市町村ホームページの検証

北海道レッドデーターブック
 北海道市町村ホームページ検証なんて企画を最近初めています。事の起こりは民主党のインターネットデモクラシーの企画の中で「インターネットを利用した行政の情報公開を考える」のメーリングリストに参加したことです。かなり前からそのような企画が動いていることを知っていたのですが、最近参加しました。
 ま、感想として、まず民主党が範を示せないって、予想どおりでしたが(笑い)。情報公開はかなり高度な判断が必要なので時間のかかる課題と思いますが、それよりもまず、市町村が定期的刊行物をインターネットで情報提供するくらいはやってもらいたいですね。最悪なのは、誰が作ったのか解らないページに町村名が利用されている実体すら気が付かないってあたりでしょうか。丘の町美瑛には民間ベースのwww.biei.comってのが有って、これは市町村とはまったく関係がありません。他に、北海道新聞社と読売新聞社が掲載している212市町村データーブックが有りますが、これって誰が見るのか、ま、作った側の自己満足では無いかと思うのですよ。
ホームページ作成予算一律5万円
 これは北海道庁の来年度の予算要求に対する公式返答。つまり、各部局がホームページを持ちたければ5万円でホームページビルダーを買う金なら認めましょうってことです。笑いすぎて腹痛起こしそうです。
 北海道のホームページを見たときに「新幹線問題」が堂々と掲示されていたので頭痛がしたのですが、今度は腹痛です。職員がホームページビルダーで自己メンテナンスする場面は出てくるでしょう。もっとも、かなり情報リテラシーの高い職場ではって前提が付きますが。それ以前に、北海道庁として開示しなければならない情報を馬に食わせる程印刷屋に出していることの見直しが必要でしょう。今後、ホームページへの掲載を前提に印刷業者にははデジタル情報の提出を求める、そのための費用も内部で積算しておくみたいな、どちらかと言うと意志の部分の判断がまるで欠如しています。
ホームページビルダー5万円こそ税金の無駄使いでしょう。まして、ホームページ作成は職務分掌に有るんですか?
 インターネットの現状、各部局の情報化取り組みへの基本方針、インターネットを全庁的に利用するための環境整備、電算処理を全部外部に出した今こそ、こういった企画面での検討が必要なんじゃないでしょうか。>情報管理課

組織の外部チェック機能の充実
 三洋証券が潰れ、拓銀が経営破綻し、山一証券が自主廃業。これに関わる経営責任が今後出てくると思いますが、おもしろい見方をしている人が居ます。最近、話を聞く機会が有ったのですが、組織のトップは自らの組織をチェックする体制を完備する義務が有る。その勤めは代表取締役が担う最大の仕事である。役員を身内ではべらせて、自分を総会屋から守った人間を抜擢していたのでは、公器である企業のトップの資質が無い。そもそも、アメリカ的企業倫理からすれば、企業は収益を上げ、株主に貢献し、ひいては納税し国民に貢献し、従業員に職を与える公器である。それが、私くしされて来た今までの日本の膿が一気に出た事件である。
 といった論調です。これを類推すると市町村、いわゆる行政も同じで、自らの組織がチェックされる体制の完備こそが最高トップである臨時職員(組長)の責務な訳です。そのためには、情報を開示しなければならない。そのためにインターネットを利用するのは、これからの時代にマッチしている。
 ホームページビルダー5万円で、それが出来るとも思えない。もっと、広報/公聴する場としてホームページを考えてもらいたい。そのためには、職員が担当するよりも、ホームページまわりの手間は外部に委託し、職員も1市民として参加できる仕組み作りが大切である。また、掲示板を作っておいて双方向に情報提供を進めるべきである。印刷物は全て収載する。そんな解りやすい基本方針を打ち出すことが必要なのである。
 外部からのチェックが出来る体制を完備することが、情報開示であり、アカウンタビリティである。長野証券局長のように「知らなかった、言葉もない」ってのは、証券局長なのかなぁって感じ。「全て知っていたが万策尽きた」ってのが正直な話じゃないのだろうか。山一が隠していたので知りませんでしたでは証券局長とは言えないでしょう。これは、最も情報開示がされていない例でしょう。

インターネットは学びのシナジー
 シナジー(相乗効果)機能は情報が担う大きな機能である。情報はある量集まると核分裂(例えは悪いが)のように自己分裂を始める。何もなければ単なる冷たい意味をもたないものである。今回市町村のホームページを検証しながら、これから自らの自治体のホームページを、どのように完備していくか参考にしてもらいたいと考えている。このページから学び、自らの情報発信を追いつき、追い越せ精神で完備してもらいたい。また、一過性の外部委託が情報の面では非常にみっともない状況を体験してもらいたい。いまさら、What’s Newに夏のイベントが掲載されているのを見て、当事者は何も感じないのだろうか。
 注目の市町村が有る。標茶町である。ここでは、町議会の質疑応答まで全てインターネットで開示されている。ここまでやって、初めて市町村が主催するホームページと言えるだろう。
 来年、北海道庁発の5万円ホームページビルダーによるホームページが氾濫(たぶん、しないだろうが)するなら、市民のチェックが厳しいことを肝に銘じておくべきである。
 そもそも、札幌医科大学のIDを分けてもらって電子メールやってる職員はインターネットの世界では大変「お行儀が悪い」メンバーである。道職員がsapmed.ac.jpのアカデミックIDで公然と(名詞に印刷している奴も居る)電子メールのやりとりをしている実状を、北海道庁は知っているのか。それが稚拙であることすら知らないで、ホームページビルダー5万円の判断は何処から出てくるのか。また、腹痛がしてきた。

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1997.12.11 Mint