姿勢として「地球は温暖化している。気候変動の規模が大きくなっている。だから、以前は考えられなかった降水量もあるのだ」と考える意識を防災に携わる人々は持つべきだ。

戦後59年「100年に一度」が沢山出てくる
 情報化が進むと今まで知り得なかった事柄も伝わってくる。視野が広がると好意的に解釈しても良いのだが、別な面から考えると情報過多により真実を見失う機会が増えたとも言える。
 例えばアメダスの完備により今まで測定されなかった地域の気温データが入手される。そこに局地的ではあるが地域の最高気温が今までの記録を更新した、なんて情報が混じる。「今回、初めて測定地点に加わった」って部分は報道では省略される。
 地震報道でも震度6強がここ10年で多発している。これは地震が強力になったのでは無い。各地の測候所で体感によって決めていた震度が測候所単位から市町村単位に拡充されて、より震源地に近い所で測定されるので震度が強く測定されるようになった。地震のダイナミックさが増したのでは無い。
 では、情報洪水の中で地球温暖化を何によって実感すれば良いかと言えば、降雨による洪水災害だと思う。雨は地球規模では大洋の水蒸気を含んだ大気が陸や上昇気流に出会って高度を得るとともに大気の温度が下がり飽和水蒸気の状態を保てず水滴になって地表に振りそそぐ現象だ。
 地球の平均気温が上がると海水面から大気に蒸発する水は多くなる。それを前線や台風が陸に運んでくる。その規模が年々大きくなる。それをマスコミは「xx年に一度の..」なんて伝える。
 これからの時代、特に雨(降水量)に気を張ってもらいたい。明らかに気候は不安定になるし、局地的な災害が増してくる。
防災の観点からは異常気象による天災って事で済ますのでは無く、備えるって観点で予算や体制を整備しなければならない。
 またも繰り返しになるが、災害対策は安全管理と危機管理の両面からの備えが必要だ。安全管理のために土建予算の確保もさることながら「国民の生命と財産を守る」ためには危機管理にも予算配分が必要なのだ。

地球温暖化と熱帯夜

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2003.12.28 Mint