派閥が壊れて自民党が壊れてしまった

派閥の人材育成メカニズム
 野党が常に野党であるのは政権を前提にした人材育成がなされていないから。自民党の派閥は長を中心に順繰り内閣に人を送り込むために人材育成の機能があった。それが自民党の長期政権の一部を担っていた。
 つまり、総裁が退陣しても「代わりは居る」状態が常に保たれていた。今回の参議院選挙の歴史的敗北にも係わらず投票日に既に続投を決めていた安倍晋三総理の決断を了承したのは「代わりが居ない」お家事情があるだろう。また安倍晋三総理の心中にも日米安保の責任を取って辞職した岸伸介総理の無念から「辞めたら戻れない」との判断もあっただろう。どうも安倍晋三総理には健康問題があると立花隆氏が指摘してるがまんざら間違いでもないようだ。
 派閥の人材育成は与党の最大の引力である政権政党として大臣ポストの配分に対応したものだ。歴代の内閣総理大臣は派閥推薦の中から閣僚を選んできた。今回の第一次安倍晋三内閣は論功人事と言われるように安倍晋三内閣を作ってきた人を中心に編成されてきた、そのため「総理にしてやった」って閣僚が多くてけじめが付かないのが実態だった。その最右翼は久間防衛大臣であったことは議論を待たない。
 「自民党をぶっこわす」と言われたときに苦笑しているのでは無く、小泉純一郎首相がどのように壊すつもりなのか備えをしていなかった。小選挙区制により派閥が弱体化してきたのは、派閥の調整機能が選挙には有効で無くなったから。加えて小泉純一郎首相の最初の内閣は派閥推薦を受けない人事であった。この面からも旧来の派閥が機能しない状況、そして順送りの人材育成も機能しないことに対して何らかの手を打たなければならなかったのだ。

野党の人材育成はどのようなシステムなのか
 正直、野党には人材育成の概念が無いだろう。より良い人材を選挙民が送り込んでくれるとしか考えてないのではないだろうか。これが裏目に出ているのが各地の労組を母体とした議員達だろう。正直、野党内でも「使い物にならない層」だ。
 最近は若手がテレビの政治バラエティに出演する機会が増えたが、唯一、このあたりが野党の人材育成機能だろうか。
 政権って求心力が無いのでマスコミに登場して個人を売り込まないと選挙では苦戦する。そのために若手にテレビ出演(ま、もうちょっと番組を選べよ、と言いたいが)させて勉強させる。それが結局集票に繋がるって野党の方針なんだろう。
 与党にも野党にはいわゆる陣笠議員は居る。しいて言えば野党のほうが率は少ないだろう。
どちらにしても、野党は専門職(社会保険庁一点主義とか)で自ら育っていくしか人材育成方策は無いと言える。だから、政権交代にえらく時間がかかることになる。
一部の何とか塾程度では人材育成に繋がらないだろう。

安倍晋三総理は衆議院解散を選ぶか
 マスコミの多くは年内にでも衆議院解散があるとの論調が多い。しかし、ネジレ現象とは言え衆議院での絶対多数をみすみす手放す選択はしないだろう。年内に衆議院解散が有るとすれば、本当に政局が異常事態になった時で混迷の中解散して総選挙を迎えることになる。この可能性がゼロとは言わないが、アンコントロール状態になった場合に限られ可能性は低いと思われる。
 参議院で過半数を手にした民主党も「お試し期間」で実績を上げないうちに解散では「ゆりもどし」が目に見えているのだから、必ずしも政権交代に繋がる衆議院選挙に結びつかないだろう。
 双方の党にそれなりに解散を回避したい思惑があるのだから、なかなか衆議院解散には結びつかないと思われる。
 ただ、スキャンダルだけは別だ。国民の「辞めろ」の声には与野党問わず受け止めなくてはいけない。その意味で、第二次安倍晋三内閣の人事には「身体検査」を十分やらないとアンコントロールに陥る危険を含んでいる。
 野党はまずは人材育成に失敗した与党の人材の揃い方に着目すべきだろう。適不適がスキャンダルに結びつく要因なのだから人選によっては早期解散の火種が仕込まれることにもなる。

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2007.07.31 Mint