携帯>切り替えたらとにかく静かになった

誰にも番号を教えないから
 PHSから携帯電話に変えたらまったく電話が鳴らなくなった。これは便利である。外出先で無作法に鳴る携帯電話とおさらば出来たのだから。もっとも以前のPHSは知れ渡り過ぎた弊害が有ったのだが。
 有線から電話すれば良いのに携帯から電話してくる奴。その内容は電子メールで十分なくらい緊急性が無いのだが、いかんせん、彼には文才が無い。てな通話を受けていたのが一掃された。とにかく静かなのである。電子メールで「携帯につながらないので」なんてのが飛び込むが、それはそれ。
 携帯の番号を変えるとそれなりに別な世界が開けるって感じを体感してるなぁ。
携帯電話利用は最初は知り合いからの無償提供でiモードで始めたのだけれど(501iの時代)、音声が不明瞭で仕事に耐えられず、PHSに変えたのは2000年頃。で結局また携帯電話にしてしまった。理由は簡単である「運用経費が安い」のだ。当初PHSは携帯電話の半分の料金でサービスしていたのだが携帯電話の各種割引を利用するとPHSよりも携帯電話が安くなるのだ。
ちなみに僕が使っているのは娘が先行していたので「家族割り」、加えて「年割り」。これでPHSより月額料金は安くなる。しかも1400円分の無料利用枠のサービス付きなのだ。

PHSって大いなる過渡期の実験だったのか
 盗聴が可能な電波による携帯電話には危惧を持っていた。デジタルだったので1999年にiモード(知り合いからの無償提供)が初めての携帯電話だった。ま、アマチュア無線でのモービルを日常的に使っていると何が違うのかと思ったのだが。
 結果iモードは凄いと思った。アマチュア無線の世界では無線機とTNCを使ってデジタルの世界に入り電子メールが交換出来るのだけれどiモードではその全ての機能が網羅されている。ただし、音声通信では32kbyte/sしか無いので殆ど会話が成り立たないくらい使い勝手が悪かった。機種はD501iなのだった。これって失敗作だと思う。iモード端末で携帯電話では無いのだ。
 商談に使えないくらいの音質の悪さにiモードを解約してPHSに変えた。パソコンを繋いでモバイルしようかと思っていたのだけれど、これでインタネに接続したことは無い。月額4980円で繋ぎ放題ってサービスも有ったのだが、当時は「テレホーダイ」を使った固定接続が安価だった。そもそもモバイルするノートパソコンはバッテリー容量が少なく、かつ重く、結局PHSの「親指入力」による電子メールで十分だったのだ。
 現在固定基地は「フレッツISDN」なのだが、特にモバイルを志向しない限り固定接続で十分だ。なんせ、電子メールはPHSでも使えるのだから。自転車での旅行記メモもPHSに入力しておいて圏内に入ったら固定の電子メールアドレスに送っておけば十分だった。1997年頃はサイクル・バックにシャープのザウルスを入れてメモしていたのだが(これって、直射日光下で殆ど画面が見えなかった)PHSで「親指入力」で十分になった。(南茅部町に行った頃かなぁ)。
 当時はアマチュア無線機を車に積んでいたので「圏外」表示も特に気にならなかった。いざとなればアマチュア無線機で「CQ,CQ」と呼べば誰か答えてくれる。1998年の秋だったか岩内町に仕事で出かけていたのだが、帰りに急に雪になり稲穂峠が大渋滞。このときにアマチュア無線を傍受していると「遅れるって電話していただけますか」なんて会話が流れている。自己責任の相互扶助の精神がこの世界にはあるのだ。
で、考えてみると重複インフラだったのだろうか。PHSの利点はニッチ産業だったのだろう。携帯電話が「高価で贅沢なサービス」って概念は数年で解消されたのだから。

PHSはデータ通信に特化出来ずに敗退
 いまでもデータ通信で言えば速度は遅いが64k/sで一番安いのは先の4980円のDDIポケットのサービスである。わが社の情けない話しだが「高速にしたら接続時間が半減するので安い」って稟議書を書いて結果通信量が1万円から5万円に増えたプロジェクトが有るのだ(笑うしかないな、この判断を許可した我が会社)。
 PHSが携帯電話と闘う戦略を「同等のサービス」に向けたのは系列会社だから同じ人間が経営してるから当然かもしれない。でも「差別化」を志向してない。PHSはデータ通信特化でなければならない。携帯電話が「音声通信」ならPHSは「データ通信」って考え方が無い。その行動も無い。そもそもPHSってのは無くなって良いのだって経営姿勢なのだ。それでは、さっさと整理したほうが良い。既にセルラーのアンテナなんかは使い道が無いまま電柱に張り付いているのだから目障りである。

