韓流ドラマの完成度(トマト)

毎日GYAO漬けの生活
 なんとも無料ってのがうれしいのと、ADSLでも十分に視聴できるのでGYAO三昧の生活になっている。
 権利関係の調整だとかゴタゴタしている間に、韓流が国境を越えて上陸している。ほとんどの有名作品はGYAOで視聴できる。
 GYAOはここhttp://www.gyao.jp/。登録はIEでないと無理なので、注意を要する。
 で、配信が完全なビデオオンデマンドでは無くて、日替わりだったり二日日替わりだったり1週間替わりだったり作品によって公開期間が違う。
 おもにはまった作品は、トマト、サラン、冬のソナタ(原音、ダンシングクイーン版)なんかだが、これ以上見る時間が無いってのが実情だ。特にトマトは2日日替わり配信なので、見過ごすとストーリが解らなくなるので時には一日で3話みなければ追いつかないときもあった。
 冬のソナタは週替わりなので時間をみて1話を2度ほど見ている。完全オリジナルなのでNHKのBS版と違う個所が散見されて新しい発見になっている。
 その中で1999年の作品だがキム・ヒソン主演のトマトはおしゃれなドラマとして韓国で鉢植えのトマトがブームになったてのも頷ける内容だった。
 トマトの物語全体は宮崎勲の「魔女の宅急便」に韓流の定番を振りかけたような構成で靴のデザイナーを目指す主人公のキム・ヒソンが数々の逆境を乗り越えて靴のデザイナーとして成功し、ハッピーエンドで終わる。

韓流ドラマの作りが日本のトレンディドラマ
 都会の雰囲気ってことで主人公を演じるキム・ヒソンの故郷は南の沖にある済州島に設定されている。ソウルから飛行機で行く距離。それほど都会から離れているって設定だ。もちろん靴のデザイナーなんて仕事は済州島には無い。
 美術専門学校に通うためにソウルに出てくるって設定、そして都会で一人で生きていく苦しみ。このあたりが先に書いたように「魔女の宅急便」に近い雰囲気があるのだ。
 業界2位の靴メーカーと3位の靴メーカーのそれぞれの女社長の確執とそれぞれの実の子供の生活、それに絡んでいく主人公と、ま、このあたりは韓流の得意技だ。
 全体の構成がアップテンポな曲で支えられ仕事を通じて成長していく若者の姿、人への信頼と裏切り、壁にぶちあたって挫折、再出発とこれもまた韓流の定番。
ただ、他のドラマと違うのは日本のトレンディドラマの手法がふんだんに取り入れられている点と全体が若者中心に描かれてるところ。これが、ドラマが1999年に制作されたにしては明るく今でも通用する躍動感にあふれている。

あえて単純なストーリー展開で
 何度か書いているが、韓流ドラマは「病死、記憶喪失、いじめ、運命」のイベントをいかに巧みに盛り込むかが定番だ。日本のドラマで言えば「赤いシリーズ」とか「家なき子」みたいなものを合せて「愛と死をみつめて」を振りかけたような台本だ。
 トマトはこの定番を少しだけ取り入れているが基本的に単純なストーリーによって主人公の一途な姿勢をきわだたせている。いわゆる日本のトレンディドラマが家族を描かないことによってオシャレな都会生活を描いたような単純化では無く、家族は出てくる。それも主人公を取り巻く背景として複雑に絡み合っている。このあたりはさすが韓国って感じだ。
 普段あまり話題にならない靴のデザイナーと、靴業界にスポットを当てて、家族の関係、男と女の関係、出世欲、嘘と裏切り、このあたりをさらっと流しながら最後はハッピーエンドに持っていく手法は韓流でも珍しいのではないだろうか。
 キム・ヒソンの飾らない素直さが役作りに反映されて、軽いタッチで見られる韓流ドラマではあった。

GAYOは韓流フアンの心をつかむ
 インタネと放送事業者との間のゴタゴタはインタネが放送局のコンテンツが欲しくて行っていることなのだが、基本的に放送局は自前のコンテンツを持っていない。逆に言うと放送局とは電波を出す機能であり、コンテンツの隙間にコマーシャルを流し収入を得るビジネスモデルなのだ。
 NHKを除くと民放では独自コンテンツは独自取材したニュースに限られる。しかも、独自取材ではあっても放送(一回だけの電波発信)が前提の取材なので二次利用はかなり制限される。
 前に北海道の放送局がソニー関連のAIIを通じて「北のSL」の映像配信をしたことがある。数年前なので320×200程度の画面サイズであった。この中にSLの最終列車を取材した映像があって、出発式の花束贈呈の部分の贈呈する人、受け取る運転手、駅長と人物が判別できる人全てから許可を得る手間が大変だったと言う。
 今でも有線テレビで「たもりのスーパーボキャテン」を再送しているが、これもジャニーズ事務所が基本的に再送に応じないため、ゲストがジャニーズ系の回は放映されない。このように放送局が自由になるコンテンツは民間放送局には存在しないのだ。
 その点、USENは直接コンテンツを持つ松竹映画会社を傘下に治める手法でコンテンツ入手をはかっている。また、韓国のSBSのようにコンテンツに対して包括的に権利を有する放送局と提携している。この方法でGYAOを新しいビジネスモデルとして開始し、短期間で動画配信のナンバーワンの地位を占めることになる。
 実は松竹自身は衛星放送を利用して「衛星放送劇場」サービスを行っているが月1800円の価格設定が災いして事業としては赤字を積み重ねている。コンテンツを持ちながら事業化が進まない松竹の事例から、放送局がいかに頑張っても、単独で現在の放送事業のような収益を上げることは難しいだろう。例えライブドアや楽天と組んでも成功するビジネスモデルにはならないだろう。何故なら、GYAOが線路を敷いて一人勝ちで驀進してしまったのだから。
 韓流が見たくてGYAOが見たくてパソコンを買うブロードバンドを引く、GYAOはBB時代のキラーコンテンツが何かを示してくれる。
 ちなみに数日前から「白夜」の配信が始まっている。
http://www.gyao.jp/IEでアクセスする必要がある。

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2005.11.09 Mint