水の融点も氷点も同じ零度を正しく教える

小学生には難しい水の融点
 札幌雪祭りも終わり、北海道でも日差しが徐々に強くなり季節は春を迎える階段を上り始めたようです。いつもこの時期になると思い出すのは、小学校の理科の授業の「合理的」説明でした。

先生 「水は何度で氷になりますか」
児童 「0℃」
先生 「では、氷は何度で水になりますか」
児童 「0℃????」
先生 「あれぇ、同じ温度ですか」
児童 「教科書には、そう書いてあります」
先生 「考えてみましょう。水が氷になるのは、氷が溶けるよりも少し寒いんじゃないかな」
児童 「????」
先生 「ほんのちょっと違うけど、ぎりぎりだから0℃ってしてるんだよね」
児童 (納得)

 これは実際にあった話です。この授業以降、私は「氷になるほうがちょっとだけ寒い」と信じていました。だって、そのほうが「合理的」で、北国の生活実感とも合いますから。特に北海道で毎年冬の積雪と春の雪解けを経験していると、先生の「ちょっと違う」に説得力ありました。
 ところが「水(氷)の融点」(これって高校まで出てこない用語です)の問題を調べていた時に、初めてこの授業が間違いだったのが分かったのです。
 さて、この問題の「水が氷になるのは0度、氷が水になるのも0度、ちょっとの違いではなく両方とも同じ温度」を、前述の先生のようにうそを交えずに、小学生に説明できますか。
 私は小学校では教えてないので学習指導要領での「禁じ手」(まだ教わっていないことを論拠として説明する)を犯すかもしれませんが、分かりやすく説明してみます。

同じことが同時に起こっている
 まず、氷です。これは削ってカキ氷にするように、細かくすることができます。雪も積もると綿のように見えますが、よく見ると小さな氷の結晶の集まりなんです。この塊がすき間なくギッシリ詰まったの氷です。水は氷と同じですが、ギッシリはしていません。川のように流れていくことができます。でも、氷と水は同じ水なんです。
 水の中には、温度によって水になったり氷になったりする小さな塊がたくさん集まっているのです。
 では、0℃で水は氷になり、0℃で氷は水になるってどんなことなんでしょうか。
 このクラスに50人(昔は50人学級だった)います。教室を半分に分けて25人が氷の役、25人が水の役になってください。今教室の気温は20℃です。氷の役の人はどうしますか? 溶けて水になりますよね。水の役の人はなにも変化しませんからお休みです。
 では、教室を氷点下20℃にしましょう。今度は逆に、水の役の人は忙しいですよ。水ではいられないので、氷になります。氷の役の人は今度はお休みです。
 ここ、分かりますよね。
 では、もう一度25人が氷、25人が水に戻しましょう。
 さーて、問題の0℃です。教室をピッタリ0℃にします。
 まず、水の役の人はどうしますか。水は零度で氷になる。ですから、一生懸命に氷になりますね。
 じゃあ、氷の役の人はどうしますか。氷は0℃で水になる。ですから、これも一生懸命水になりますね。今度は休んでいる人が居ません。
 そして、氷の役の人は一生懸命水になったのに「水は0度で氷になる」ですから、また氷にならないとだめです。同じように水の役の人は一生懸命氷になったのに「氷は0℃で水になる」ですから、水に戻らなければだめです。忙しいですねぇ。
 あれ、でも、教室にある氷の役をやってる人数は、人は違うけどいつも25人で変わりませんね。水は0℃でこんな動きをするんですね。
 じゃあ、今度は50人全員が氷の役をやりましょう。教室が0℃になりました。どうしますか。水になる? でも、水は零度で氷になるんですよ。忙しいですね。みんな水になってすぐに氷になって、またすぐに水になって。水になったらすぐに氷になって。
 こんなに一生懸命やっても、教室を外から見ると氷の役の人は50人です。「一生懸命やってるんですけどねぇ」と小泉純一郎首相から外務大臣を更迭された田中真紀子さんのように愚痴も出ますよね。

 じゃあ、今度は50人全員が水の役を……。

 もういいですね。教科書の「水は0℃で氷になる、氷は0℃で水になる」というのは、このようなことを言葉で書いたんです。実際には、0℃の水や氷は、一生懸命変わろうとしてるんです。
 難しい言葉で言うと、0℃では水になりたい人が半分、氷になりたい人が半分の状態ということです。1℃になると全員水になるし、氷点下1℃だと全員氷になるって、その境目が0度なんです。分かりましたか?

#分子とか、潜熱とかも入れると科学的なのでしょうが、小学生向けだけでなく大人も含めて0℃って世界にのみ着目して説明してみました。
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2007.03.09 Mint