携帯が廉価になったのだから
 1990年頃だったと思うが郵政省(現在の総務省)の旗振りで「CRP」ってのが有った。コンビニエンス・ラジオ・フオーンってやつで、いわゆる「携帯電話がサービスしない地方での携帯電話事業」ってやつだ。基地局の出力を100W程度に上げて半径30kmを一個の基地局のアンテナでカバーする携帯電話の仕組みだ。地方は飛びついたらしいのだが今は痕跡も無い。おおいなる実験だったのだ、十勝のCRPもモルモットで、終わってしまった。
 そもそも「採算性が有る事業計画を作れ」って言うのと「地方ではNTTは採算性が悪くて事業展開しないだろう」って矛盾する二つの命題で企画を頼まれた業者をいじめるんじゃない>郵政省、現総務庁。
とまぁ、いじめられた側に居たのだが、結局「安くなって利用者が増える」って事業の根本的部分への考察を欠いていたと思う。ニーズがあればサービスが有る。問題は「ニーズ」にあるのだ。そのサービスが利用者の母数に依存するのなら利用者の母数の読みが大切である。便利を求めて「人はいくら払うか」が普及の事業計画であるが、便利を体験したら普及するってマスを読むことも大切だ。今のNTTの問題はマスを読めない短絡的経営(採算)が優先していることだろう。
 市場を作るって姿勢はiモードを自ら作れなかった社風に居るって事実をNTTは認識していない。照らせば台湾で成功しないのはNTT主導だからなのだってのは明かだ。NTTの度量では「残されたiモード」すら受け継げないないのだ。
 自民党と民主党の関係と同じだと思うのがNTTとKDDIの関係。同じ土俵でどちらも決定打を打てない。何故なら違いが明確にならないから。双方「ケイタイ」なのだ。同じく政党でも双方「保守」なのだ。それはそれで良い。「政権って引力の有る政党」と「何の引力も無い政党」の違いだろう。政権を持つことが政治家の引力になってるのも情けないのだが、それ全て「NTT的」なのだ。
 NTTは「他社よりも価格が高くなくては民業圧迫」て政策でダラダラしてる。インタネで言えばNTT−ME、NTTコミュニケーション、と関連会社が勝手に進めている。無線LANに限れば互換性の無い身内って消費者を無視した暴挙に出ている。
消費者に「安く供給」って視点には立っているのか。その視点を逃したら会社は存続出来ないぞ、と言いたい。

電波行政の変革が改革
 NTTが電電公社から民間のNTTになった時に、一番変わったのは郵政省と言われた。許認可監督官庁として申請が出てきたらああでもないこうでもないって屁理屈こねまわしていれば良かったのだ。が、横にいる相棒と思っていた電電公社が民間に行って、郵政省に正面から向かってくる。それも規制緩和を求めてくる。NTTにすら許可していない方式を民間に許可しないなんて論理が破綻したのだ。
 今年はアマチュア免許の局免許の更新に当たるので、その前に撤去した無線機等を整理しておこうと設置変更届を5月に出した。ついでに新たに加わった無線機も追加して書類を出した。直接電気通信監理局に出すと無料で受け付けてくれる。書類もインタネから一太郎かワード形式をダウンロードして書き込んでプリントアウトすれば良い。便利になったものだ。加えて電子申請としてフロッピーによる申請も出来るのだが、こちらはまったく使いものにならない、今時フロッピーって付いてるパソコンの方が珍しいんじゃないのかぁ。
話しが逸れた。その申請書が電監に届いた頃に自宅に電話が入った。「申請書に不備があるので連絡をおただきたい」って内容。奥さんが「私が調べて直せるものでしょうか」と聞いたら「それは無理です」(キッパリ!)と言われたそうな(笑い)。
電話番号を聞いて会社から電話すると新設の機器の技術証明番号が間違っているとのこと。実は自慢じゃないが技術証明番号なんか付いている無線機は今回が初めて。全て回路図を付けて申請する非JARL(日本アマチュア無線連盟)認定機か自作機なのだ。
あわてて午後に半休をとって無線機を見ながら再度電話。
「解りました、この番号ですね」
「あ、そうです。これで申請してもらえば良いのです」
「となると、再度申請ですか」
「いや、番号が解れば書類発行出来ますからこのままで良いです」
てな対応。
おいおい、電監とJARLはアマチュア無線家の「積年の恨みはらさでかぁ」ってくらい嫌いな官僚機構。それがわざわざ電話をくれて(昔は赤い「書類不備」の判が押されて戻ってきた。何処が不備なのかは自分で調べろって感じで箇所の指摘も無い)、しかも「電話で解れば良いです」って対応。ほどなく、変更後の無線局免許証が届いた。今は、更新申請を送っている。
 ここまで変わったのだ。NTT民営化から22年。
しかも不可侵と言われた電波行政である。最近はアマチュア無線にもスペクトラム拡散が認められてる。世界でも短波がSSB化してHFの電波が余る時代なのだ。そろそろHF始めようかと思う。電波行政は携帯電話行政になっているが、これからアマチュア無線は「包括免許」(いちいち周波数別に無線局の許可を得なくても、アマチュア無線帯であれば何時でも電波を出せる免許方式)にすべきだろう。
 インタネで使われる無線LANの電波もIEEE82.11bの2.4G帯の高出力化(せめて100mwから1wへ)、IEEE82.11aの5G帯の解放と進んでいるが、短波にもデジタル通信を許可すべきだ。
 結局、廉価は市場をリードし、技術は廉価を志向し、規制はここに立ちはだかる。だから、市民の側に(ユーザの側に)立った規制緩和が必要なのだ。

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2002.08.21 Mint