民主党の信頼を失墜させた偽電子メール事件

ゴタゴタを収集できない民主党
 危機において当事者能力が欠如してるとしか思えない民主党。電子メールがガセネタなのは誰の目にも明らかだった、最も決定的なのは電子メールに表記されている日時のホリエモンの行動だろう。車で移動中であったのは当日の夕方のニュースで明らかになった。同時刻に電子メールを発信するのは不可能だった。アリバイの成立である。その時点で取り消し、謝罪を行えば良かったものを、「真贋は定かでない。口座情報もあるので国政調査権を発動して欲しい」と述べ、しかも日曜日のテレビ放映で国民に向かって電子メールが本物であるかのように述べ、水曜日には党首討論で国政調査権の発動を迫る。
 この一連の永田寿康議員による一人芝居が政党の党首を巻き込んだ騒動になったのは危機管理の甘さにある。そもそも危機管理を担当する民主党の鳩山幹事長がライブドアの投資組合問題に自民党議員がからんでいると述べて、その証拠の提示が出来ていない背景を抱えているので逃げ腰なのが原因だ。幹事長がタイミングを見て情報をコントロールする責務があるにも関わらず、秋の党首選挙に再度出馬する考えなのか、前原代表体制の足を引っ張ることに熱心で、職務を放棄しているとしか思えない。
そんな人間に幹事長を任せる前原代表もやれやれな奴なのだ。まして、国会対策委員長になり手が無くて渡部恒三議員が高齢をおして出てくるようでは今の民主党に二大政党の担い手になる迫力は感じられない。
失態の繰り返しによる自滅で、なにを行うにも説得力が不足するのが今の民主党だろう。

信頼回復が急務
 状況は菅直人元代表が「未納3兄弟」とはしゃいでいた時と同じ。今回の通常国会では3点セットで小泉純一郎首相を追い込むはずだったのだが、偽電子メール問題の処理を誤り自滅してしまった。対応が後手後手に回り、菅直人元代表の弁明テレビ局行脚に匹敵するバツの悪さを露呈した。
 素早く対応すべき事にも無駄に時間を浪費し、しまいには与党得意の病気入院手法まで使う。その決断力の無さは鳩山幹事長にも責任がある。にもかかわらず、自ら前面に出ることも無く党首に影響するからと永田議員の辞職も翻意させ、まったく国民などは眼中になく、秋の代表選挙までの時間稼ぎにしか見えない。
 処分する者は処分して、エリを正して再度失った信用を回復するしか無いだろう。懲罰委員会で永田議員が謝って終焉にしたかったようだが、情報の提供者の名前を明かせと言うのは自民党の深慮遠謀で西澤孝氏の弁護士を通して「永田議員に電子メールを渡した事実は無い」との連絡を事前に受け取っている。
その双方の意見が対立してる状況では真相解明には程遠い、だから西澤孝氏を証人喚問するってのが自民党の筋書きだ。
だが、懲罰委員会の目的とは程遠い行為ではないだろうか。永田議員が何故だまされてのかでは無くて、信憑性の低い情報で国会を混乱させた行為が懲罰委員会の懲罰の対象であって、何故、そんな嘘の電子メールを作成したか、その目的は何だったのかを西澤孝氏に問いただすのは筋違いだろう。
 そのあたりも民主党は思考停止状態で自民党の言いなりに「証人喚問しょう」なんて軽く同意している。そもそも、永田議員は騙された被害者とプロバガンダしたいのだろうか。そんな行為は自己保身で国民不在の状況に自らが堕ちていくのだと気がつかないのだろうか。

政治的な裏があるとすれば
 証人喚問しても真実は闇の中だろう。政治的な裏の動きがあるとして、最大のインパクトは小泉純一郎首相の即断による「ガセネタでしょう」だろう。自民党も怪文書の形でホリエモンの偽メールを入手してた。専門家に見せたかどうか不明だが、あの程度の塗りつぶしではまっさきにホリエモンの選挙運動に関わった関係者に同日同時刻にホリエモンが電子メールを使える状況にあったかどうか確認しただろう。その結果「電子メールは発信できない」との確証を得ていただろう。
 平沢議員が「私も入手してる」とした入手ルートは警察筋からだろう。検察が「そのような電子メールを把握していない」などと聞かれもしない事を話すのも事前に入手してたからに相違ない。
 偽電子メールを何に使いたかったのか、想定されるのは武部幹事長への誹謗中傷で得をする人間が作った、もしくは流通させたとなる。これは必ずしも民主党に渡す必要は無い、怪文書として流せばよいのだから。武部幹事長をゆさぶって得をするのは秋の総裁選挙に出馬予定の人間では安倍氏が最も近いだろう。
 実質的に安倍vs福田の構造の中で、小泉純一郎首相は福田氏側になるだろう。中国や韓国との関係修復のためにはタカ派の安倍氏よりも福田氏の人脈ルートに頼るほうが容易に関係修復ができる。それを阻止するためには、小泉純一郎首相の求心力を出来るだけ削いでおきたい。まずは、ホリエモン逮捕から一連の流れで武部幹事長をゆさぶる。そして、さらに先を読んで竹中平蔵氏にも怪文書を用意する。
 ま、こんなありえないようなことが政治の裏では起こっているのだろう。民主党が入手して国会で取り上げるなんて「想定外」なのかもしれない。

自己保身を教えるのか松下塾流か?
 永田議員の議員辞任は当然として、前原誠司民主党代表も辞任すべきだろう。秋まで延命しても秋の代表選挙では勝てないだろう。小沢一郎氏の最後の奉公の場を用意して出直すべきだろう。今代表選挙を行っても秋に行っても小沢一郎氏は出馬する。今回の失態は現体制の役員に相当な責任がある。今までの執行部経験者のたらい回しでは納まらない、とすると、起死回生の切り札は小沢一郎氏しか居ない。
 問題はもう一方の自民党の秋の総裁選挙だ。二大政党を目指すなら福田氏を想定しておくべきだろう。福田氏と渡り合えるのは菅直人氏でも鳩山由紀夫氏でも無い。若手には残念ながら対抗できる人材が居ない。
来年の参議院選挙を睨んで、早急に民主党の建て直しが出来る人間に道を譲るべきである。
 日本的な判断では責任を取って潔く辞職するってのは一番効果があるのだから。

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