消費者無視の携帯電話企業
1円電話機のカラクリ
しばらく書いて居なかったけれど、まぁまぁ世の中には隠れて見えない不条理が沢山あるもので、書かずにはいられなくなった。
昨年(1999年)必要に迫れられてと言うか、そろそろ時期かなと思い携帯電話に加入することにした。ほとんど使う事は無いのだけれど、いざと言うときに連絡が取れる。ただ、これだけの用途で持ち歩く事にした。また、サイクリングなんかでメモをとるのにも電子メールと連動した携帯電話は利用価値が高い。昨年の7月からだから現在使ってから半年が過ぎたことになる。
自分が持っていると関心が沸くもので、携帯電話の流通と基本料金の仕組みについて業界の人から様々な情報を得る事が出来た。
常識的に考えると1円で売られる携帯電話ではメーカーは採算が合わない。だから、メーカーは直販をしない。ほとんが代理店が携帯電話を販売することになる。代理店は契約手数料の収入があれば機器の販売差益は必要無く、只同然で機器を販売しても採算がとれる。
では、販売代理店が契約手数料の中から機器のコストを負担しているのだろうか。実は全然違う。販売代理店は直接メーカーから購入した機器を販売しているのでは無い。各携帯電話会社から機器を購入しているのだ。携帯電話会社の代理店への仕切り価格は市場シェアー戦略によって決められる。
また、メーカーはNECなんかが低迷する業績の中で携帯電話部門だけは黒字を計上している。
いったい、精密機械である携帯電話がどうやったら1円で消費者に渡るのだだろうか。このあたりの仕組みを解明してみた。
利用されるマネーフロー、携帯電話
以下のことは具体的情報リソースを開示したり究明されたりしないように書いておく。本当かどうかは個々人の自己責任で確証を得るとして、僕が知り得た範囲で記載しておく。
携帯電話の流通構造は、機器製作メーカー、電話サービス業者、契約を代行する販売店、利用者の4者構造で成り立っている。
最近「HITショプ」の経営者が個人資産日本一で騒がれた背景を頭の隅においておいてもらいたい。
さて、店頭で1円で販売される機器、製造原価を下回る価格によって損をしているのは何処か。これを調べてみよう。メーカーは機器を製造する。これは日本では携帯電話の中にPHSも加えると、大手として日本電気、富士通、三菱電気、松下電気、京セラなんかが上げられる。これらの会社は直接消費者に携帯電話を売らない(一部特例は後述)。全て携帯電話会社の仕様にのっとり製造し、携帯電話会社に納品する。その価格は、仮に40、000円としておこう(実勢価格に近いのだれど、正直に価格を書くと僕が情報を得た業者が解明されるのでアバウトに書いておく)。
携帯電話業者は、電話機をメーカーから一括1台40、000円で購入するから、メーカーは安心して機器を製造し、販売(一括販売)できる。ここでメーカーには損は発生しない。発注者(携帯電話サービス事業者)が機器の仕様をまとめ、製造を委託するのだから各社横並びで製造原価が保証され、それなりの製造利益が確保される。
機器を代理店に卸すのは携帯電話事業者
ここで携帯電話サービス事業者は、契約代理店に機器を卸売りする。自分の設備に接続する機器だから、携帯電話サービス業者のお墨付きが有る機器でなければ契約代理店は扱えない。いくら通信事業が規制緩和されたと言っても。自作(笑い)や質流れの携帯電話が携帯電話サービスを受けられる訳ではない。
この契約代理店に携帯電話サービス事業者が卸売りする機器の値段は10、000円程度。つまり、携帯電話業者がメーカーからの購入費用40、000円を代理店に10、000円で卸す差額40、000円−10、000円=30、000円をかぶっている。
販売代理店は10、000円を越える契約手数料によって利用者へは1円で機器を販売しても利益が出る。一見メーカー系の携帯電話販売代理店でも自社の機器を40、000円で仕入れているのではなく、携帯電話サービス事業者から機器の供給を受けて営業している。
変な話だ。自社の工場から40、000円で出た機器が10、000円でメーカー系の販売代理店に流れているのだから。
高値基本料金は、顧客開拓費用を顧客に転化
誰が馬鹿を見ているのか。それは単純明快である。メーカーから仕入れた機械を仕入値より安く出せる携帯電話サービス業者の財源は、信じられないくらい高い利用者の「基本料金」にある。この基本料金の多くが新たに加入する人の1円携帯電話に使われている。先に加入した人間は後から加入する者の1円携帯電話の機器料を「基本料金」として払わされている。本来必要かどうか別にして、買い換え需要も高い基本料金によって支えられている。そんな矛盾があって良いのか! 受益者負担では無くて、受益者(携帯電話サービス業者)の負担転化である。そんな実態を規制緩和の脳天気な郵政省は問題にもしない。使いもしない者から4500円もの基本料金を徴収して、それをおのれのシェア争いの実弾に使ってる通信事業者がまっとうな営業形態であるとは思われない。基本料金に名を借りた不当な料金設定である。
規制緩和に名を借りた職務怠慢が想定されるが、今の携帯電話流通の消費者の利益にならない構造は許認可のあるべき姿の試金石である。郵政省は携帯電話の現状すら認識してないか、または、自らの新たな利権のために目をつぶっているのだろう。結局、消費者が他人の機器のために不当に高い「基本料金」を負担している。
いいかげんにせい! 携帯電話業者!