結局PHSに落ちつく

前作の続きのアクションプラン
 通信の世界は10年1日、半年前にimodeを選んだ時にPHSなんて検討もしなかった。ポケベルに毛が生えたような、ただ安いだけの携帯電話には興味がわかなかった。
 今回、PHSを再度調べたら、なんと進歩しているではないですか。それも、利用者志向と言うのか、使いたい機能がガンガン装備されている。
もうこれはPHSに変えるしかないなと思い、馴染みの量販店で機器の選択に入る。先に書いた通り店頭には1円、980円、2000円のPHS(以後ピッチ)が並んでいる。美人で客引きタイプの「お姉さん」が対応してくれる。
「最近、PHSの使い勝手が良いみたいなので、imodeから切り替えようと思っているのだけれど」。「当店で解約手続きは出来ないのですが、契約は20分くらいでできます。」。「どれでもいいけど、どれがお奬め?」。「私のお奬めは、このサンヨーなんですけど」。
結局2000円のPHSを奬める。「これって、そこの1円より2000倍機能が有るの?」
「どうでしょう。機能的には2倍はあります。今までピッチって安かろう悪かろうだったんですが、今は携帯電話以上になってますよ」

後発故のハングリー
 たぶん、店頭で販売を担当するのはメーカーからのアシスタント。事務手続きは店舗の従業員って仕組みがこれらの機器では出来ているのだろう。その「メーカーの回し者」(笑い)の女性の話はおもしろかった。j−phoneになる必要はさらさら無くて、PHSの技術革新は携帯電話を追い越しているとのこと。
「危機感があるってことが良い製品を生み出すと思いませんか。たとえば、今では2ウエーブなので、100km/hで移動してもピッチはつながっているのですよ。そんな技術を沢山作っています。モバイルでも64K出来るのはPHSだけですから」
専門とは言え、上手に説明してくれる。
たしかに、基本料金とか考えるとPHSはコストパフォーマンスが高い。それに技術的にはこちらに軍配があがる。インターネットに近いのは携帯電話ではなくてPHSってのもうなずける。NTTが有線でISDNとか広めているのだが、価格の面で大幅なダウンを迫れれている。通信需要はインターネットのおかげて大幅に伸びているが、これが今の高齢化高給料のnNTTの崩壊を救っている。民営化された1985年当時は「昭和30年前半の高度生長期に、加入申込の遅滞をさばくための人海戦術で採用された大量の社員が定年退職するまでNTTには高コスト体制を脱せない」と言われていたのだが、それをインターネット利用による一般家庭の需要が救ったようだ。

無線は技術革新の余地がある分野
 有線で巨人NTTに挑む企業が多かったが、携帯電話の普及で必ずしも有線だけが有望な市場ではなく、新しい市場が芽生えつつある状況を理解すべきであろう。
信じられない商品だが、「固定PHS電話機」って商品がある。これは、学生やフリーターのように引越が多い層に向けた商品で、引越の度に工事の申込が必要無い。しかも携帯中に作業を中断するような呼出が無い。すべて留守録される。そんな商品が市場に浸透している。有線は企業向け商品として、無線は個人向け商品として市場開拓がなされていくのだろう。
imodeでまいったのは音声の悪さ。調べてみると音声を1/19に圧縮するハーフレートが固定で設定されているとのこと。回線が空いていても1/10のフルレートにならない。これは501iの弱点だったので、今度の502i(通称カラーimode)では状況に応じてフルレートにもなるようになったが。
音声精度が悪く、電話として使えないなんて本末転倒ではないだろうか。
この点、ピッチは高速デジタルが基本なので音の良さは折り紙付きである。

実際に使ってみて
 imodeで出来てピッチで出来ないこと。インターネットからの直送メールくらいかな。逆にimodeで出来ない256文字以上の長いメールが受かるのは便利。メールをピッチに転送させておいて、概要をピッチで読んで返事は考えてからパソコンで入力。そんな使い方ができる。ピッチ単体でも十分なのだが、携帯パソコンを買ってpcmciaのカードを入れてインターネットにモバイルできたら便利だろう。なんとなく装備を買ってしまうかもしれない。でも、ザウルスを使いこなせないのだから無理かなぁ。
登録窓口で掲載されていなかったのだが、1950円の月額基本料金の下をいく、1350円の制度があるらしい。店頭ではあつかわないのだけれど、ddiに電話して契約変更できるらしい。これにもチャレンジしてみよう。

国の通信音痴の犠牲者NTT
 考えてみると通信自由化で民間を育てる政策をと考える一方、政府が株主のNTTのサービス提供価格は下げなければ競争力を失うとのジレンマがある。
結局政府が選んだ道は、民間より若干高めのNTTのサービス価格の承認。これではNTTは全く競争力を失う。またISDNに代表される「有線」の技術と、モバイルを中心に伸びてきた「無線」の技術を考えると、棲み分けが図られるものの、将来は無線中心になるだろう。有線は混信の無い無線と位置づけられる。空間に電磁波を振りまく無線では同一周波数での混信は避けれれない。しかし、有線では線の中にしか電流もしくは電磁波が流れないので同一周波数の混信は避けることができる。
 光通信技術も現在は光ファイバーによる電送が主だが、高利得の光アンテナが発明されてギガワット級の光マイクロウェーブが張り巡らされるであろう。「有線」通信のアキレス腱は維持費が割高なことだ。
コンピューターを利用した高度情報化社会は通信と融合してIT革命などと昨今は呼ばれている。このIT革命を下支えするのが通信インフラである。このインフラにも更に多多彩なサービス(単に廉価なだけでなく)が求められる。その時に、NTTは既存の競合する分野では高価格政策で勝ち目が無いのだから、新しい通信インフラの拡充が益々求められる。
「NTTの看板」が高価格を支える期間はあと数年しか無い。その間に変われるのか>NTT

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2000.02.06 Mint